チワワの小太郎
 
<< home << story
<< back next >>
●犬は気持ちが通じ合う◆『愛することを伝える犬たち』 [2003年09月27日(土)]
愛することを伝える犬たち―ありがとう、生きる力と命の意味を
篠原 淳美(著)

ベストセラーズ
¥ 1,365 [単行本] 2001-02
ISBN:9784584185841 / ASIN:4584185840

犬というのは、本来、人間のことを愛してやまない動物らしい。人間が好きでしかたないのだ。それを一生懸命伝えるのだけど、人間側がそれを受け取るアンテナを立てていないと見過ごしてしまう。そうなると、犬からの愛情は一方通行になってしまって、行き場を失い、犬は人間不信になったり、さまざまな心の病を抱えることになってしまうのだ。

人間から見れば一生懸命に犬に愛情をかけているつもりでも、犬にとってみたらそれは迷惑なことだったりということもある。そうすると愛情のすれ違いになってしまって、「こんなに愛情をかけてやっているのに問題を起こすなんて、困った犬だ」ということになる。犬からすれば、飼い主の対応が悪いために、どうすればいいのか分からずに犬社会のルールに従って行動しているだけだったりする。飼い主が犬のルールを知って、適切な対応をすれば、犬は安心して飼い主に従って生活することができる。

篠原さんの本を読んでいると、実に様々な犬や人間が登場する。最初は犬の話だったはずなのに、最後には人間について考えさせられていることも。この人は、犬も人も大好きなのだなぁと思う。犬の気持ちが分かる以上に、きっと人間の気持ちもよく分かるのだ。だから、犬のために、と言いながらも、問題有りの飼い主たちに根気よくつき合って最終的には理解し合うことができるのだ。

犬に愛されることによって、人の心が癒されるということをとてもよく分かっている。犬に問題があると人の心は癒されるどころかささくれだってしまう。だから、篠原さんのしつけ教室では、犬に愛される飼い主になって、犬を愛せる飼い主になれるように、犬を理解するための手伝いをしてくれるのだ。

篠原さんの犬に対する愛情は、子育てにも通じる。篠原さんには4人の子供たちがいて、この子供たちも毎日、担当を決めて 10頭余りの飼い犬と保護犬の世話をする。子供たちはそれぞれの仕事をこなすが、時々忘れてしまう。犬たちに餌をあげるのを忘れると、次の日の夕食を抜かれてしまう(犬にはこっそり餌をあげる)。そうすることで、子供たちはお腹を空かせた犬の気持ちを想像する。篠原さんも一緒に夕食を抜くというから、大変だ。

私は子供の頃から犬を飼うことが夢で、たびたび両親にねだったのだけど、ことごとく却下された。共働きで留守がちだし、世話をするのが大変だというのが大きな理由なのだろうけれど、最終的には「死んだら可哀想だから」という一言で納得させられてしまった。でも、そういう理由ってどうなんだろうと思う。

子供ながらにも「死んだら悲しいだろうな」とは想像できるけれど、愛犬が死んでしまったときの悲しみはそのときになってみないと本当には分からない。だから、私は未だにそれがどれくらい悲しいのかわからない。今うちにいるチワワの小太郎が死んだら、と想像することはできるけど、実際にその時にならないと分からない。事故で死んでしまうのと老衰で天寿を全うするのとでもその悲しみは全然違うだろう。

子供には死んだらどれくらい悲しいのかということを体験させることも必要だと思う。そして、それ以上に犬を飼うということは数万倍も楽しいことだと思う。だから、世の親たちには「死んだら可哀想だから」という理由でペットを飼うことを諦めないで欲しい。死んで悲しむというのは愛情があるということの裏返しなのだから、もし、万が一ペットが死んでしまってもそれだけの愛情をくれたことをそのペットに感謝して心の糧にしていかなければいけないと思う。

この本に登場する飼い主たちも様々な事情を抱えているけれど、犬から教えられたり、癒されたり、犬を愛して犬に愛されている飼い主たちが多い。犬は実にいろいろなものを私たちに与えてくれる。犬によって引き出される豊かな感情が私たちを癒してくれるのだ。この愛情を犬に伝えて、人間も犬に恩返ししなければならないと思う。伝え方は、人間流ではなく犬流でなくては伝わらないかもしれないけれど、伝えれば伝えるほど、犬は愛情を返してくれるのだと思う。

<< back next >>

 

Presented by 茜音-AKANE- & ぱんだ雑貨店

Copyright