犬のしつけ教室を開く著者が出会った犬と人間の物語。飼い主に虐待されたあと、隣人に保護され、新しい飼い主のもとへ引き取られた犬、奥さんに懐き旦那さんに嫉妬する犬、やむ負えない事情で著者のもとへ引き取られた犬、病気の飼い主の心の支えになった犬など様々な運犬たちの逸話が収録されている。
それと同時に、犬の繁殖で一儲けを、と飼い始めたラブラドール・レトリーバーと暮らすうちに犬への愛情にめざめ考えを改めた飼い主、犬を飼うことができない施設の子供たちとの交流、処分される犬たちを救うために奔走するボランティアなど犬と関わる人間のエピソードも織り込まれている。
著者が暮らすのは自然がいっぱいの農業地域らしいのだけど、そこでは犬は昔から番犬で、外で放し飼いというのが当たり前という意識が未だにあるらしい。犬についての知識も乏しい人がいて、フィラリアことも知らず、当然、予防もしていない。そういう人たちがいるということに驚いた。一昔前ならともかく、今はフィラリア予防は常識だと思っていた。
今は犬の寿命は10年以上だけど、昔は数年というのが普通だった。塩分や添加物の多い人間の食べ物のあまりものをもらっていたり、フィラリアにかかって死んでしまうからだ。今は栄養バランスのいいドッグフードと様々な予防注射などで犬の寿命は延びた。そのため、介護まで必要な長寿犬も多い。
奇跡をくれた犬たち
篠原 淳美(著)
、米山 邦雄(著)
幻冬舎
¥ 520 [文庫] 2006-12
ISBN:9784344408869 / ASIN:4344408861 |