チワワの小太郎
 
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●私と小太郎は相性抜群◆『相性のいい犬、わるい犬』 [2004年06月05日(土)]
相性のいい犬、わるい犬―失敗しない犬選びのコツ
スタンレー コレン(著) 、Stanley Coren(原著) 、木村 博江(翻訳)

文藝春秋
¥ 730 [文庫] 2002-02
ISBN:9784167651206 / ASIN:4167651203

著者は心理学者らしい。『デキのいい犬わるい犬』(文春文庫/文藝春秋)という本が全米でベストセラーになったという。相当な犬好きと見た。

『相性のいい犬わるい犬』は、犬種別の犬の性格と、飼い主の性格で、相性の善し悪しがあるということを、犬の飼い主へのアンケート調査などで証明したもの。この著者がなんとなく言ってるわけではなく、ちゃんと統計をとって調べているというところがミソ。科学的なのだ。

そして、有名人と犬とのエピソードもふんだんに盛り込まれていて、読み物としても面白い。例えば、歴代大統領とホワイトハウスの犬たちとか、映画スターや有名人たちのイメージと実際に飼っていた犬とのギャップとか。統計に基づいた相性診断の結果と照らし合わせて、飼い主と犬との相性を検証していくと、確かに犬種によって犬への愛情とか親密度、思い入れが違っているようだ。なかには、犬種うんぬんではなく、犬自体が嫌いという人もいる。そういう人は人間に対しても深い愛情を抱けないらしい。なんだか悲しい。

面白かったのは、犬派と猫派の話。この著者、犬大好きらしいけれど、猫もずっと飼っているというので、決して猫嫌いではないと思うのだけど、猫に対しての記述が辛辣で笑える。

いわく、猫は犬ほど賢くない。なので、飼い主のこともすぐに忘れてしまうから、途中で飼えなくなってしまって他の人に譲ることになっても犬ほどにダメージがない、世話も犬ほど大変ではない、だからお年寄りやひとり暮らしの女性に最適と、言われている、と言うようなことを著者が書いている。著者がそう思っているというより、そういう風に世間で言われているという。

猫の愛情表現とされている、体をこすりつける行為も自分の所有物だということを主張しているだけだし、簡単な命令も聞かず、しつけも学習できない猫はやはり犬より賢くないと断言。平均的な犬は110程の命令や合図を理解するらしいけれど、猫は20程しか理解できず、自分の名前すら理解できない猫もいるという。

猫が犬より賢くないからと言って、犬のほうが優っているという訳ではないし、その点だけで猫の魅力が減るわけでもないと思うけれど、この本の著者が確実に、猫よりも犬に興味があって、今後も猫好きのために猫と飼い主の相性を調べたりする時間を割くくらいなら犬のことをもっと調べたいと思っているんだっていう気持ちがひしひしと伝わってきた一項だった。

さて、それでは実際に、犬と飼い主の相性をどうやって診断するのかという話。まず著者は猟犬や愛玩犬といった機能別に分けられていた従来の犬種の区分けを見直して、犬の行動特性と性格から新たに7つのグループを作った。たとえば、ラブラドール・レトリーバーは「友好的な犬(情愛の深い、人なつこい犬)」、秋田犬ブル・テリアボクサーなどは「防衛心の強い犬(テリトリー意識の強い支配的な犬)」、シー・ズーやテリア系の犬は「自信のある犬(自発的で大胆な犬)」のグループに入っている。

このグループ分けでは体の大きな犬も小さな犬も混じっているけれど、性格や行動特性に共通点があるので、この中のどれかの犬種と相性がいい人は同じグループの違う犬種を飼ったとしてもうまくいく可能性が高いらしい。

チワワは「安定した犬(みち足りたマイホーム型の犬)」だそうだ。このグループにはダックスフンドポメラニアンマルチーズなどが入っている。驚いたことに、私が常々飼ってみたいと思っていたパグフレンチ・ブルドッグボストン・テリアもこのグループだった。

そして、相性を見てみると、私はこのグループの犬たちとの相性はかなりいい。チワワの小太郎を選んだのは大正解だったのだ。

犬との相性診断のためには、人間の性格診断が必要。そのためのテストもついているので、自分で自分の性格を分析できる。これが間違っていると、相性診断もあまりアテにならない。自己分析と他人の評価と違うかもしれないから、私と小太郎の相性も実はあまりよくなかったりして。ま、本人たち(小太郎はどうかわからんが)がラブラブなら相性診断なんてどうでもよいのだけどね。

この本が役に立つのは、これから犬を飼いたいけれど、どの犬種にしようか悩んでいる時だと思う。すでに飼っている人が飼い犬との相性を調べて、やっぱりあまりよくないとか、思った通りすごくいい、とか一喜一憂するのも楽しいけれど、犬を飼う前に相性を調べて飼えば後から後悔する確率も減るかも。統計的なデータに基づいているからかなり実用的だと思う。

この本では人間の性格診断で外向性、支配性、信じやすさ、暖かさという4つの項目でそれぞれ高い、中間、低いという3段階の評価をする。それぞれの項目について男女別に相性のいい犬のグループがあげられていて、もっとも多くの項目で当てはまったグループの犬がその人との相性がいいとされる犬種グループになる。

4つの項目全部であてはまれば、そのグループの犬とは相性抜群。最高の組み合わせ。3つなら非常にいい。意気投合できる文句なしのカップル。2つならかなりいい。多少の問題は乗り越えられる。ひとつしか当てはまらない場合は上手くいくかどうかはちょっとした賭になる。全く当てはまらない場合は飼うのはやめたほうがいい。

ちなみに、小太郎が属する「安定した犬」のグループは私の性格診断で3つの項目にあてはまったから(この性格診断があっていれば)かなりいい相性と言える。なんだか嬉しい。4つの項目すべてであてはまる犬種グループはなくて、「防衛心の強い犬」と「友好的な犬」は2つの項目であてはまった。

「友好的な犬」はともかく、「防衛心の強い犬」は意外だった。しかしそう言われると、このグループに入っているワイマラナーシュナウザーブル・テリアなんかはちょっと飼ってみたいと思った犬種だし、秋田犬がこのグループに分類されているからたぶん他の日本犬の多くもこのグループに属すると考えれば、紀州犬甲斐犬柴犬なんかも飼ってみたい犬種ではある。

逆に、テリア系の犬が分類されている「自信のある犬」のグループはひとつもあてはまらないから、飼うのはやめようと思った。ジャック・ラッセル・テリアとか、ケアーン・テリアとかミニチュア・ピンシャーとか惹かれるものがあるのだけど、この相性診断によれば飼ってもうまく行かないらしい。

ミニピンとチワワなんて、体の大きさとか見た目とかかなり似ているのに、性格的には違うのね。ジャック・ラッセルや他のテリアと同じグループということはかなりおキャンな性格なのかも。知らなかった。チワワは性格的にはかなり穏やかだと思う。テリア系の犬たちは落ち着きがないという印象がある。この落ち着きのなさはもしかしたら私には我慢できないかもなぁ。

そして最後に思ったのだけど、あるところにものすごく仲のいい犬と飼い主のカップルがいたとする。で、この本の相性診断を逆手にとれば、その犬種グループと相性のいい性格を割り出せば、飼い主の隠れた性格がわかっちゃうかも。実はああ見えてあの人って冷たい人だったのねとか、けっこう外向的な人なのね、とか。そういう使い方は、やっぱり邪道なのかなぁ。

デキのいい犬、わるい犬―あなたの犬の偏差値は?
スタンレー コレン(著) 、Stanley Coren(原著) 、木村 博江(翻訳)

文藝春秋
¥ 690 [文庫] 2000-09
ISBN:9784167309978 / ASIN:4167309971

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