□□□□□□□□□□□  茜色通信 Vol.0128   □□□□□□□□□□□ 2016/04/17 Sun.---Since2000/01/26  前号の発行部数48 =>>登録・解除・変更・バックナンバーはこちらから http://akaneiro.com/common/akaneiro/  「茜色通信」の読者登録をしていただきありがとうございます。  私のサイトの更新情報と日記(日々のほのぼの)のダイジェスト版を  お届けします。    ■日々のほのぼの   http://blog.akaneiro.com/  桜の季節が終わり、新緑の季節が始まります。季節の移ろいに心ざわ  めきつつ、癒される日々。人も自然も、なにも変わらないようで少し  ずつ変わってゆくのだなぁと、しみじみしてみたり。自然に教わりな  がら、のんびりと生きていきたいものです。 ────────────────────────────────────  ◎毎日更新中! チワワの小太郎のこと、デジモノのこと、本のことetc... 「へにょへにょ日記」 http://ameblo.jp/henyo2/ ◎気まぐれ写真ブログ「さぼてん日記。」 http://ameblo.jp/fuwafura/ ◎茜音-AKANE- Facebookページ http://fb.com/akaneiro ◎Twitter @noriko_v (日々のつぶやき) ◎Twitter @henyo2 (ブログなどの更新情報信) ◎Instagram @noriko_v(日々の写真) ◎note(季節の写真、今月の写真) http://note.mu/noriko_v ◎flicker(季節の写真、今月の写真、過去の写真) http://www.flickr.com/photos/noriko_v/ ──────────────────────────────────── ━━PR━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 楽天トラベル http://hb.afl.rakuten.co.jp/hsc/0a708f00.8fbf7e57.0a708f01.fc30a6d7/ 家族旅行も出張もペットホテルもみ〜んなおまかせ! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ _/Contents_/ ──────────────────────────────────── ■チワワの小太郎 チワワ星通信 -- 今日のほのぼの -- ●陰惨な無人島もの◆『蠅の王』ウィリアム・ゴールディング [2015/11/12] ●大人になるっていうこと◆『逢沢りく』ほしよりこ [2015/11/12] ●ふわふわ、きらきらの世界◆『はなとゆめ』冲方 丁 [2015/12/23] ●真犯人を捕まえようとしない警察の闇◆『殺人犯はそこにいる』清水 潔                              [2016/01/24] ●地道にコツコツ◆『この世でいちばん大事な「カネ」の話』西原 理恵子                              [2016/02/07] ● 近未来か現代か◆『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ[2016/02/07] ●ほっこりとタイムトラベル◆『たんぽぽ娘』ロバート・F・ヤング                              [2016/04/15] --サイト更新情報-- ★茜音 【ギャラリーと日記】 ★ぱんだ雑貨店 【壁紙とWEB素材】 ──────────────────────────────────── ※記事中の書名の下にあるURLは、Amazonの詳細ページへのリンクです。  Amazonの詳細ページではその本の値段、サイズ、出版年、書評などを見られ  ます。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━            **◆*◆* チワワの小太郎 チワワ星通信 *◆*◆**       ──────────────────────────────────── 最近、めっきり老け込んだチワワの小太郎。寝起きに、寝ぼけてワンワン怒っ たり、歯が弱くなったのかカリカリフードを前に食べるのをためらったり、歩 き方が少しヨタヨタし始めたり。まだまだ元気でいて欲しいので、甘やかさな いで厳しくしている飼い主です。でもやっぱり甘やかしてしまいそう。 ■へにょへにょ日記■(小太郎の日常はこちら) http://ameblo.jp/henyo2/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━             ◆ 今日のほのぼの ◆ ──────────────────────────────────── こちらに掲載している記事は『日々のほのぼの』ダイジェスト版です。 『日々のほのぼの』はこちら http://blog.akaneiro.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●陰惨な無人島もの◆『蠅の王』ウィリアム・ゴールディング [2015/11/12] ──────────────────────────────────── 『蠅の王 』    ウィリアム・ゴールディング/著、 平井正穂/訳(新潮文庫/新潮社) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4102146016/akane-22/ ──────────────────────────────────── だいぶ前に、「新潮文庫の100冊」に入っていたのを買ったのだけど、今の 「100冊」には入ってない。しかも現在はどこの出版社のものも、古書でしか 入手不可能のよう。何度も映像化もされているようで、DVDはいくつも販売さ れている。 無人島ものは好きなジャンルなのだけど、大抵は知恵と勇気と忍耐力で生き抜 く物語。複数人であれば意見が対立しつつも協力しあって生き抜こう、という 話になるわけだけど、この作品の場合はどちらかといえばホラー。救いがない。 子どもたちの無邪気さや純粋さというものが裏返しになって、人間の本能的な 殺戮願望のようなものが理性という抑圧がない状態で解放されてしまうような、 そんな話。 無人島だからこそ成り立つ無法でサバイバルな状況で、野生の豚を狩り、解体 し、喰う。そしてあげくには仲間だったものまでも殺し、狩る。なんとも陰惨 で読み進めるのが辛かった。しかしこれが人間の原始の姿なのかもしれない。 そこから、法や秩序が生まれてくる、そんな物語だったらよかったのに、逆に、 始めにはあったはずの秩序が崩れてゆく様が書かれているのだった。 陰惨であるが故に、心に残ってしまう物語、とも言えるのかもしれない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●大人になるっていうこと◆『逢沢りく』ほしよりこ [2015/11/12] ──────────────────────────────────── 『逢沢りく 上』ほしよりこ/著(文藝春秋) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163901469/akane-22/ 『逢沢りく 下』ほしよりこ/著(文藝春秋) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163901477/akane-22/ ──────────────────────────────────── iPhone6s Plusで電子書籍版で読了。ほしよりこさんの独特の紙のザラッとし た感触が味わえないのが欠点だけど、外出先でさらっと読み進められるのは電 子書籍のいいところだと思う。電車の中で一気読み。 第19回「手塚治虫文化賞」のマンガ大賞にも選ばれた本作。すでに評価が高い のでなにも言うことはないのだけど、ともかく、噂通りのすごいマンガだった、 という感想。 1974年生まれの著者と同い年なので、感覚としては近いものがあるのかなと思 いながら著作を読んでいるのだけど、そんなこと関係なしに、年代を超えて訴 えてくる力強さのある作品群だからこそ、評価されるのだろうな。 この作品にしても「きょうの猫村さん」にしても、平成とも昭和とも言えない、 ちょっとノスタルジックな時代設定で、同年代から上の世代には懐かしさを、 下の世代には新しさを感じさせる作風。いや、下の世代が新しさを感じている かどうかは正直わからないけど、なにかこう、現代の便利さとはかけ離れたの んびりとした時代感がいいのではないかなと思う。 鉛筆描きで、セリフまで手描きという手法。学生時代に書いていたノートの落 書きとか、教科書の隅に書いていたパラパラ漫画の延長のような懐かしさ。 引き込まれて読んでいくと、小さなエピソードの積み重ねで深みを増す物語。 主人公の逢沢りくは、周囲とは距離を置いて、冷めている女子中学生なのだけ ど、実は寂しさを抱えていて本人もそれに気付いていない。大人と子どもの中 間で、大人の前では子どもを演じ、心の中では自分は大人だと思っている、そ んな子。 とても特別な存在で周囲から浮いているようにも見えるけれど、実はごく普通 の子なのだと、読者は気付いている。逢沢りくみたいに美人でも冷めてもいな かったけれど、自分の中学生時代もそんな風に大人の自分と子どもの自分を 行ったり来たりしていたなぁと、誰もがそう思う部分があるのではないだろう か。 そんな、「大人っぽい中学生を演じている」逢沢りくが、賑やかな親戚の家に 預けられて、大人でも子どもでもなく、そのままの自分を受け入れていく、そ んな物語になっている(と思う)。どんなに賑やかな家族でも抱えている苦し みはあるし、どんなに冷めた家族でも表に出てこない愛情や幸福もある。そう いうことを知ることが、大人になる、っていうことなんだろうな。 ──────────────────────────────────── 『きょうの猫村さん 1』          ほしよりこ/著(マガジンハウス文庫/マガジンハウス) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4838770057/akane-22/ ──────────────────────────────────── ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ふわふわ、きらきらの世界◆『はなとゆめ』冲方 丁 [2015/12/23] ──────────────────────────────────── 『はなとゆめ』冲方 丁/著(角川書店) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041106044/akane-22/ ──────────────────────────────────── 電子書籍版で読了。電子書籍版は、カラー挿絵入りの電子ビジュアル版と、挿 絵なしの通常版があるようで、私が買ったのは電子ビジュアル版。eペーパー のモノクロの端末だとイラストも白黒になってしまうのだけど、遠田志帆さん のイラストがきれいだったのでビジュアル版で購入した。 液晶画面は眩しいのでeペーパーのほうが読みやすいのだけど、イラストをカ ラーで見たかったのでiPhone6Plusの大きな画面でイラストも堪能しつつ読ん だ。思った通りの美しいイラストで、ビジュアル版を買ってよかった。 舞台は平安時代。主人公は「枕草子」を書いた清少納言。一条帝の中宮、定子 (ていし)に仕えた清少納言の一人称で語られる華やかな宮中の物語。なのだ けど、どこかふわふわ〜っとして、キラキラっとし過ぎていてリアリティがな い感じ。作者が男性だからなのか、女性独特のあくの強さというか、どろど ろっとした嫉妬や確執なんかがない世界。男性から見た、理想的な、女性の世 界なのかもしれない。女同士って、こんなにきれいじゃないよ。 男性の権力争いに巻き込まれながらも強く生きる定子と、そんな定子を尊敬し、 守ろうとする清少納言。年若いながらも賢く優しく非の打ち所のない定子の周 りには彼女を慕う女官達が集まる。女の世界だから、イジメとかありそうなの だけど、そういうものは描かれず、ひたすら定子のすばらしさが描かれる。 もうちょっと、ダメなところもあったほうが人間らしく魅力的だと思うのだけ ど、なんだか完璧すぎて、作り物みたいだと思ってしまった。そんなに完璧な ら、同性から見れば、憧れや尊敬と同時に嫉妬心も生まれると思うのだけどそ ういう黒い部分は描かれない。 清少納言には子どもがふたりもいたのに、成長した姿はまったく出てこないし、 幼い日の姿もほとんど描かれない。この時代、自分では子育てをしないとはい え、子どもとの関わりがまったくないということはないだろうと思うのだけど、 物語の中からはさっぱりと切り捨てられている。ひたすらきらびやかな宮廷の 恋の世界には子どもや、親子の情は必要ないということなのだろうか。 のちに絶大な権力を持つことになる藤原道長は自分の娘の彰子(しょうし)を 入内させるために邪魔な定子を追い込む。このあたりのことは、なんとなく歴 史の授業で習ったような、他の小説で読んだような。陰陽師の安倍晴明も、道 長側として少しだけ出てくる。たしか彰子に仕えていたのが紫式部。でも紫式 部は出てこない。なので、ちょっと消化不良だった。 この時代の人物の名前は似ているし読み方は難しいし血縁関係が複雑で、前半 はかなり混乱。電子書籍だとパラパラと戻ることも面倒。ネタバレにならない 程度に、登場人物の系図があればいいのにというのと、その系図(と名前の読 み方)を電子書籍の端末やアプリで読んでいる途中で簡単に参照できるといい のに、と思いつつ読み進めた。 清少納言が宮中から下がって引きこもっている時に誰に見せるともなく書いた ものが、やがて宮中で広まって中宮、定子の目にもとまる。それが「枕草子」。 そしてそれら殿上人たちの反応を伝え聞きながら、「枕」はさらに書き加えら れてゆく。その様子は、まさしく現代のブログに通じるものがあるなぁと、そ こはものすごく共感した。作者はもしかして、これが言いたかったのかな。 個人的にはもっとどろどろっとした世界が好きだけども、ふわふわっとした世 界はそれはそれで居心地よく、読みやすい作品だった。平安時代のきらびやか な世界に触れたい人にはよい本なのではないかと思う。 私の場合は、夢枕獏の「陰陽師」や、紫式部の「源氏物語」寄りに、人間の業 とか性(さが)とか、そういうものを求めてしまうのかもしれない…。 ──────────────────────────────────── ● 『はなとゆめ 電子ビジュアル版』                 冲方 丁/著、遠田 志帆/絵(角川書店) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00G6E99GA/akane-22/ ──────────────────────────────────── ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●真犯人を捕まえようとしない警察の闇◆『殺人犯はそこにいる』清水 潔                              [2016/01/24] ──────────────────────────────────── 『殺人犯はそこにいる』清水 潔/著(新潮社) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4104405027/akane-22/ ──────────────────────────────────── 書評やレビュー欄で絶賛されていたのでいつか読みたいと思っていたのだけど、 事件を追ったノンフィクションだけに時期を逃すとつまらなくなるかなと心配 だった。結果的に、出版されてから2年過ぎた今も、真犯人は捕まっておらず、 今読んでも胸に迫る渾身の1冊となっている。これだけの内容なら事件が解決 して増補版が出てから読んでもたぶん、遅くはないと思う。 一人のジャーナリストが、番組作りのために取材する未解決事件を探している ときに奇妙なことに気付く。ごく近い範囲で起きた5件の幼女誘拐事件。4人は 遺体で見つかっており、一人はいまだに行方不明のまま。誘拐時の状況や遺体 発見現場の状況などから連続事件と思われる。しかし、そのうち一件について はすでに犯人が逮捕されて刑も確定している。世に言う足利事件である。それ ゆえ、連続殺人事件ではないとされてしまっている。なんとも不可解。 そんなところから取材を開始して、関係者への地道な聞き込みによって判明す る事実、DNA型鑑定の不確かさ、警察の強引な捜査や取り調べなど次々と出て くる証拠に、逮捕された人物は冤罪ではないかという疑念を抱き、まずはその 人物、菅家利和さんの無実を証明するために奔走する。そしてついに無罪と なって釈放。 それだけでも十分ドラマチックなのだけども、著者の最終的な目的は連続誘拐 殺人事件の犯人逮捕。5件の事件を連続事件として真犯人を追い、そしてつい にそれらしき人物に辿り着く。直接、その人物に話しを聞いてもいる。警察に もその情報を伝えているにもかかわらず、逮捕もされず、事態は動かない。 その裏には足利事件と同じように初期のDNA型鑑定を証拠採用し、すでに死刑 が執行された飯塚事件との関連が見え隠れする。足利事件とは違い、DNA型鑑 定以外の証拠も揃っているという飯塚事件。しかしこの事件も現場を訪ね歩い て取材を進めるうちに、過去の報道の内容や警察の発表とは違う事実が発覚。 もしやこの事件も冤罪なのでは。初期のDNA型鑑定の信憑性がゆらげば、飯塚 件の判決もゆらぐ。警察はこの事件の真相を隠蔽するために、DNA型鑑定の信 憑性が根底から覆されるおそれのある連続幼女誘拐殺人事件の犯人逮捕に及び 腰なのではないか。 冤罪、死刑、警察の強引な取り調べ、思い込みによる杜撰な捜査。1冊の中に 様々な問題が凝縮されている。「事実は小説よりも奇なり」と言うけれど、ま さにその通りで、そんじょそこらのミステリー小説よりもずっと劇的で衝撃的 な内容。これが実際の事件であるという重み。今も苦しんでいる遺族がいると いう事実。そして居場所が突き止められている真犯人(とおぼしき人物)はま だ捕まっておらず、普通に生活をしている。 以前、大学の授業かなにかで聞いた気がするのだけど、本来、捜査を担当する 「警察」は、被告人の利益になる証拠も不利益になる証拠もすべて「検察」側 と「弁護」側に提供しなければいけないはずなのだそうだ。しかし、実際は 「警察」と「検察」はタッグを組んで、有罪になる証拠のみを裁判で提示して、 自分たちに不都合な証拠、被告人に有利になる証拠は出さない(どころか隠蔽 することもある)。こういう司法のゆがみのようなものが、結果的に冤罪事件 を生み出すのではないかと、この本を読んで改めて強く思ったのだった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●地道にコツコツ◆『この世でいちばん大事な「カネ」の話』西原 理恵子                              [2016/02/07] ──────────────────────────────────── 『この世でいちばん大事な「カネ」の話』                 西原 理恵子/著(角川文庫/角川書店) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4043543182/akane-22/ ──────────────────────────────────── 「お金は大事だよ〜」ってCMが昔あったけども、みんなそうは思っていても 「お金、お金」と口に出すのは下品だというのが日本の文化。私自身も、あま りにもあからさまにお金の話をするのは苦手で、ついついボランティアでいろ んなことを引き受けてしまうのだけど、お金がないと生きていけない世の中な ので、やっぱりお金、ちゃんと稼がなきゃなと思ったのだった。 サイバラさんは小さい頃からお金に振り回されて、大人になってからも自ら ギャンブルの世界に飛び込んだり、FX始めたらリーマンショックで大金が吹っ 飛んだり、破天荒な人生を歩んでる。でもそれをネタにお金を稼いでいるんだ から人生とは奥深い。 そんなサイバラさんの実体験から得た教訓が満載の一冊。カネは地道にコツコ ツ、ズルをしないで稼いで貯めるのが一番。ギャンブルや投資で一攫千金なん て夢を抱いてはいけないのだ。 それでも、カネで右往左往するサイバラさんの人生がなんだかとても楽しそう で、うっかりそっちに行ってしまいたくなるのはナゼなんだろう…。 (電子書籍で読了) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 近未来か現代か◆『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ[2016/02/07] ──────────────────────────────────── 『わたしを離さないで』   カズオ・イシグロ/著  土屋 政雄/訳(ハヤカワepi文庫/早川書房) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4151200517/akane-22/ ──────────────────────────────────── 出版された時から話題になっていて、気になっていたのだけども、ドラマ化さ れたのを機に読んでみた。 書評もたくさんあって、この本の特殊な設定の部分は隠されていたり、ほのめ かされていたり、一部では明かされていたり。すでに映画化、舞台化もされて いるのでいまさら隠さなくてもいいのだろうけども、知らない方もいるかもし れないのでなるべくネタバレしないように気をつけて書いてみる。 私自身は、設定をだいたい知ってから読み始めたので、小説の中ではその部分 はいつ明かされるのかと思いながら読み進めた。すると、意外に早い段階でわ かって、拍子抜け。それは小説の中では設定の一部であって、本当のテーマは もっと普遍的なものなのだろう。解説でも、著者自身がそれを未読の読者にあ えて隠さなくてもいいと言っていると書かれていた。 特殊な施設で育った若者たちの特殊な人生の物語。この物語には「外部の人」 がほとんど登場しない。あくまで主人公たちの視点で書かれていて、その外側 の世界がどうなっているのかは最後までよくわからないままだった。彼らが役 割を終えたあとはどうなるのか、彼ら以外の人たちはそれをどう受け入れてい るのか、SF的な物語の、描かれなかった部分がとても気になって仕方がない。 それだけ、想像の余地のある、余白のある物語ということなのかもしれない。 自分と同じだと思っていた登場人物たちが、実は自分たちとは決定的に違う生 い立ちがあって、その未来も決められている、そして彼らはその運命を淡々と 受け止めて生きている。そう思うとせつなく、胸が痛い。彼らは自分たちと同 じなのか、それとも異質な存在なのか。深く考えさせられる。 そして、近未来に訪れてもおかしくない世界を描いて、社会的な問題提起もし ている作品である。何年か後に、ほんとうにこの物語に登場するような子ども たちがどこかで生まれているのかもしれない。もしかすると、今現在でもそう いう目的で育てられている子どもたちがいるのかもしれない。人々が見ないよ うにしている、現代社会の闇の部分に光を当てているようにも思えた。 (電子書籍で読了) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ほっこりとタイムトラベル◆『たんぽぽ娘』ロバート・F・ヤング                              [2016/04/15] ──────────────────────────────────── 『たんぽぽ娘』    ロバート・F・ヤング/著、伊藤 典夫/編(河出文庫/河出書房新社) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/430946405X/akane-22/ ──────────────────────────────────── SF小説の古典的な作品なのかな。表題作の「たんぽぽ娘」を読むために購入。 きっかけは演劇集団キャラメルボックスの舞台「ミス・ダンデライオン」。そ の原案だというので。 読んでみたら、「ミス・ダンデライオン」よりも、映画でもヒットした、市川 拓司さんの小説「いま、会いにゆきます」のほうが断然似ている…。というか、 完全に元ネタなのではないかと。しかし、私の場合は先に「いま、〜」を読ん でしまっていたので、どうしても、「たんぽぽ娘」のほうがマネっこのように 思えて仕方ない。まぁ、それだけ「いま、〜」がよくできていたということだ とも言えるのだけど。 正直、どの作品もそれぞれ独立してとても好き。タイムトラベルという時間の ずれを利用したファンタジーで、男女の淡い思いを描いていて、最後にちょっ ぴり切なく、そしてほっこりと暖かくなるのだった。 タイムトラベルの仕組みを利用したストーリーの巧みさとともに、最後のほっ こり感をちゃんと保っているところが、後発の2作品のいいところだなぁと思 う。探せば他にも同じトリックを使った作品はたくさんありそう。 この短編集の他の作品もいいものがたくさんあったけれど、それと比べても 「たんぽぽ娘」が人気あるのはよく分かる。ちょっぴりロリコン的な要素もあ り、男性の心を掴むのかもしれないなぁ。 他の作品では、女性が強い世界が多いのが印象的だった。それも、凛とした成 熟したものというよりは、野性的で動物的に進化した感じで、男性を支配する というもの。これは作者の、支配されたいという願望なのか、どうなのか。 そんなわけで、ロバート・F・ヤングの他の作品も読んでみたいとはあまり思 わなかったのだけど(短編13編でお腹いっぱい)、「たんぽぽ娘」が名作だと いうことは確認したのだった。うん。 (電子書籍で読了) ──────────────────────────────────── 『いま、会いにゆきます』市川拓司/著 (小学館文庫/小学館) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4094082174/akane-22/ ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── (茜音「日々のほのぼの」 http://blog.akaneiro.com/ より) ・・・・・・─・─・─・──・──・──→この続きも日々更新中です。 日記ブログ「へにょへにょ日記」は毎日更新中。。。 http://ameblo.jp/henyo2/ ──────────────────────────────────── ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━             ◆ サイト更新情報 ◆              ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃茜音 【ギャラリーと日記】 ┃ http://akaneiro.com/ ┃----------------------------------------------------------------------  (2016/04/10) トップページのカレンダー更新しました。4月は八重桜です。 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃ぱんだ雑貨店 【壁紙とWEB素材】 ┃ http://sozai.akaneiro.com/ ┃----------------------------------------------------------------------  (2015/11/07) [壁紙-花・植物]バラの壁紙24点追加しました。  (2015/12/07) [壁紙-花・植物]サザンカ、パンジーなどの壁紙10点追加し         ました。  (2016/02/07) [壁紙-花・植物]紅梅、白梅の壁紙15点追加しました。  (2016/03/07) [壁紙-花・植物]早咲きの桜、梅、菜の花の壁紙18点追加し         ました。  (2016/04/10) [壁紙-花・植物]桜、菜の花、オオイヌノフグリ、ツクシな         どの壁紙48点追加しました。 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓  発行■祖父江典子     【茜音-AKANE-】     メールフォーム     Twitter(@noriko_v)     Twitter(@henyo2)  「茜色通信」Web site■登録・解除・変更・バックナンバーはこちらから      ■「茜色通信」は、以下のシステムを利用して無料で配信しています。  まぐまぐ  マガジンID:0000023568  melma!  マガジンID:m00073386  Copyright(C) 2003-2016 Sofue Noriko  発行者の許可なく転載することを禁じます。 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛