□□□□□□□□□□ 茜色通信 Vol.0040 □□□□□□□□□□ 2002/05/08 Wed.---Since2000/01/26  発行部数99 =>>登録・解除・変更はこちらから http://akane.pos.to/common/f/akaneiro.htm  「茜色通信」をご購読いただきありがとうございます。  私のサイトの更新情報と日記(日々のほのぼの)のダイジェスト版を  お届けします。    3月中旬から4月中旬まで、一ヶ月間入院していました。今はまだ自  宅療養中。暇なので、サイトのリニューアルが進む進む。でも、まだ  まだ変えたいところ、作りたいところはいっぱいあって、こんなに時  間があるのに足りないってどういうこと!?って感じです。こんなに  頑張ったら療養にならないかも。適度に休みながらやることにしよう。  毎日、家でごろごろしている私にも一応、ゴールデン・ウィークはや  ってきました。仕事が休みな家族が全員、家にいるのです。なんだか  賑やか。しかもそれぞれが買い物に行くたびになにか甘いおやつを買  ってきてしまうので(特に父と母)、食料事情がよすぎてちょっと太  り気味。あると食べたくなっちゃう。少し運動して減量せねば・・・。 **********************************************************************          【    書籍のご案内    】      『Webカテゴリ別デザイン&配色パターンガイド』     シーズ/編・著(エムディエヌコーポレーション) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02137705     「茜音」http://akane.pos.to/ が掲載されています。トップページの   画像に解説が少しついて「文化」-「アート」というカテゴリのページ   にサンプルサイトとして載っています。 ********************************************************************** _/Contents_/ -- 今日のほのぼの -- ●まだ入院中 [2002年04月06日(土)] ●楽しい入院生活 [2002年04月13日(土)] ●退院したから言ってしまおう [2002年04月19日(金)] ●副腎皮質ホルモンのこと [2002年04月21日(日)] ●『異国の丘』を観てみたい〜『夢顔さんによろしく』[2002年04月24日(水)] ●リアルな戦争〜『プライベート・ライアン』 [2002年04月25日(木)] ●シャバの空気 [2002年04月29日(月)] --更新情報-- ★茜音 ★ぱんだ雑貨店 ★りんくる ☆リンクについて ◆おまけ 「怪作展」 ※記事中の書名の下にあるURLはオンライン書店bk1( http://www.bk1.co.jp )  の書籍詳細ページのURLです。 その本の内容、値段、大きさなどの詳細情報  のほか、bk1に投稿された書評なども読めます。 ___________________________________ -- 今日のほのぼの -- ●まだ入院中 [2002年04月06日(土)] 主治医の先生が変わったら、退院が延びてしまった。よくはなっているのだけ ど、検査結果がもう少しよくならないとダメなんだそうな。はぁ。母は「居さ せてもらえるだけ居させてもらいなさい」などと悲しいことを言う。そりゃあ 病院の方が安心なんだろうけど、わたしゃ帰りたいよ。 しかし、私、入院はきらいじゃない。病院は結構、居心地がいいのだ。だって 堂々とゴロゴロしていられるんだもん。今は痛みもないし、検査もあまりない。 かなり元気なのだけど、あまり動き回るといけない時期だそうなので、ほぼ一 日中ベッドの上に居る。さすがにちょっと身体は鈍るが、本は読めるし、昼寝 はできるし、ご飯は三食きっちりでるし、おまけに看護婦さんが度々やってき て体調管理も万全(病院なんだからあたりまえ)。 普通の人は暇で暇でしかたないらしいのだけど、私は暇なのは全然平気なのだ。 もともと、オタク系なのか、一人の時間を過ごすのは好きだし、本当に一日が のんびり過ぎてゆく。看護婦さんが来たりして、適度にしゃべる相手もいるし、 入院はそれほど苦にならない。病院のご飯も、薄味がちょうど良くて、おいし く食べている。土日に帰って来た時に家のご飯も食べているから適度に飽きな い。 前回(三年前)、手術したときには、痛かったのと、お風呂に入れなかったの が辛かったのだけど、今回は痛くないし、(一日置きだけど)お風呂も入れる からとっても快適。こんなにのんびりしちゃっていいんだろうかというくらい 病院ライフを堪能している。 でも、もう4週目に突入してしまうと、いくら快適でも、帰りたくなる。シャ バの空気が懐かしい。本屋さんにも行きたいし、おいしいスパゲッティー屋さ んにも行きたい。帰宅はOKなのだけど、薬の副作用で感染症にかかりやすく なっているので、人が多いところには行けない。それが悲しい。でもインター ネットでお買い物できるので、その欲求はちょっとだけは満たされるから、そ れで我慢しよう。 次の血液検査の結果が良ければ、退院させてもらえるかも。今は悪化しないよ うに安静に過ごすのだ。 ___________________________________ ●楽しい入院生活 [2002年04月13日(土)] 検査結果はよくなっているのだけど、まだ正常値には及ばず、退院させてもら えない。今度の土日までには退院できるといいのだけど。 病院生活も一ヶ月。看護婦さんの顔と名前が一致するようになってしまった。 病棟の看護婦さんは三交代制で代わる代わるいろんな人がやってくる。最初は 随分いっぱい看護婦さんがいるんだなぁ、とあっけにとられてしまった。それ が、最近は「あら、今日のわたしの担当は○○さんだわ」なんて分かるように なっちゃって、いいのか、悪いのか・・・。もともと長期入院するつもりだっ たならともかく、わたしは二週間のつもりで入院したので、ひとりひとりの名 前まで覚えるつもりは毛頭なかった。けど、名札が大きいし、なんとなく覚え ちゃった。そうなると、愛着が湧いて、退院するのもちょっと寂しいかな。 内科の病棟は男の人が多い。おじさんがウヨウヨ徘徊している。寝てばかりい ないで、歩きなさい、というお医者さんからの指示が出ている患者さんもいて、 散歩する場所の極端に少ない病院なので、そういう人は病棟の廊下を徘徊する ことになるのだ。最初、10日くらいは病室の一番廊下側のベッドにいたのだけ ど、ドアが開けっ放し(その方が看護婦さんたちの出入りが楽だから?)なの で、常に外からおじさんに覗かれている感じがしてとても嫌だった。おばさん だったら平気なのかもしれないけどね。一応、入院患者の中では若い方だか ら・・・。内科は平均年令が高いから、二十代の人なんて私くらいしかいない みたい。窓際のベッドの人が退院したので、場所を移動してもらった。今は外 の景色もよく見えて快適。 生活空間はベッドの上。ここがマイルーム。食事も睡眠も、着替えも全部一ケ 所で済む。ものぐさな私にはぴったりかも。しかし、食事は別の場所で食べた いという気もちょっとする。 隣のおばさんはものすごいイビキをかくのだけど、自分では全く気付いていな いらしい。新しく入ってきた人が「どなたかイビキをかかれる方がいて・・・」 なんて言ったら、このイビキおばさんが、全然違う人の名前をあげて「ああ、 ○○さんが時々イビキかくのよ」というからびっくり。確かに○○さんもイビ キをかくが、あんたほどじゃないぞ、と同室の誰もが思ったに違いない。本人 の為にも早めに指摘してあげた方がいいと思うのだけど、誰もそれをいいだせ ないのだった。そしてイビキの一番の被害者はベッドが一番近い、私なのだっ た。起きてるときはいい人なんだけどねぇ。イビキがひどくて私が眠れなかっ た次の朝、看護婦さんに「昨日はあんまり眠れなかったわぁ」と言っているの を聞くと、ちょっと笑ってしまう。よく寝てたのに・・・。 4月なので、新人の看護婦さんも入ってきた。私の担当の看護婦さんについて やってくる。なんか初々しい。血圧がうまくはかれない姿も初々しい。しかし、 もし、この子に採血されることになったら私は快く腕を差し出せるだろうか。 ちょっと恐い。でもね、何ごとも経験だからね。ちょっとくらい痛くても、我 慢してあげよう、と覚悟を決めることにした。次の採血はちょっとドキドキだ わ。 そんなこんなで、病院もなかなか楽しいのだ。なにしろ、看護婦さんたちはみ んな明るいし、元気。すごくよく働く。そして我慢強い。高齢だったり、重症 だったりして、動作がのろくてもイライラしない。文句も言わない。おじさん たちに理不尽に怒られても黙って笑って耐える姿を見ると感動すらする。中に は「薬飲まないからな」なんて言って言うこと利かないおじさんもいるのだ。 なんの為に入院してるんだか。 あと少しで退院(たぶん)。入院なんてしない方がいいのだけど、してしまっ たからには日常生活とは違う面白いことをいっぱい発見して、病院生活を堪能 しようっと。 ___________________________________ ●退院したから言ってしまおう [2002年04月19日(金)] やっと退院。うれしい。やっぱり、一ヶ月も赤の他人と同じ部屋で寝食を共に するというのは、精神的に疲れる。家に帰って、静かな自分の部屋で思う存分 寝られるというのは幸せだわ。 二週間という予定で入院したあと、だらだらだらだら延びて、結局一ヶ月。こ の「だらだら」が辛かった。一ヶ月なら一ヶ月という予定で入院するのなら、 それなりに準備もするのだけど、あと少しで帰れる→検査結果が悪くて帰れな い。という状況が何度も続いてしまって、すごく疲れた。 後半はもう、同室のおばさんたちのおしゃべりに腹が立ったり(おばさんは声 が大きいのだ)、必要以上にいろんなことを聞かれたくないのだけど、それで も適度に仲良くやらなければいけないので気を使ってしまったり、夜は夜でイ ビキや物音や看護師さんの懐中電灯と足音で寝つけなかったり、治療が楽な分、 精神面でとても辛かった。たまに来てくれる友人たちとのおしゃべりにとても 救われたのだった。 他の病院のことはよくわからないのだけど、どうやら私がいた6人部屋はとて も狭いらしい。本当なら4人部屋くらいかも。隣の人の物音がとても気になる。 しかも、おばさんという人種はおしゃべりがなくては生きていけないらしく、 自分の人生や病気についても語り、人のことについても知りたがり、面会に誰 が来たかもチェックしている。チェックしてもいいのだけど、それについてし ゃべらないでほしい。 病室というのはただでさえプライバシーがないのだ。看護師さんが毎日、聞い てゆくから、部屋の人たちのお通じの様子から病状から治療の進み具合まです べて分かってしまう。一応、看護師さんやお医者さんには守秘義務というのが あるのだけど、それでも大きな声でしゃべってれば病名も病状も手に取るよう に分かってしまうのだ。患者さんには守秘義務なんてないから、これは結構恐 い。実際、なぜだか他の病室の患者さんについてまでよく知っている人がいて、 あの人はどこが悪いとか、あの人はもう危ないらしいとか、あの人の職業はな んだとか、家族はどうだとか、細部にいたるまで事細かに説明したりしている。 これ、自分がやられたらすごく嫌だ。自分で話す分にはいいけれど、人の口か ら噂として流れるのって辛い。 入院患者は暇だから、世間話と称してこんな噂話をあちこちでしているのだ。 もちろん、患者さんの噂だけではなく、お医者さんや看護師さんの噂もしてい る。あの人は気が利かないとか、あの先生は点滴の針を射すのが下手とか。そ れがもっともならまだいいのだけど、すごく一生懸命やっている看護師さんに 対して、もっとこうすればいいのにねぇとか、あの人は言い方がきついからダ メとか細部を指摘してダメだしをしているのを聞いた時にはなんだか非常に腹 が立った。一見、言い方がきついような看護師さんはいるのだけど、でもちゃ んと見ていれば極め細やかにお世話してくれているし、患者さんの話しもちゃ んと聞いてくれているのだ。確かに、人間同士だから相性が合わないとかあま り好きじゃないとかそいういうのもあるかもしれないけれど、それは大人なん だから心にしまっておけばいいのに、わざわざ口に出して悪口を広めることは ないのにと思ってしまう。聞いている方が気分が悪い。そしてまた、素直な人 はそれを真に受けてさらに他の人にその悪口を広めたりしてしまっていて、こ れもまた辛かった。 まぁ、それもこれも病院という特殊な環境が多少は影響しているのかもしれな い。聞いている私の方もストレスが溜まっているし、話している人も、病気だ し治療の辛さもあるだろうし、ストレスも溜まっているだろう。カーテン一枚 で仕切られた空間はとても危うい。このプライバシーのなさ、なんとかならな いのだろうか。病院で過ごす暇な時間はそれほど持て余すこともなかったのだ けど、最後は自分だけの空間や時間がないことがとても辛くて、早く家に帰り たくて仕方なかった。退院して家に帰ってきて本当にほっとした気分。まだし ばらくは外にでれないのだけど、とりあえずは自分の時間を満喫しよう。 ___________________________________ ●副腎皮質ホルモンのこと [2002年04月21日(日)] 退院して三日。病院生活に馴染んでしまってなんだか生活のリズムがつかめな かったのだけど、やっとなんとなく慣れてきた。自宅に慣れてきたというのも 変だけど。 病院のいいところは、スケジュール通りに食事などがでてくるところ。家だと そうはいかない。家族の都合で食事の時間が変わってくる。これは仕方ないけ ど、薬の副作用でお腹が空いてしまう私は間食を我慢しなければいけないので、 ちょっとつらいかも。耐えられないほどじゃないんだけど、う〜お腹空いたぁ、 と思ってしまうともう食事が待ち遠しい。食いしん坊だなぁ。 病院では夜、あまり眠れなかった。3、4時間眠ればいい方。これは薬の所為 なのか(副作用に不眠というのもある)、病院という環境の所為なのか、その 両方なのかわからない。でも不思議なことに睡眠時間3、4時間でもそれほど つらくなかったのだ。一日中だらだらとベットの上にいたからかも。自宅に帰 ったら眠れると思っていたのだけど、自宅でも3、4時間睡眠になってしまっ た。さすがにこれではいかん、と頑張って寝れるときに寝るようにしている。 病気治す為にも寝た方がいい。そうしたら、やっと少し眠れるようになってき た。この調子で、もとの8時間睡眠に戻すのだ。あんなに寝ていた日々はいっ たいなんだったんだろう。 薬(ステロイド)の副作用というのもいろいろあって、軽いものでは、まず下 頬のあたりに肉がついて顔が丸くなる(ムーンフェイス)。私はもともと丸顔 なので、よくわからないと思ったのだけど、ちょっとムッチリしてきた(よう な気がする)。あとは、毛が濃くなるとか、不眠とか、食欲増進とか、精神的 なものでは鬱なんていうのもある(これは個人差が大きいらしい)。免疫力が 落ちるので、感染症も恐い。重いものでは胃炎、胃潰瘍、糖尿病、骨粗鬆症な どなど、とにかく副作用はいっぱいある。 でも副作用の危険性は薬の量によって変わってくるし、私の場合はまあまあの 量なのだけど、副作用ばかり心配していてもしかたないので、太り過ぎと風邪 に注意して、あとは深く考えないようにしている。薬の量が減れば、丸顔とか の副作用も消えるそうだ。ステロイドはとにかく、人によって飲む量にものす ごく差があるので、一概には言えないのだけど、よく効く分、副作用もハンパ ではないのだ。だから、大量に飲んでいる人は入院して副作用がでないように チェックしなければいけないらしい。病院で、私と同室だった人は、治療は飲 み薬(ステロイド)だけで、点滴もなんにもないのだけど、その量が多いため に、退院させてもらえず可哀想だった。痛いところもなく、見た目元気なのに、 入院してなきゃいけないのはちょっと辛い。 ステロイドってなんなのかというと、もともと人間の身体のなかにある副腎皮 質ホルモンという物質なのだそうだ。腎臓の上についてる副腎というところで 作られる。この副腎皮質ホルモンには炎症を押さえる効果があって、皮膚の炎 症を起こしたところに塗る薬や、花粉症の薬などにも使われているらしい。も ともと身体の中にある物質でも、大量に飲めば副作用がでてくるのだ。でもね、 どういう副作用がでてくるかとか、どういう風に使用すれば安全かとか、昔に 比べれば研究も進んでいるみたい。副作用がでてしまったときにすぐに対応で きるように定期的にチェックもするし、飲みはじめてしまった以上はお医者さ んにお任せするしかない。自分でいっぱい心配してもストレスが溜まるだけだ から。その分、本を読んでいろいろ勉強したりしている。本を読んで知識が増 えるとちょっと安心するのだ。 ___________________________________ ●『異国の丘』を観てみたい〜『夢顔さんによろしく』                          [2002年04月24日(水)] 『夢顔さんによろしく』西木正明/著(文芸春秋) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=01691614 劇団四季のオリジナルミュージカル『異国の丘』の原作(原案?)となった小 説。主人公の近衛文隆は実在の人物で、内閣総理大臣を勤めた近衛文磨の長男。 あまり私が自ら読もうとは思わない種類の小説だった。なんだか微妙。 歴史小説っぽい作り物っぽいエピソードもあるのだけど、基本的には史実に忠 実なんだろうと思う。第二次世界大戦前から終戦後にかけてが中心となってい るので、なまじ近い時代ということで、作り物なのかノンフィクションなのか、 あいまいな感じが気持ち悪い。わぁっと盛り上がって一気に読んでしまうとい う種類のものでもなかったし、ストーリーはそれなりに面白いけど、人に薦め るほど面白くもない、という感じ。 しかし、主人公の近衛文隆という人物の魅力はよくわかった。四季がミュージ カルにしようと思ったのも頷ける。それに、四季で主演している石丸幹二も文 隆(『異国の丘』での役名は秀隆)のイメージにぴったりだ。まだミュージカ ルを見ていないのだけど、そのうちまた東京で公演があったら観に行ってみた い。 文隆は剛胆、快活、明朗、人に好かれる好男子。背も高く、外見も魅力的だっ たようだ。若くして渡米し、留学するのだけど、親の金で遊び過ぎて、あげく 大学は中退(この遊び方、金遣いの荒さ、尋常ではナイ)。帰国後は短期間だ が父、文磨の秘書官と勤めた。支那問題に興味を持っていた文隆は、その後、 上海に渡り、その頃ごたごたとしていた日中の関係修復のために奔走するのだ が、その過程で中国人の恋人を失ってしまう(このあたりがミュージカルの見 せ場かも)。その後、徴兵され、日本女性と見合い結婚する。戦時中は満州を 転戦、終戦後はロシアの捕虜となる。長い捕虜生活。その間にもロシア語の勉 強をするなど、この人は精力的に自分に磨きを駆ける。しかし、帰国の条件と して、ロシア側のスパイになることを強要された文隆は、それをきっぱりと断 る。このことで、帰国への道は遠のいてしまった。最終的には、ロシア側に薬 物を投与され、少しずつ弱って、亡くなってしまう。日ソ国交が回復し、仲間 が皆、帰国してゆき、文隆にも希望が見えてきた頃のことだった。 最後まで近衛家の長男としての誇りを捨てなかった、その姿勢は心を打つ。こ の人がもっと長生きして、日本で政治家になっていたら、どうなっていたんだ ろう。日本は今とは違った国になっていたかもしれない。そう思わせるような 人物だ。文隆は元首相、細川護煕氏の叔父でもある。小説の中に幼い護煕氏も 登場している。文隆という人物を身近で感じながら育った護煕氏はその理想を 継ごうという思いもあったのかもしれない。志し半ばで亡くなった文隆の甥で ある護煕氏が後に日本の首相を勤めたということに、なにか不思議なものを感 じてしまった。 ___________________________________ ●リアルな戦争〜『プライベート・ライアン』 [2002年04月25日(木)] スピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』を見た。ちょっと前に民放で やっていたの(吹き替え版)を冒頭だけ見て、今日は字幕版で全部見た。 この映画、冒頭部分がかなりリアルな戦闘シーンで、ショッキングな映像だと いうから、ずっと見るのをためらっていたのだけど、民放でやっていたのをち ょっと見てしまったので、免疫がついてちょっと安心して全部見てみた。 見ていて、幸せな気分になれるような映画じゃない。かといって、深く考えな がら見るのは嫌な感じだ。戦争とは、生と死とは・・・。こんなことを考えな がら映画を見るのは嫌だなぁ。ついつい考えしまうのだけど。しかし、単なる 娯楽映画にしたくないという作り手の真摯な気持ちが伝わってくる映画ではあ る。でもドキュメンタリーっぽい退屈な感じはなく、最後までちゃんと見せ切 ってくれる力のある映画で、やっぱりスピルバーグはすごいと思った。そこら へんのアクション映画やCGばりばりなだけの映画とは違うのだ。 なにがすごいって、お金かかってそうなんだな。兵士の足は飛ぶわ、顔は飛ぶ わ、爆発はするわ、血のりは飛ぶわ、内臓は出ちゃうわ、すごいことになって いる。それがかなりリアル。お金の使い方がすごい。娯楽映画で地道に稼いで、 これだけのお金をかけて、これだけの特殊撮影の技術を使って、これだけのリ アルな戦争映画を作ってしまうのだから、やっぱりスピルバーグはすごいのだ。 男の子って戦争に憧れるらしいけど、やっぱり死の美学というか、命を賭ける というシチュエーションに憧れるのかなぁ。それともそんなもんなんにも考え てなくて、ただ単にマシンガン撃ったらすっきりするだろうなぁとか、そうい う風な憧れなのかなぁ。それってスポーツとかで代用できないのかなぁ。 この映画の場合、いきなりもう戦闘シーンから始まってしまうから、戦争がい いとか、悪いとか、人を殺すことはどうだとかそんなことは飛んでしまって、 いきなり生きるか死ぬかという極限状態に追い込まれてしまう。戦場に行って しまったら、人はもう生きる為に敵を殺してでも戦わなければいけないのだ。 戦わなければ死ぬだけ。もう、本当にやりきれない。 三人の兄すべてが戦死してしまった、ライアン二等兵を母親のもとに帰す為に、 主演のトム・ハンクス以下8名の兵士たちが戦場を巡って、どこにいるかわか らないライアンを探す。一人の命を救う為に、8人の兵士の命を危険にさらす というこの命令に対して、兵士たちはそれぞれに疑問や思惑を抱く。途中で命 を落とすものもでる。ライアン一人の為に。 戦場で大量の兵士が死んでゆくなか、ライアンを探し、守れという。ライアン は特別なのか。ライアンの為に他の兵士が命を落としてもいいのか。なんだか 禅問答のような究極の問いを孕んだストーリー。 前半はまだ見ぬライアン二等兵に対する不安のようなものがあって、いったい 本当のライアンというのはどういう人物なのか、ちょっとドキドキする。後半 で見つかったライアンはいい男だったのでほっとした。 それにしても、全編を通して戦場が描かれているこの映画を見ていると、戦争 がいいとか悪いとかそういうことではなくて、戦場に置かれてしまった人間と いうのはなんだかとても悲しい生き物だなと思ってしまった。その目的など関 係なく、戦う為にそこにいる。生きる為には戦うしかないという状況。そんな 状況ってとても悲しい。生きるということはもっと素敵なことだと思うのだけ ど、戦場にいる人にとっては、生きることは必死なことなのだ。故郷に帰れば、 家族がいて、生きるということはあたりまえのことなのに、戦場では生きるこ とに必死にならなければいけない。悲しいことだと思った。 たとえその大義名分が正しいと主張したって、世界中どこにも、「正しい戦争」 なんてないのだ。だって、お互いに自分が正しいと思って戦っているのだから。 どこかで譲り合わなければ戦争はいつまでたってもなくならないだろうと思う。 こちらも人間、相手も人間なのだから、よ〜く話あって、よ〜く理解しあえば、 どこかで譲り合いができると思うのだけどなぁ。うまくいかないのだ。 ___________________________________ ●シャバの空気 [2002年04月29日(月)] 入院することになって一ヶ月半、退院してから一週間ちょっと経った。ゴール デンウィークに入って家族も家にいる。そろそろシャバの空気が吸いたくなっ て来た。で、「外出は控えるように」という医師の言葉をちょっと無視して、 昨日、街にでてみた。 もともとうちは田舎で、一番近いコンビニまで歩いて15分、車がないと不便と いう住宅地。気分転換にちょっと買い物に、という環境にない。だから、病院 ならまだしも、家にずっといると、家族以外とは全く喋らない、他人と会わな いという事態に陥る。これって不健康よね。自然はいっぱいなので、家の回り を散歩すると今の時期、花がたくさん咲いていて綺麗だし、それで気分転換に なるのだけど、やっぱり話す相手が家族だけってのは寂しい。だからといって、 友人に電話してまでしゃべることもないし、なんとなく外に出て、他人のいる 中に居てみたい、という気分になるのだ。 母の運転で出かける。あまり無理してもいけないので、行く場所はだいたい決 まっている。本屋と手芸屋さん。もう、本屋さんは入院中から行きたくて行き たくて仕方なかった。だいたい、本屋さんが好きで本屋さんになった私だから、 一ヶ月半も本屋に行っていないと禁断症状が出てくる。本屋さんって本がある ところじゃなくて、情報があるところ。本屋さんに居るだけで、いろんな情報 がいっぱい得られる。買っても買わなくても楽しい。そんな本屋さんの雰囲気 を求めて、家ではオンライン書店を徘徊していたのだけど、なかなか実際の本 屋さんの気分を味わえるサイトはなかった。やっぱり本屋さんはあの紙の質感 を肌で感じて、雑多な本棚の雰囲気を目で楽しまなくてはいけないのだ。 バイト先の本屋さんに行ったので、取り置きしておいた本をまず確認。欲しか った本も探して、まとめて購入。すごい金額になってしまった。でも次にいつ 来れるかわからないから、今、買っておかなくては。ひさしぶりに友人(本屋 で働いている)と会って、ちょっとおしゃべり。社員さんにちょっと仕事を頼 まれる。私が担当している児童書の棚、ちょっと荒れてる。でも直し出すとキ リがないので、見てみぬフリ。私が復帰するまであと一ヶ月くらいかなぁ。な んとかがんばってくれ。 いっぱいの本に囲まれてシャバの空気を堪能。ああ、幸せ。本はいいのう…。 そのあと手芸屋さんに行って、ビーズ手芸の道具を購入。家に居て暇なのだけ ど、なぜかテデイ・ベアなどの大物(時間がかかる)を作る気になれず、買っ てあったビーズアクセサリーのキットを作ってみた。結構、楽しかったので、 ビーズのアクセサリーをもっと作ってみることにした。 ビーズは子供のころからちょくちょく作っていたから、作り方さえ分かればす ぐにできる。大学のころは、自分でガラスを溶かしてビーズを作ったり、アク セサリーを作ったりしていたので、それも生かせる。最近はスワロフスキーと いう会社のちょっと高級っぽいビーズを使ったアクセサリー作りが世間的に流 行っている。何冊かビーズの本を買ってみたのだけど、スワロフスキーや天然 石など高級な材料を使うと高級っぽいものができあがる。同じデザインでも子 供のころに作った丸玉ビーズのネックレスとは違った趣きがあるのだ。 それで、その高級っぽいビーズを買おうと思って、手芸屋さんに行ったのだけ ど、なにしろ種類がいっぱいあるし、色もいっぱいある。何を買っていいのか わからなくなってしまって、結局、練習がてらまずは安いビーズで作ってみよ うと思い、格安のビーズ(形は高いのと同じ)をいっぱい買った。これでだい たいコツがつかめれば、高いビーズで同じデザインで作ればいいのだ。安いビ ーズと高いビーズ、やっぱりなんとなく色合いとか風格が違う。高いのは2粒 で350円とかするので、 これはちゃんとデザインを決めてから買わないと、適 当に買っていくと無駄になりそうな気がした。インターネットでもいろんなビ ーズが買えるから、じっくり考えて、通販で買うのもいいかもしれない。 本屋と手芸屋でシャバを堪能したら少し疲れてしまったので、母と喫茶店に。 すごく久しぶりのケーキ! 食べたかったのだ。だいたい、お店に入ってなに か食べるというのも久しぶりで、これもまたシャバの空気なのだ。入院中はレ ストランのスパゲティーがすごく食べたかった。これは実現はまだ先だけど、 そのうち食べに行くのだ。 そのあと食材の買い物。スーパーも久しぶりなので、楽しかった。『おさかな 天国』が流れていた。 いっぱい歩いたので疲れたけれど、久しぶりにシャバの空気をたくさん吸って、 気分がリフレッシュした。欲しかったものも買えたし、これで今日からのおう ちライフもいっそう充実するのだ。むふふ。 (茜音「日々のほのぼの」より) http://akane.pos.to/akane/f/honobono.htm ─────────────────────→この続きも日々更新中です。 ___________________________________ --更新情報-- ★茜音 http://akane.pos.to/ 5月の壁紙カレンダーは春の野のイメージの水彩画です。(02/04/30) プロフィールのページを久々に更新しました。(02/05/05) ★ぱんだ雑貨店 http://akane.pos.to/sozai/ ***全面的に改装しました。素材もこれから増やしてゆきます。*** ・ライン(2種類多色24点)、背景パターン(6種類7色42点)。ちょっとかわ  いい感じの素材です。(02/04/25) ・ナビゲーション/Next-Back3種類10点。(2002/04/28) ・背景パターン/和紙A1種類(9色)9点、ナナメチェック3種類(8色)24点、  ナナメチェック6種類(1色)6点。 (2002/04/26) ・春っぽい壁紙12点。(02/04/30) ・ビーズフラワーのアイコン2種類(4サイズ10色×白黒背景)120点とシンプ  ルチェックの背景パターン2種類(10色)20点追加しました。(02/05/01) ★りんくる http://akane.pos.to/link-ru/ テディベアやビーズ関係のリンクなど追加しました。(02/05/02) ☆リンクについて http://akane.pos.to/common/f/linkfree.htm 各サイトのバナーを新しく作りました。リンクしてくださる方、よろしければ お使いくださいませ。 ◆おまけ 「怪作展」 http://akane.pos.to/kai/ 昨年末の展覧会の会場写真を掲載しました。(02/04/23) ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓  発行■そふえのりこ(祖父江典子)     【茜音-AKANE-】  「茜色通信」HP■登録、解除、変更はこちらから。    「茜色通信」は、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して  発行しています。  Copyright(C) 2002 Sofue Noriko  発行者の許可なく転載することを禁じます。 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛