□□□□□□□□□□ 茜色通信 Vol.0036 □□□□□□□□□□ 2002/01/09 Wed.---Since2000/01/26  発行部数105  「茜色通信」をご購読いただきありがとうございます。  私のサイトの更新情報と日記(日々のほのぼの)のダイジェスト版を  お届けします。    あけましておめでとうございます。新年そうそういい天気が続いてい  て幸先がいい気分です。今年も新年早々、母と観劇に出掛けました。  最近は観劇と読書、テディベア作りがすっかり趣味として定着してき  ました。読書は子どもの頃から好きで、常に本を持ち歩くのが習慣化  しているのだけど、最近は読後の感想を書いているのでそれが読書の  記録変わりにもなっています。今年もいろいろなことがある予感がし  ますが、私にとっても、これを読んでくださっている皆さんにとって  も、その他のたくさんの人にとっても、幸せないい一年になることを  願っています。 _/Contents_/ -- 今日のほのぼの -- ●遅ればせながら読んでみた。〜『ハリー・ポッターと賢者の石』                         [2001年11月21日(水)] ●村上龍ファン必読〜『eメールの達人になる』 [2001年11月26日(月)] ●ヘビがでてくるよ〜『ハリー・ポッターと秘密の部屋』                         [2001年11月28日(水)] ●ヒッポグリフってなんだ〜『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』                         [2001年12月04日(火)] ●楽しい写真絵本〜『みんなおなじ でも みんなちがう』                        [2001年12月07日(金)] ●『模倣犯』を買った。 [2001年12月10日(月)] ●キャラメルのクリスマス『ブリザード・ミュージック』                        [2001年12月18日(火)] --更新情報-- ★茜音 ★ぱんだ雑貨店 ★nuinui ぬいぐるみの部屋 =>>登録・解除・変更はこちらから http://akane.pos.to/common/f/akaneiro.htm ※記事中の書名の下にあるURLはオンライン書店bk1( http://www.bk1.co.jp ) の書籍詳細ページのURLです。 その本の内容、値段、大きさなどの詳細情報の ほか、bk1に投稿された書評なども読めます。 ___________________________________ -- 今日のほのぼの -- ●遅ればせながら読んでみた。〜『ハリー・ポッターと賢者の石』                         [2001年11月21日(水)] 『ハリー・ポッターと賢者の石』J.K.ローリング/著、松岡佑子/訳(静山社) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=01709711 イギリス発の世界的ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズを読んでみた。 本当に「飛ぶように」という表現がぴったりの売れ行き。でも今までそれほど 熱烈に読みたいとは思わなかったのだけど、もうすぐ映画が公開されるので、 その前に読んでみようと思った次第。映画、面白そうなんだもん。 第三作までを一気に読んだ。第一作の『ハリー・ポッターと賢者の石』はそれ だけで面白いが、三作目まで読んでみると、ほんの序章のよう。第七作まで毎 年一冊づつ出版されるそうなので、児童書としては相当な大作だ。 評判どおり面白くて、夢中で読破してしまった。児童書と侮るなかれ、だ。私 は子ども時代からよく本を読んでいて、子どものときには子どもの本を読んで いた(友人には子ども時代から大人の本を読んでいるような子がいた)。今考 えても、子どもの本って面白かった。だから、「ハリー・ポッター」が特別に 飛び抜けて面白いとは思わないのだけど、これだけヒットしているということ は、きっと、他の児童書にはない魅力があるのだろう。ただ、海外では子供達 が夢中になって読んでいるし、読み聞かせでも子どもは夢中になるらしいのだ けど、日本ではそこまでの熱烈なブームとはいえない。どちらかというと、子 どもよりも一部の大人が熱狂しているような気もする。やっぱり日本の子ども はちょっと醒めてるのかしら。だって、ハリーの真似をして箒(ほうき)でベ ランダから飛ぼうとする子どもとか、日本ではいないもの。あ、そもそも今の 家に箒なんてないのか。 個人的には訳文があまり好きではない。訳者の松岡さんは、同時通訳者。亡く なったダンナさんの後を継いで小さな出版社を続ける決意をしたそう。その出 版第一作として、なにかいい作品がないかと探していたところ、知人から「ハ リー・ポッター」シリーズを勧められ、その面白さに感動し、すぐに版権取得 の為の交渉をした。他にも大手の出版社数社が交渉していたそうだが、松岡さ んが版権を取得。そして出版した『ハリー・ポッターと賢者の石』はベストセ ラーになった。この背景もあってか、訳者の松岡さんはいまやメディアへの露 出も多い有名人になってしまった。著者のローリング女史も貧困の最中に「ハ リー・ポッター」シリーズを執筆したそうだ。この作品のヒットにはこうした 作者たちの背景が多少なりとも影響しているのだろう。それでもやっぱり作品 が面白いというのがヒットの一番の理由だとは思うが。 訳文は練りに練った文章で、誤訳のチェックもきっちりやっているらしいのだ けど、それでも少し不自然だったり読み難い感じがある。文化の違いもあるし、 原文の面白さをそのままに日本語に訳すというのはとても難しいのだろうけど、 もっと児童書の訳の経験の多い方が訳したら違ったものになったのかもしれな いと思いつつ読み進めてしまった。読みながらそう思ってしまうということは やはり日本語としてしっくり来ない文章なのだろう。でも英文を読めない私は 原書にあたることもできないのでしかたない。ちなみにうちの書店では原書も 好調に売れている。本当に英文を読める人が買ってってるのかしら。 ストーリーは、主人公のハリー・ポッターが魔法使いになるための学校で学ぶ 間にいろいろな事件が起こって、ハリーが活躍して解決するという勧善懲悪的 な明解なもの。基本的には悪いやつと闘って、最後は勝つという単純なものな のだが、その謎解きやらなにやらで少々複雑だったりして、最後が気になって ついつい徹夜してしまうというのもよくわかる。伏線が多いし、登場人物も多 い。犯人を当てる推理小説のような要素もあって楽しませてくれる。第一作目 から先の先までの伏線が張ってあるのにはびっくりした。第三作にでてくる話 は第一作目にちゃんと伏線が張られているのだ。 ハリー・ポッターは孤児で、両親は魔法使い。両親はハリーが赤ちゃんのとき に魔法使いの世界を征服しようとしていた悪いヤツ(これが最強の敵?=ヴォ ルデモート)に殺された。その後ハリーは普通の人間(魔法使いではない人。 魔法使いたちはマグルと呼ぶ)の叔母さん(お母さんの妹)夫婦に引き取られ 育てられるのだが、この叔母さん夫婦と息子のダドリーがハリーを虐める。な んだかありがちな設定なのだけど、この虐め方がひどいわりに、ハリーはひょ うひょうとしていてちょっと笑えたりする。こんなに虐められてハリーのよう な子が育つわけがないと思うのだけど、そこはお話だから仕方ない。まぁ、こ の家族がこの物語の笑いの部分を多分に請け負っていることは間違いない。虐 められてるハリーは可哀想なんだけど、この家族はかなり笑える。 で、ハリーは11才になったときに突然、君は魔法使いだと言われ、魔法学校へ 入学する。普通の人間(マグル)には魔法使いだと知られないように、魔法使 いたちは生活している。それも魔法使い独自の生活、独自の文化があるようだ。 魔法学校も、マグルには見つからないような場所にあるらしい。そして、そこ にはユニコーンやケンタウルスや、ドラゴン、妖精、不死鳥などの普通の人間 には幻と思われている動物たちが生息している。こういう動物たち、実は世界 中に分布しているのだが、各国の魔法使いたちが普通の人間の目に触れないよ うに隠しているのだとか。 普通の人間の世界では友達のいなかったハリーだが、魔法学校ではロンとハー マイオニーという親友もできる。一巻では途中まではハーマイオニーとはそれ ほど仲良くないのだけど、仲良くなってからはこの三人は常に一緒に行動して いる。ロンは赤毛で魔法使い一家の出身の男の子。ハーマイオニーの両親はマ グルだが、彼女は勉強熱心で秀才タイプ。その知識で二人を助ける。 魔法学校の先生たちも個性的で、私たちの身近にも居そうな感じ。魔法学校の 建物も奇妙で、ハリーたちの住む寮の入り口には太った貴婦人の肖像画がかか っていて、合い言葉を言わないと通してくれない。魔法の世界では肖像画や写 真の人物たちが動いていて、お互いに訪問しあったりするのだ。だから太った 貴婦人もハリーたちに話し掛けてくる。 魔法使いは箒で空を飛ぶ。魔法学校の授業でも箒での飛び方を教えてくれる。 ハリーは箒で飛ぶことに才能を発揮。魔法界の人気スポーツ、「クィディッチ」 の寮代表選手に選ばれる。このクィディッチ、サッカーとバスケットボールと をかけ合わせてさらに何かをプラスアルファしたような不思議なスポーツ。で も子供達がサッカーや野球に夢中になるように、ハリーたちもクィディッチに 夢中になる。ハリーは選手として大活躍し、ロンとハーマイオニーはもっぱら 応援するほうだ。 考えてみると、この物語、いろんな要素が入っていてそれが上手くミックスさ れているのだ。クィディッチにしてもそうだが、ハリーたちが熱中しているこ とは子どもが自分達に置き換えても考えられるものだったりして、身近に感じ るのだろう。ロンの双子の兄はイタズラ好きで、ハリーとロンも彼らに影響さ れてかイタズラグッズに夢中になる。授業だってそんなに真面目に受けてない。 ハリーは真っ白いフクロウのヘドウィグを飼っているし、ロンはねずみを飼っ ている。ハーマイオニーは三作目で猫を飼う。このペットたちもそれぞれに可 愛い。 『ハリー・ポッターと賢者の石』はハリーが魔法学校に入るまでのいきさつと、 登場人物の紹介、魔法界の不思議な生活の紹介といった感じ。もちろん、賢者 の石をめぐる攻防もあるのだけど、二作目、三作目に比べるとそれはあまり対 した闘いではない気がする。ハリーたちの最初の活躍ではあるのだけど・・・。 映画は毎年一作ずつ公開だそうで、これも楽しみ。今年の第一作目は海外では すでに公開されて、すごい人気になっているそう。日本でもハリポタブームが さらに過熱するかしら。 ハリー・ポッター友の会学校 http://www.harrypotterfan.net/ 映画『ハリー・ポッターと賢者の石』 http://www.harrypotter-jp.com/ ハリー・ポッター公式サイト(インターナショナルサイト/日本語版) http://harrypotter.warnerbros.co.jp/ 静山社(英語版のみ) http://www.sayzansha.com/ ___________________________________ ●村上龍ファン必読〜『eメールの達人になる』 [2001年11月26日(月)] 『eメールの達人になる』村上龍/著(集英社新書) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02096439 村上龍は大好きという訳ではないけど、どちらかと言えば好きという作家。と きどき、突然に「あ、村上龍が読みたい」と思う。不思議だ。何かと村上春樹 と並べられるので、試しに村上春樹を読んでみたら、こちらは全然受け付けな かった。 知らなかったのだけど、村上龍氏は「JMM(ジャパン・メール・メディア)」 という金融・経済をメインテーマとしたメールマガジンを主宰しているらしい。 以前、村上龍氏が『あの金で何が買えたか』(小学館[文庫改訂版は角川書店]) という本を出版したときに、なぜ小説家がいきなり経済の本を出したんだろう と不思議だったのだけど、こういう活動をしていたのかと、今になって納得。 見返しには「著者はインターネットの草創期からeメールを駆使し、(中略) 言わばeメールの達人」と紹介されている。知らなかった。そういえば、イン ターネットで新作を発表したりしてたっけ。 「電子メールの使い方」というような本は山ほど出版されているけど、ほとん どはメールソフトの操作方法や、基本的なルールなどで文章や文体についての 本は見たことがなかった。タイトルと、村上龍という作者名につられてパラパ ラと捲ってみると、実際のメールの文章がたくさん載っている。しかも全部実 際に送ったり送られてきたりしたメールのようだ。 買って読んでみる。私ももう三年くらいネットに足を突っ込んでいるけれど、 そうそう、そうなんだよね、と共感できるところが多い。メール交換やメーリ ングリストでの経験を踏まえて、親しい人、そうでもない人、仕事の相手など とのやりとりに適した文体、文脈の選び方、書き方が実例付きで載っている。 しかし、文章というよりも、メールに対する心構えや、活用の仕方を読み取っ たほうがいい。 電子メールのいいところは、普通の郵便で送る手紙などと違って、決まった形 式がないところだ。これは実は短所でもあるのだけど、仕事のメールなど、事 務的な内容をやりとりするには余計な装飾や挨拶がなくなって簡潔なやりとり ができる。心を込めた季節の挨拶などは普通の手紙やハガキの方がいいと思う。 私は普段メールでやりとりしている相手でも年賀状はハガキで送ることにして いる。宛名は手書きだ。 インターネットもeメールも万能ではない。コミュニケーションための一つの 形にすぎない。そして、コミュニケーションをとるという最大の目的を忘れる と、思わぬ失敗をすることがある。村上氏も同じようなことを書いていて、と ても共感できた。私などが普段思っていてもなかなか文章にしたりするのは難 しいのだが、こうして一冊の本にまとめてしまうのだから、作家とはすごい。 私は「メールの達人」とまではいかないけれど、「素人」「凡人」「達人」と いう区分をしたら、「凡人」くらいには入るかもしれない。普段、メールで見 ず知らずの人とやりとりをしていると、まだまだ「素人」な人が多いことに気 付く。しかし、eメールがコミュニケーションの手段の一つで、相手のことを 考えながらそれ を利用すれば、多少、eメール特有のルールにはずれていても、コミュニケー ションはスムーズにうまく行くことが多い。要はその人の人間性だ。メールで うまくコミュニケーションが取れない人とは、実際に会って話したとしても上 手く意志の疎通ができないと思う。メールの方が話易いとか、会話だとうまく 話せないとかそういうことは多少あるけれど、その人への信頼度のようなもの はメールの印象と実際に会ったときの印象は近くなると思う。 村上氏が歳月をかけて培ってきたeメールの活用方法。私も三年くらいかけて 失敗しながら学んできたことがある。しかし、そんな年月をかけなくてもこの 本で達人の技を習得できるのだ。それは、メール歴の長い人にとっても、短い 人にとっても意味のあることだ。それだけ、意志の疎通がしやすくなって、コ ミュニケーションを取ることが容易になるから。 そうそう、この本のもう一つの魅力は、村上氏の実際のメールの文章が読める こと。いわゆる実例集なのだけど、ほんとうにやりとりされたメールが掲載さ れているから、ファンにとってはたまらないだろう。なんだか、人の秘密を盗 み見ているみたいで、読んでいて楽しかった。文例集が楽しいというのは、人 気作家ならではかな。 JMM(ジャパン・メール・メディア) http://jmm.cogen.co.jp/ ___________________________________ ●ヘビがでてくるよ〜『ハリー・ポッターと秘密の部屋』                         [2001年11月28日(水)] 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』              J.K.ローリング/作,松岡佑子/訳(静山社) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=01903031 ハリー・ポッターシリーズの第二弾。ハリー・ポッターは魔法学校の二年生に なった。このシリーズ、一冊に一年分のエピソードが描かれていて、ハリーは 一冊ごとに学年があがってゆく。一年に一冊づつ出版されているので、読んで いる子供達も一才ずつ歳をとってゆく。ちなみに、映画も毎年一本ずつ公開さ れるそう。 ハリーのいるイギリスでは9月が学年の始まりなので、いままでの三冊とも、 夏休みのころから物語が始まる。この巻も、夏休みを意地悪な親戚の家で過ご すハリーがその家族に虐められているところから始まる。ハリーの誕生日は夏 休み中なので、毎回誕生日のエピソードも盛り込まれている。ハリーが何歳に なったのかが冒頭で語られるのでわかりやすい。この巻ではハリーは12才にな った。 一巻目の『ハリー・ポッターと賢者の石』では登場人物や設定の紹介が多かっ たけれど、この巻からはすんなり本筋に入って行く。しかも、新しい登場人物 がでてきたりして、飽きさせない。 表題の「秘密の部屋」をめぐる謎解きの面白さが推理小説のようで、私は、い ままでの三冊のなかではこの巻が一番好きだ。最後も「あっ」と言わせる展開 になっている。ハリー、ロン、ハーマイオニーの仲良し三人組がときどき喧嘩 をしながらも、力を合わせて悪と立ち向かう。この巻では最後はハリーとロン が大活躍。ハーマイオニーは途中から、とある事情で戦線離脱してしまうのだ けど、次の三巻の終盤ではハリーとハーマイオニーが活躍するので、ご安心を。 読めば読む程、登場人物が掘り下げられて、どんどん魅力的になってくる。長 篇の物語は、ひとりひとりの登場人物について、いろいろなエピソードが重な ってゆくことによって人間味が増してゆくところが好き。「ハリー・ポッター」 シリーズも、主要な登場人物はもちろん、脇役まで光っていて、物語にいろい ろな味付けをしている。 この巻ではギルデロイ・ロックハートという新しい先生が登場するのだけど、 この人のキャラがめちゃめちゃ面白くて大好き。嫌なヤツなんだけど、なんだ かピュアでチャーミングなのだ。この人は今のところ、この巻だけの登場で、 一巻にも三巻にも出てこない。でもこの二巻では重要な役どころだ。物語のキ ーを握っていたりする。七巻までの間にまた登場するかもしれないので、それ を楽しみにしていよう。 それから冒頭に登場するドビーという妖精。これもとても健気で可愛い。親切 心がちょっと違う方向に向いてしまって、事件を起こしたりもするのだけど、 健気なので許しちゃおう。ドビーも今のところこの二巻にしか登場しないが、 是非とも今後また登場させてもらいたいものだ。 しかしこの調子で登場人物が増えて、話が複雑になっていったら、ついて行け なくなるんじゃないかと心配。その点、子供たちは脳がやらわらかくて記憶力 も抜群だから、余裕でついていけるんだろうな。うらやましい。 それにしても、日本語版のあの本の大きさ、重さはなんとかならないものかし ら。寝ながら読んでいると腕が痺れる。電車で読もうと持ち歩くにも重すぎ。 でも持ち歩いて読んだんだけどね。英語版はペーパーバックででているという のに。それもこれも、小さな出版社だからなのかなぁ。講談社あたりが出版し てたら今頃、確実に、青い鳥文庫に入っていただろうに。 ___________________________________ ●ヒッポグリフってなんだ〜『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』                         [2001年12月04日(火)] 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』              J.K.ローリング/作,松岡佑子/訳(静山社) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02026949 「ハリー・ポッター」シリーズの三冊目。ハリーは13才になり、魔法学校の三 年生になった。少し身長も伸びて大人っぽくなったようだ。ストーリーの中に も少しずつ恋の予感がちりばめられている。一冊で一才ずつ歳をとり、一学年 ずつ上がるので、最終巻の7巻で17才かぁ。その頃には誰か特定のガールフレ ンドができてるかもしれない。作者は7巻の最後の章をもう書き上げてあるそ うだから、きっとハリーの運命はもう決まっているのだろうけど。 この巻は表紙に、羽のある怪獣(?)のイラストが描いてある。 外国版でも画家 は違ってもこの怪獣が描かれているので、この怪獣が物語のカギを握っている ことは想像がつく。この怪獣、ヒッポグリフという前半分が鷲で、後ろ半分が 馬という生き物。非常に誇り高く、バカにするようなことを言うと攻撃してく る。ちょっと恐い。人間の言葉は理解しているのだけど、言葉は話さない。知 能がどれくらいかよくわからないが、実は馬かオウムくらいじゃないかと思う。 なにしろ、魔法学校の森番ハグリットに家畜として飼われているくらいだから、 人間と同等ではないだろう。 ヒッポグリフはところどころで物語に登場するのだけど、それほど大きな役割 はなさそうだと思いながら読みすすめると、なんとなんと・・・・。この巻の 最後の方の展開は結構好き。展開というより、場面場面が絵になる感じがして、 「これ、映画にしたら綺麗だろうなぁ」とか、「自分が描くとしたらどういう 構図でどんなタッチで描くかなぁ」とかいろいろ考えてしまった。 表題にもある「アズカバン」というのは刑務所のこと。この物語の核となるの は、脱獄不可能といわれる刑務所アズカバンから脱獄したシリウス・ブラック という囚人。このブラックとハリーの意外な接点。「あっ」と驚くどんでん返 しの連続。一巻から周到に張られた伏線にも驚く。シリウス・ブラックも、実 は一巻に登場済みなのだ。ほんのちょっとだけど。 正直、この巻が一番複雑だった。何度も戻って読み直したりしてしまった。で も子供達はこの巻が一番好きだと言うらしい。さすが、子どもは記憶力も脳の 柔らかさも抜群なのね。私はちょっともう、ついて行けないかもしれないと何 度も思った。と、いうよりも、これは後の巻の伏線かも・・・と邪推してしま うともう何もかもが怪しく思えて、本筋に集中できなくなってしまった。この 後の巻もますます複雑になってゆくのだろうなぁ。その度に一巻から読み直す ハメにならなければいいけど。 ___________________________________ ●楽しい写真絵本〜『みんなおなじ でも みんなちがう』                        [2001年12月07日(金)] 月刊「かがくのとも」2002年1月号『みんなおなじ でも みんなちがう』       奥井一満/文、得能通弘/写真、小西啓介/AD(福音館書店) 面白い絵本がでた。福音館の雑誌、「かがくのとも」の最新刊。「かがくのと も」とか、「こどもとも」とか、いくつか種類があるけれど、どれも月刊で、 お値段が安いのが嬉しい。ときどき掘り出し物の絵本があるのだ。人気があっ た作品はあとで、「こどものとも傑作選」というシリーズでハードカバーの絵 本として発売されたりする。これも月刊絵本よりはちょっと高いけれど、他の 絵本と比べたら安価で良質。全体的に絵本って高いから、出版社はもっと値段 を下げる努力をしたほうがいいと思う。オールカラーで紙質などの素材にこだ わって作るとどうしても高くなってしまうのだろうけど、質を落とさずに安く っていう努力もして欲しいもんだ。そういう意味では福音館は立派。 「かがくのとも」はその名の通り、絵本という形態ながら、科学的なことを題 材にしている。ちょっと難しいことを分かりやすくしたり、純粋な物語絵本で はないんだけど、興味のある子にはお話の絵本よりも楽しいと思う。 私はお話の絵本の方が好きなので、このシリーズはあまり見ないんだけど、今 回は、思わず手にとりたくなるような表紙だった。『みんなおなじ でも み んなちがう』というタイトルを囲むようにアサリが整然と並んでいる。貝のア サリ。タイトルの通り、アサリは模様も色も形も全部違う。でも食卓に並ぶ見 慣れたアサリだ。確かに、「みんな同じ」アサリだけど見た目は「みんな違う」。 ふと、金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」という詩を思い出した。「みんなちが って、みんないい」という有名な一節が含まれている詩だ。みすゞの詩も簡潔 で多くを語らないところがいいのだが、この絵本もどのページにも「みんなお なじ でも みんなちがう」という言葉しか書かれていない。ページを開くと、 見開きいっぱいに、ひまわりの種の写真。1ページにたくさんの種がちりばめ られている。一つ一つ、ほぼ原寸大だろう。そしてページの上の方に「みんな おなじ でも みんなちがう」という文。確かに、みんなひまわりの種。でも 一つとして同じものはない。次のページにはウズラの卵。そして前のページを 同じように「みんなおなじ でも みんなちがう」という文。その後のページ も同じレイアウトで、カタツムリや梅干し、くわがた、もみじの葉っぱなどが 載っている。たったそれだけの絵本だ。ストーリーはない。一番最後のページ には「解説」として各ページに載っているものの説明が載っている。 まぁ、ひとりひとり違うことはあたりまえなんだよ、個性なんだよっていうこ とを伝えたい絵本で、単純に面白いっていうだけじゃなく、メッセージ性が強 い感じはする。でも、多くを語らず、写真で表現している点は私は好感を持て る。はたして、こういう絵本を子どもが好むのかどうかはわからないのだけど、 私は写真だけ見ていてとても面白かったので、つい自分用に購入してしまった。 サクランボのページなんかは、模様みたいに見えてかわいいし、カタツムリの ページもノソノソとしているカタツムリの写真が整然と並んでいてなんだか笑 える。マツタケのページも、高価な食材が無造作に並べられていて、おおっと 思った。 作り手側が「どんなものの写真を載せようかなぁ」とか考えたんだろうし、き っとこの本を作った人たちは面白がって作ったんだろうなぁと思える絵本だ。 そこが、なんとなく好感が持てる原因なのかもしれない。 ___________________________________ ●『模倣犯』を買った。 [2001年12月10日(月)] 上巻http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02006986 下巻http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02006987 宮部みゆきの『模倣犯』を買った。上下巻のハードカバーで、重い。重い本は 嫌いだ。持ち歩くのに重い。仰向けに寝ながら読むのに重い。しかも保存する のにも場所を取る。でも買ってしまうんだようね。文庫になるの待切れなくて。 年末になって、書籍関係の雑誌や書籍がランキングを発表し始めた。全部は見 てないけど、今年は『模倣犯』がかなり上位にランキングされてるみたい。だ って、どの書評を見てもみんな「面白い」「ハマる」「結末を見たくなる衝動 に駆られる」などなど読みたくなるようなことが書いてあったもんね。もう文 句なしって感じ。 でもね〜、重いし、高いし、あんまり読まないジャンルだしで買うのをためら ってたのだ。しかしここに来て、いろんな雑誌を見ているうちに、無性に読み たくなってしまった。相当に面白そう。期待を裏切らないで欲しいなぁ。読む のが楽しみ。 でもすぐに文庫になりそうな予感もするぞ。やっぱもうちょっと待てばよかっ たかなぁ。 ___________________________________ ●キャラメルのクリスマス『ブリザード・ミュージック』                        [2001年12月18日(火)] 演劇集団キャラメルボックス『ブリザード・ミュージック』 キャラメルボックスの『ブリザード・ミュージック』を観た。と、言っても観 たのは12月5日だからもう二週間も前になってしまった。いつもならすぐに 読むパンフレットも、いまはまだもらってきたまま袋に入っている。今月は忙 しかったのだ。でも、現在開催中のグループ展も明日でおしまい。あとは年賀 状を作って、のんびり年末を過ごしたいものだわ。 で、『ブリザード・ミュージック』の話。過去にやったときのビデオを観てい たから、なんとなくの話は覚えていたけど、やはり今の役者さんが演じると前 とは違った感じになる。セット、音楽も違うし。 ストーリーは説明しづらいのだけど、簡単に言えば、老人が昔の思いをかなえ る為に一週間だけ劇場を借り切って、役者を集め、その一週間の間に一つの作 品を作り、最終日のクリスマスイブに上演するという話。老人の息子やその妻、 孫たち、そしてオーディションに応募してきた役者たちが、それぞれの事情を 抱えながらも協力して一つの舞台ができあがる。彼等が創る舞台は、老人の過 去の物語。現在の物語の中に、劇中劇として老人の過去の体験が蘇る。 私はこういう劇中劇もの、結構好き。一粒で二度美味しいって感じ。主役の老 人は90才という設定なのだけど、劇中劇では若いときの自分自身を演ずる。 最初はヨボヨボだった老人が、最後には若いときの自分そのままにシャッキリ と立って思いを寄せていた女性に気持ちを告白する。劇中劇の中で、なのだけ ど、老人の想像の世界を視覚化したようで面白い。本当の90才だったらそこ までシャッキリできないだろうと思うのだけど、そこは演出の妙なのだ。 最近、キャラメル以外にもいろいろな舞台を観るようになったのだけど、改め て観るとやっぱりキャラメルは面白い。以前スカパーで録画した舞台の映像を、 早送りで観るつもりがついつい夢中になってしまったりする。そして、やはり 舞台は脚本と演出だと思うのだ。花形は役者さんなのだけど、その役者さんを どう料理するかは演出家にかかっている。キャラメルは主演俳優がいない。主 役級の俳優がたくさんいる。そして、それは同時に主役級の俳優さんが脇をが っちり固めるということでもある。初々しい新人さんもいいのだけど、実力派 の俳優さんが脇で主役をサポートしているというのが、いい舞台を創り続けて いける秘けつかもしれない。あとは、成井さん以外によい演出家、脚本家が登 場してくれればいいなぁと思う。 キャラメルの舞台って、すごく絵になっている。人の配置、セット、照明が一 体となって、舞台空間がとても無理なくきれいに見える。今回は、いつもはが んがんに聞こえる音楽が、舞台にしっくりマッチしてあまり気にならなかった。 最近、キャラメルの音楽に慣れてきたからかもしれないけど。 最近、休憩を挟んで3時間とかそいういう舞台をよく観るけれど、キャラメル は休憩無しの2時間。無駄に長くしない、そのポリシー(ポリシーなのかどう かわからないけど)も好き。長くてもその長さが気にならない舞台は多いけれ ど、妙に時間が長く感じる舞台もある。だから、2時間にギュッと詰まったキ ャラメルの舞台が最近、新鮮に感じたりする。 私の中では、キャラメルは定番、ベースとなっている劇団かもしれない。いろ いろつまみ食いはするけれど、主食はキャラメル(甘そう)かな。熱烈、強烈 に好きっていう訳ではないところがミソ。飽きずに長く楽しませてくれる劇団 なのだ。 (茜音「日々のほのぼの」より) http://akane.pos.to/akane/f/honobono.htm ___________________________________ --更新情報-- ★茜音 http://akane.pos.to/ トップページのカレンダー更新しました。 今年はアートシリーズ。手書きアートです。1月は水彩。(02/01/01) ★ぱんだ雑貨店 http://akane.pos.to/sozai/ ぱんだ雑貨店にDrawingの壁紙6点追加しました。水彩です。(01/12/31) ★nuinui ぬいぐるみの部屋 http://akane.pos.to/nuinui 手作りクマとおみやげクマいっぱい追加。(02/01/01) ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓  発行■そふえのりこ(祖父江典子)     【茜音】     【アトリエの屋上BBS】       「茜色通信」HP■登録、解除、変更はこちらから。    「茜色通信」は、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して  発行しています。  Copyright(C) 2002 Sofue Noriko  発行者の許可なく転載することを禁じます。 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛