□□□□□□□□□□□  茜色通信 Vol.0062   □□□□□□□□□□□ 2004/02/13 Fri.---Since2000/01/26  前号の発行部数144 =>>登録・解除・変更・バックナンバーはこちらから http://akane.pos.to/common/f/akaneiro.htm  「茜色通信」の読者登録をしていただきありがとうございます。  私のサイトの更新情報と日記(日々のほのぼの)のダイジェスト版を  お届けします。                  ◇ ◇ ◇  最近、話題が多い、チワワの小太郎。去勢手術をしてオカマちゃんに  なったり、ワクチン接種の副作用でブルドッグ顔になってしまったり、  Tシャツの絵柄になって販売されたり。しかし当人(犬?)は寒いこ  の季節、一日中暖かいホットカーペットの上でごろごろしています。  よろこんでお散歩にでかけたものの、寒いのですぐに家の方向に引き  返してしまうという軟弱ぶり。北海道のチワワは雪の中を駆け回って  いるというのに、まったくもう。    最近の小太郎の様子は「チワワの小太郎」で。  http://akane.pos.to/kotaro/   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ _/Contents_/ ──────────────────────────────────── -- 今日のほのぼの -- ●かっこいいサムライ◆『ラスト サムライ』 [2003年12月26日(金)] ●演出家が問題なの?◆『イーストウィックの魔女たち』[2003年12月30日(火)] ●お父さんの気持ちになって◆『ファインディング・ニモ』                          [2004年01月02日(金)] ●ほんとうのおとぎ話◆『ディズニーの魔法』 [2004年01月03日(土)] ●藤本ひとみって…◆『マリー・アントワネットの遺言』                          [2004年01月04日(日)] ●欲深い老人たち◆『老人のための残酷童話』 [2004年01月06日(火)] ●レース模様の数式◆『博士の愛した数式』 [2004年01月08日(木)] ●写真で見る戦争◆『ぼくの見た戦争 2003年イラク』[2004年01月16日(金)] --サイト更新情報-- ★茜音 【ギャラリーと日記】 ★ぱんだ雑貨店 【壁紙とWEB素材】 ★チワワの小太郎 【ペットの写真と壁紙】 ★ちょこら 【お店やサービスのリンク集】 ──────────────────────────────────── ※記事中の書名の下にあるURLは、オンライン書店bk1の書籍詳細ページの  URLです(特に断りのある場合を除きます)。 その本の内容、値段、大きさ  などの詳細情報のほか、bk1に投稿された書評なども読めます。   『オンライン書店 bk1』はこちら http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_top.cgi?aid=p-akane01465 ──────────────────────────────────── [PR] ■本だけじゃ物足りない。CD,DVD,ゲーム、PCソフト、電化製品などなど。 『Amazon.co.jp』はこちら  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/redirect?tag=akane-22&path=tg/browse/-/489986 ■いらなくなった本を Amazon.co.jp で売ることができます! 『Amazon.co.jp マーケットプレイスストア』 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/redirect?tag=akane-22&path=tg/browse/-/1058424 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━             ◆ 今日のほのぼの ◆ ──────────────────────────────────── (日記もどき『日々のほのぼの』ダイジェスト版) 『日々のほのぼの』はこちら http://akane.pos.to/akane/f/honobono.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●かっこいいサムライ◆『ラスト サムライ』 [2003年12月26日(金)] ──────────────────────────────────── トム・クルーズ、渡辺謙の共演が話題の映画『ラスト サムライ』を見てきた。 最近の映画は長すぎて飽きちゃうんだけど、これは3時間弱、飽きずに見れた。 普通に単純に面白かったなぁ。 真田広之よりも渡辺謙が評価されているのは、役どころの所為。真田広之は味 のある脇役という感じ。渡辺謙はサムライの大将だからね。 ストーリー的には明治のあのころにあんな隠れ里的なところがあって、あんな サムライが居るというのはあり得ないらしいのだけど(笑)、歴史的に無理が あってもエンターテイメントだからいいのだ。面白いから許す。笑えたのは、 政府軍は近代的な武器を用いて渡辺謙演じる勝元を倒そうとしているのに、な ぜか途中で勝元の村を襲うのは黒ずくめの忍者軍団。なぜ忍者? 日本的なも のを出したかったのかなぁ。あれだけこだわって、変な日本、変な日本人じゃ なくリアルな日本を追求したのに、忍者って・・・。 「サムライ=武士道=死の美学」のような描かれ方をしていて、しかも私には それがイマイチよく分からなかった。でも、サムライがとってもかっこよく描 かれていて、見ていて気持ちいい。サムライの死に様(生き様?)を描くため の、ご都合主義的なストーリーなんだけどね。勝元がそこまでして政府軍と戦 う意味がわからない。でもそれがサムライなんだ。と、無理矢理な感じ。 トム・クルーズ演じるアメリカ軍人が日本にやってきて、サムライと出会い、 サムライの村で暮らすうちにその生活に共感する。異文化との出会いもテーマ。 アメリカではインディアンの征伐に参加し、罪のない人たちを殺したという心 の傷を持つアメリカ人。もともと、インディアンに共感を持っていたという設 定なので、サムライにも同様のものを感じたらしい。 イラク戦争を見ても分かるけれど、アメリカ人ってのは異文化を認めないとい う気質があるみたい。理解できないものはやっつけちゃえみたいな。でも、こ の映画の主人公はそういう理解できないものに惹かれるらしい。武士道は理解 を超えているけれど、なんだか霊的なものを感じる、そんな風。 なんだかね。それはいいんだけど、サムライの村が不思議なものとして描かれ ていて、これって、日本じゃなくて別の国の別の文化の村の話にしてもいいよ うな気がちょっとした。チベットとか、ベトナムとか。つまり、アメリカから 見た異文化として日本が描かれていて、それはなんだか日本じゃなくてもいい ような気がする。 それでもやっぱり、小雪が演じる耐える女は日本的だし、甲冑に身を包んだサ ムライたちはかっこいい。トム・クルーズは和服が似合う。ストーリーはとも かく、そういう日本的見た目や日本的な風景を映画にしたかったのだろうなぁ。 日本人が見てもおかしくない日本の風景、サムライの出で立ち。なのだけど、 外国人がこの映画を見て、これが日本かぁと思うと思うとやっぱり、ちょっと 違う、と言いたくなってしまうのだった。 ラスト サムライ http://www.lastsamurai.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●演出家が問題なの?◆『イーストウィックの魔女たち』[2003年12月30日(火)] ──────────────────────────────────── ミュージカル『イーストウィックの魔女たち』を見てきた。27日の土曜日だっ たので、冬休みということもあってか、家族連れがいつもより多かった。しか し、下ネタ満載のこの舞台、親子で見ていいもんだろうか・・・。 もともとは映画だそうだけれど、映画のほうは見たことがない。基本的にコメ ディ。デビル役の陣内孝則のはじけっぷりがよかった。理想の男性との出会い を求めてる3人の女性は一路真輝、涼風真世、森久美子。イーストウィックの 町を牛耳ってる悪役フェリシアには大浦みずき。宝塚の元トップスターが3人 もいるゴージャスなキャスト。衣装、舞台美術、振り付け、曲もとてもいい。 でもね、なんかノリきらない。そう、そんな舞台を演出しているのは決まって 山田和也氏。この人、いろんな舞台に引っ張りだこなんだけど、私は好きじゃ ないのだ。この人の演出する舞台、毎回、今度こそって思って見に行くんだけ ど、毎回、ああやっぱり駄目だぁ、と思うのよね。がっかりするから見に行か なきゃいいのだけど、キャストとか、前宣伝とか見ると、とりあえず見たくな っちゃう。今回の場合は見なきゃよかったとは思わなかったけど、演出が別の 人だったらもっとよかったかも、とは思った。 山田氏は特殊効果が好きらしい。『風と共に去りぬ』では火薬をバンバン爆発 させていた。『ジキルとハイド』ではでっかい実験室のセットの歯車を回した り、煙がもくもく出てきたりしていたような。今回は、レーザービームの多用 とフライング。フライングは海外公演での目玉だったらしいから、日本独自の 演出ではない。だけど、これ、絶対すごく山田氏好みなんだろうな。一幕最後 で主演の三女優が飛ぶのだけど、なんかあんまりね、ストーリーとの関連性が よくわかんなくて、あんまり感動的じゃなかった。かなり客席の後ろの方まで 飛び出してくるので、すごいなとは思ったんだけど、なぜここで飛ぶ?という 疑問が。 とはいえ、キャスト陣はとてもよく、歌とダンスのミュージカルシーンは楽し かった。衣装もなかなかかわいい。おっぱいをモチーフにした舞台美術も面白 い。フェリシアの夫役の安原義人さん、なんだか声がとっても知っている感じ で、気になっていたら、実はアニメ『キャッツ・アイ』の俊夫の声をやってい る人だった。他にも映画の吹き替えなんかもやっているそうなので、知ってい て当然。こんなところで見れてちょっと感動。フェリシア夫妻の娘役はピータ ーパンの笹本玲奈。かわいい。演出家が変わって、再演することがあったらま た見に行こう。 『イーストウィックの魔女たち』 http://www.toho.co.jp/stage/eastwick/welcome-j.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●お父さんの気持ちになって◆『ファインディング・ニモ』                          [2004年01月02日(金)] ──────────────────────────────────── 『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』を制作したピクサーのCGア ニメ映画。昼間の時間帯は字幕版を上映していなくて、木梨憲武(マーリン) と室井滋(ドリー)の吹き替え版を見た。吹き替え版は余計なことを考えない で見れるのでいいかも。 珊瑚礁に住むカクレクマノミのマーリンが人間のダイバーに連れ去られてしま ったひとり息子のニモを探して旅をする。もともとマーリンが過保護にしてい たニモ。マーリンはいなくなってしまったニモを必死で探す。その途中で出会 ったナンヨウハギのドリーは物忘れがひどいのだけど、人間の文字を読んだり してマーリンを助けてくれる。楽天家のドリーと心配性のマーリンはいいコン ビ。 一方、人間の歯科医に連れ去られたニモは、診療室の水槽に入れられてしまう。 そこで出会った魚たちと協力しながら脱出計画を練る。小さいけれど、度胸が あって、お父さんに会いたい一心で危険なことにもチャレンジする。 旅の途中でサメから逃げたり、深海で凶暴なちょうちんアンコウと戦ったり、 クラゲの大群の間をすりぬけたり、海流に乗るウミガメと出会ったりしながら、 マーリンはニモを過保護にしすぎていたことをちょっぴり反省する。 最後にはニモはなんとか水槽を脱出して、マーリンと出会うことができる。水 槽の仲間たちと出会ったニモと冒険してきたマーリンは二人とも少し成長した みたい。なんだかすごく心暖かくなって、よかったねぇと言いたくなる。 魚をCGにするとなんかちょっとヌメっとして気持ち悪い。でも海の光のゆら ぎとか、水の透明感なんかがとても綺麗だった。魚たちも気持ち悪いながらも いきいきと動いている。 ピクサーの映画の魅力って、ストーリーがしっかりしていること。映像の美し さもすばらしいけれど、映画はやっぱりストーリーが大事。この映画、子供を 持つお父さんたちに支持されているというのがよくわかる。父親の気持ちにな ると、いなくなった子供を捜すマーリンの気持ちがよく分かるのだろうなぁ。 『ファインディング・ニモ』 http://www.disney.co.jp/nemo/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ほんとうのおとぎ話◆『ディズニーの魔法』 [2004年01月03日(土)] ──────────────────────────────────── 『ディズニーの魔法』有馬哲夫/著(新潮新書) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02383810 ──────────────────────────────────── ディズニーが制作したアニメ映画はおとぎ話を原作としたものが多い。ペロー やグリムなど、その原作とアニメの違いを比較している。 原作とアニメとではストーリーや登場人物などが変更されている。小さなもの からかなり大幅なものまで様々だけど、その変更によって、ディズニーが目指 したものも見えてくる。 私はディズニー映画が好きでよく見ていたけれど、一番衝撃的だったのは、 『リトル・マーメイド』。あの、悲劇で終わるはずの「人魚姫」のラストがハ ッピーエンドになってしまった。これにはびっくり。人魚姫は王子との恋にや ぶれて海の泡になるんじゃないの!? だけど、ディズニーの『リトル・マー メイド』は、「人魚姫」が原作だけど、「人魚姫」とはまた別ものなのだ。だ からハッピーエンドで終わってもいい。見終わってからそう思った。 ディズニーの映画が全部ハッピーエンドかというと、そうでもなくて、『ポカ ホンタス』は最後に恋人たちが離ればなれになるというラスト。「人魚姫」ま でハッピーエンドにしてしまったディズニーがどうしてこんな結末の映画を作 ったのかと、これもまた別の意味で衝撃的だった。ちなみに、『ポカホンタス』 についてはこの本では触れられていない。ヨーロッパのおとぎ話じゃないから ね。 この本では、『リトル・マーメイド』の他に『ピノキオ』『白雪姫』『眠れる 森の美女』『シンデレラ』『美女と野獣』について書かれている。ディズニー がアニメ映画を作ったことで、もともとのストーリーよりも、ディズニーアニ メのストーリーやキャラクターが浸透してしまって、原作はあまり知られてい ないものが多い。 『リトル・マーメイド』のように結末が大幅に変わってしまったものはないよ うだけど、どの作品も原作とは違う部分がかなりある。『ピノキオ』に出てく るコオロギのクリケットのように原作とは違ったキャラクターや原作にないキ ャラクターも登場する。大衆向けにストーリーの残酷な部分を削除したり、観 客にとって親しみを持てるようなキャラクターにしたりすることは、逆に言え ばディズニーらしさでもあるようだ。 著者は、ディズニーのアニメ映画と比較することでヨーロッパのおとぎ話を魅 力を伝えつつ、ディズニーアニメの魅力をも語っている。どちらも甲乙つけが たいという、著者の熱意が伝わってくる。おとぎ話のストーリーを変えてしま ったディズニーが悪いかというとそうではなく、おとぎ話というのは口伝で時 代によって変わってゆくものなのだから、ディズニーのおとぎ話はそれはそれ でよいのだ、と言っている。ただし、原作は原作で魅力的なのだよ、と言いた いのだろうな。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●藤本ひとみって…◆『マリー・アントワネットの遺言』                          [2004年01月04日(日)] ──────────────────────────────────── 『マリー・アントワネットの遺言』藤本ひとみ/著(朝日文庫) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02230727 ──────────────────────────────────── フランス革命後、指導者たちが次々と断頭台に送られ、再びルイ18世が国王と なったフランスを舞台にしたフィクション。 フランス革命後の歴史について疎いので、この本でも何が事実で何が虚構なの かよくわからなかった。マリー・アントワネットについては、池田理代子の 『ベルサイユのばら』でだいたい知っているけれど、その後となると、よく知 らない。 この小説ではアントワネットの娘のマリー・テレーズが登場する。アントワネ ットの裁判で弁護を担当したクードレーという人物が残したアントワネットの 最後の述懐。ラテン語で書かれたこの文章を巡って駆け引きが行われる。 もっと堅い歴史小説を期待していたのだけど、読んでみたら官能歴史小説だっ た。藤本ひとみって全部こんな作風なんだろうか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●欲深い老人たち◆『老人のための残酷童話』 [2004年01月06日(火)] ──────────────────────────────────── 『老人のための残酷童話』倉橋由美子/著(講談社) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02354742 ──────────────────────────────────── 「老人のための」とついている時点でもう「童話」ではないと思うのだけど、 『大人のための残酷童話』の続編ということで、老人たちが登場する書き下ろ しの物語が十編収録されている。 登場する老人たちは妙にリアルで、おどろおどろしい。「童話」という言葉か ら想像するような、ほんわかした夢の世界のような話ではない。例えていうな ら、「世にも奇妙な物語」風。『大人のための残酷童話』はもとになった童話 がある程度分かったというのもあるけれど、なんとなくおとぎ話の雰囲気があ ったような気がする。読んだのはかなり前だけれど、大人風にアレンジされて ちょっとエログロになった童話が印象的だった。 今回の老人バージョンは、もう、主人公がしわしわで歳をとった老人。しかも、 若さ、生、性に執着していたりして、なんだか俗物っぽいというか、みっとも ないとうか、いさぎよくないというか、欲深いというか…。 物語の場所は、日本なのかどこなのかわからなかったり、時代も未来なのか現 代なのか、全く別の世界の話なのか曖昧にしてあったり。死後の世界や閻魔大 王も登場する。 図書館で活字を食い尽くし塵になってしまう老人、旅行ツアー感覚で地獄めぐ りをする老夫婦、定年後に死後の世界で働く元裁判官、いつまでも若さを失わ ない老女、どうやら我が子を食べたらしい鬼女、どうしても自分の子供が欲し くなった老女、若い女と性におぼれる老僧。ストーリーはフィクションだけど、 登場人物たちの欲というのは妙に現実味を帯びていてリアル。なんだか、長生 きすることに夢がなくなるのだった。 ──────────────────────────────────── 『大人のための残酷童話』倉橋由美子/著(新潮文庫) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=01578418 ──────────────────────────────────── ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●レース模様の数式◆『博士の愛した数式』 [2004年01月08日(木)] ──────────────────────────────────── 『博士の愛した数式』小川洋子/著(新潮社) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02357099 ──────────────────────────────────── 昨年の本のランキングなどで上位になっていて、「今年の最高傑作」などとい うコピーがついていたりして、気になっていた一冊。よく、ミステリーやSF のランキングなどのランキングはあるけれど、これは純文学。なんだか『白い 犬とワルツを』とか『マディソン郡の橋』とか『朗読者』みたいな感じの売れ 方だけど、これらの本と違うのは著者が日本人だということ。上記三つは実は 私はちゃんと読んだことがない。だけど、この本はなんだかちょっと読んでみ たくなったのだった。理由はよくわからないけど、著者が日本人だからそんな 気になったのかなぁ。 記憶が80分しかもたない障害を持つ博士。その博士のもとに派遣された30ちょ っと前の「私」。そしてその息子ルート、10歳。ルートというのは頭が平らで ルート記号のようだからという理由で博士がつけたあだ名。作中に登場人物の 本名は出てこない。 博士は大学で数学を教えていたのだけど、17年前の事故で頭を打って障害を負 ってしまった。17年前までの記憶は消えないけれど、現在の記憶はきっかり80 分しか覚えていられない。だから、毎日やってくる家政婦の顔も覚えられず、 玄関では毎日初対面の儀式が行われるのだった。そんな博士の障害を受け入れ つつ家政婦の仕事をこなす私。ある時、博士は彼女に息子がおり、毎日留守番 していることを知って、子供もここへ連れてきなさいと言う。博士はなぜだか 子供のことになると異常な心配性で、子供をとても愛すのだった。その理由は 作中では明かされない。だけど、その子供への愛情の注ぎ方がとてもかわいら しくてあたたかいのだ。 ルートと「私」は、博士とつきあう上でのルールを決める。博士が何度同じこ とを言っても毎回初めてのように聞くとか、阪神の江夏が今も阪神にいるとい う嘘をつくとか。ルートが阪神ファンだと知った博士は自分も阪神のファンで、 江夏の大ファンだと言うのだけど、江夏が阪神のエースだったのは17年前の話。 江夏が阪神を去ってしまったことを知った博士はいつになく落ち込んでしまう。 でも次の日にはそれを忘れてしまっている。そこで、「私」とルートは博士を 悲しませないために、江夏はいまでも阪神にいるということにして、いつも博 士をごまかすのだった。嘘をつくのは心苦しいけれど、博士の気持ちを傷つけ ないための二人の思いやりなのだった。 博士は会話に困るといつも数字を持ち出す。数学が苦手なので、読みながらか なりこんがらがってしまったけれど、なんだか、数字を説明する博士の口調と か、その数字を通じて博士とこころを通わせる「私」とルートの様子が伝わっ てきて、数学の難しさよりも、おもしろさ、不思議さを感じる。博士が書く数 式はレース編みの模様のようだという表現があって、数式の意味はわからない けれど、とても美しいのだというのが分かる。 博士とルートと「私」の間に流れるゆったりとした時間。最後には無機質にし か見えないはずの数式の間から、ほんわかとした暖かい気持ちが感じられるか ら不思議だ。 ──────────────────────────────────── 『白い犬とワルツを』テリー・ケイ/著、兼武進/訳(新潮文庫) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=01554383 『マディソン郡の橋』 ロバート・ジェームズ・ウォラー/著、村松清/訳(文春文庫) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=01462908 『朗読者』ベルンハルト・シュリンク/著、松永美穂/訳(新潮文庫) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02327345 ──────────────────────────────────── ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●写真で見る戦争◆『ぼくの見た戦争 2003年イラク』[2004年01月16日(金)] ──────────────────────────────────── 『ぼくの見た戦争 2003年イラク』高橋邦典/写真・文(ポプラ社) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02394092 ──────────────────────────────────── 子ども向けの写真絵本。なのだが。イラク戦争の生々しい写真と撮影者の言葉 は世代を問わず心に訴えかけるものがある。 著者はボストン在住の報道カメラマン。イラク戦争で、アメリカ軍に従軍した。 前半は、アメリカ軍の軍人たちの写真だ。砂漠での厳しいトレーニングに励む 若い兵士たち。彼らはそれが「仕事」だから戦争をしに行く。早く仕事を終わ らせて家族の待つ国に帰りたい。兵士たちの写真の背景にある青い空が妙に清 清しい。命の危険を伴う戦場でも空は美しいのだ。 イラクへ入り、あちこちで戦闘が行われている。道の傍らに転がるイラク兵士 の死体。橋の上でイラク人の死体の横を駆け抜けるアメリカ兵たち。爆撃を受 けたトラックに乗っていたアメリカ兵士の血まみれの死体。仲間の死体を抱え て泣くアメリカ兵士。 どの写真もそこに写っている人の表情がよくわかる。そして、そのそれぞれに 家族や友人がいて、生きている人も死んでしまった人もぜんぶ生身の人間で、 私や私の周りにいる人たちとなんら変わりないのだと思わせられる。戦争は遠 いところの出来事ではなく、身近にも起こりうることかもしれない。もしかし たら、この写真に写っているのが、自分の家族や友人だったかもしれない。 仲間の死を嘆き悲しんでいるのが、私の弟だったら。道ばたに転がっている死 体が私の友人だったら。アメリカ兵に追われて着の身着のまま逃げていくのが 私自身だったら。そんな風に考えると戦争はとてもリアルでとても恐ろしい。 現場のアメリカ兵士たちは命令に従ってイラク人を殺す。イラク人は自分の国、 家族、信念を守るために攻撃者であるアメリカ兵を殺す。自爆も厭わない。い ったい誰が戦争をしているのだろう。殺し、殺されることになんの意味がある のか。戦争で、家や家族や仕事を失った人々はこの先どんな気持ちで生きてい くのだろう。兵士たちに「戦争しなさい」と命令している人たちは自分の手を 汚さない。イラクの人びとを殺した、本当の犯人は誰なのか。そして、イラク の人々によって殺されたアメリカ人たちを、そういう運命に導いたのは誰なの か。そういう人たちが法によって裁かれることはないのだろうか。人殺しは人 殺しなのに。 カメラマンはフセイン像が倒された翌日からは軍から離れて取材し始める。イ ラクの町の人々の表情は苦悩に満ちている。戦後の略奪行為。病院で横たわる 胸に穴の開いた男性。家を破壊されたおばあさん。両足に包帯をぐるぐる巻き にされた子ども。 この本では、冒頭のアメリカ軍の写真から末尾のイラクの市民の写真まで、戦 争している両方の立場からの視線がある。どちらも苦しくて、どちらかが得を しているとかどちらかが優位だとかいうことはない。どちらの立場に立っても、 戦争は悲惨で無意味であるとしか思えない。人間にはもっと別の有益で高等な コミュニケーションの方法があると思うのだけど、戦争というのはなんと無益 で下等な手段だろう。戦争なんて頭のいい人がやることじゃないと思う。そし て、日本にもなんだか頭の悪い人がいっぱいいるような感じなのだ。嫌だ。 ──────────────────────────────────── (茜音「日々のほのぼの」より) http://akane.pos.to/akane/f/honobono.htm ・・・・・・─・─・─・──・──・──→この続きも日々更新中です。 ──────────────────────────────────── =[PR]================================ 日本最大級ショッピングサイト!お買い物なら楽天市場 http://pt.afl.rakuten.co.jp/c/000389a5.22be7a25/?url=http%3a%2f%2fwww.rakuten.co.jp%2f ==================================== =[PR]================================  ★┃今┃週┃の┃ベ┃ス┃ト┃セ┃ラ┃ー┃★┃  ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ 【楽天ブックス】流行の本を今すぐチェック!! http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=IGOG8+K8RCI+1N6+61JSJ ==================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━             ◆ サイト更新情報 ◆ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃茜音 【ギャラリーと日記】 ┃ http://akane.pos.to/ 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