チワワの小太郎
 
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●犬の情の深さに感動◆『山古志村のマリと三匹の小犬』 [2005年04月23日(土)]
山古志村のマリと三匹の子犬
桑原 真二(著) 、大野 一興(著) 、ikko(著)

文藝春秋
¥ 1,200 [単行本] 2005-02
ISBN:9784163669601 / ASIN:4163669604

新潟県中越地震で被災した犬の物語。それほど期待しないで読み始めたのだけど、途中で泣きそうになった。

単行本サイズだけど、子ども向けでイラストがたくさんあって読みやすい。絵本とまでいかないけれど、高学年なら十分ひとりで読めそう。もう少し大きいサイズにしたらもっと読みやすかったと思うのだけど、文藝春秋だからなぁ。これが講談社とかだと有名画家による絵本とかになったような気もする。

2004 年10月23日。マリは三匹の小犬を産んだ。その日の夕方、マグニチュード6.5の大地震が山古志村を襲った。マリは産まれたばかりの小犬を必死で守りながら、崩れた家の中でタンスの下敷きになってしまったおじいさん(飼い主の五十嵐豊さんのお父さん)の顔を何度も舐めて励まし続けた。

傷だらけになりながら、小犬のいるところからおじいさんのところまで何度も往復したマリ。飼い主の豊さんは地震のために職場から帰るに帰れず、おじいさんはタンスの下で半ば諦めかけていたのだけど、マリの励ましに勇気づけられて自力で脱出する。

その後の全村避難で、村に残らなければならなかったマリと小犬たち。おじいさんはありったけのエサを置いていったのだけど、それも他の犬たちに横取りされてしまう。村に残された他の犬たちも生き残るために必死だったのだ。マリは小犬のためにエサを集めて土に埋めた。

地震から18日後。一時帰村で村に帰った豊さんが目にしたのは、以前の面影もないくらいに痩せてしまったマリだった。それでも元気に再会を喜ぶマリ。小犬たちも無事だった。

その後、マリは里親に預けられ(飼い主さんは仮設住宅なので犬が飼えないらしい)、小犬たちもそれぞれに新しい飼い主の元に引き取られたそう。山古志村が復興して、マリと飼い主さんがまた元のように暮らせる日が早く来ることを切に願う。

犬は家族。飼っていない人には分からないかもしれない。私も飼うまでは実感としてはよく分からなかった。犬より何より人命が先でしょう、と思っていた。だけど、人命と同じくらいに犬も大切なのだ。せっかく助かっても犬が心配で夜も眠れないというのでは、健康にも影響する。逆に、つらい避難生活も、愛犬と一緒なら乗り切れると思う。犬は命を救い、心を救う。大げさではない。現に、この物語の中でも、おじいさんに勇気を与えて生きる力を振り絞らせたのはマリだ。

新潟中越地震や、阪神淡路大震災の報道でもだいぶ取り上げられたけれど、災害時のペットへの対応をもっと検討していく必要があるのではないかと思う。

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