児童向けの童話。医療施設で実験のためにせき髄を削り取る手術をされて、手当もされずに放置されていたシロ。死にかけているところを保護され、傷の手当てを受けて快復した。
その後、シロは虐待されて飼い主に放棄され保健所に持ち込まれ、実験用に医療施設に払い下げられた犬だったことがわかった。この事件が話題になり、東京都では実験犬の払い下げを全面的に取りやめた。
残念ながらシロは保護されてから一年くらいで不慮の事故で亡くなったけれど、シロの果たした役割は大きい。シロのお蔭で、その後、多くの犬たちが実験から逃れられたのだ。
動物実験が全面的に悪いとは思わないけれど、不必要な実験で動物の命を軽く扱う風潮はよくない。本当に必要な実験を最小限の犠牲で済むようにやって欲しいと思う。
それにしても、いわゆる保健所というところは、犬を保護して新しい里親を捜すということに対してとても消極的な活動しかしていない。私の住んでいる地域では保護センターなどという名称がついているけれど、実際は飼い主が飼えなくなって自ら持ち込んだ犬を殺処分するのが主な仕事のようだ。虐待されている犬の保護をお願いしてもまともな仕事はしてくれないらしい。殺処分も、安楽死などと言われているけれど、実際は「安楽」ではなく、犬たちは苦しんで死んでゆく。そういう殺し方をしているくらいだから、犬の「保護」なんてまともにできないのかもしれない。 もっとこの実体を世間に知らしめて、こういう行政のあり方を問うていく必要がある気がする。 |