□□□□□□□□□□□  茜色通信 Vol.0072   □□□□□□□□□□□ 2004/11/04 Thu.---Since2000/01/26  前号の発行部数144 =>>登録・解除・変更・バックナンバーはこちらから http://akane.pos.to/common/f/akaneiro.htm  「茜色通信」の読者登録をしていただきありがとうございます。  私のサイトの更新情報と日記(日々のほのぼの)のダイジェスト版を  お届けします。                  ◇ ◇ ◇    イラクの戦争は終わらず、日本では台風、水害、地震と自然災害が続  いています。なんだか暗い気分になりがちですが、暗くなっていても  しがたないので、自分にできることをできる範囲でやって、日々一生  懸命生きていくしかないですね。    12月に恒例の展覧会をやります。今は準備と作品制作の日々。スケジ  ュール的にはそんなに忙しくないのですが、精神的にソワソワしてい  ます。ついついがんばり過ぎて参ってしまうので、ほどほどに。   ■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■     怪作展   〜絵画・工芸・書・インスタレーションなど〜   12月16日(木)〜22日(水)11:00〜19:00(最終日は18:00まで)  EPOホール(小田原エポ5階)                →詳しくは「怪作展」のサイトへ                  http://akane.pos.to/kai/ ■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■   ◎毎日更新中! チワワの小太郎のこと、料理のこと、本のことetc... 「へにょへにょ日記」 http://plaza.rakuten.co.jp/fuwafura/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ _/Contents_/ ──────────────────────────────────── -- 今日のほのぼの -- ●戦争が生み出すやりきれなさ◆『ミス・サイゴン』 [2004年08月23日(月)] ●毎日きもの、奮闘記◆『きもの365日』 [2004年08月24日(火)] ●探偵大活躍◆『百器徒然袋ー風』 [2004年08月27日(金)] ●なってしまったものは仕方ない◆『負け犬の遠吠え』 [2004年08月28日(土)] ●フィクションの死に憧れる年頃◆『世界の中心で、愛をさけぶ』                          [2004年08月29日(日)] ●まともにとんでる◆『蛇にピアス』 [2004年08月30日(月)] ●さっぱりわからん◆『蹴りたい背中』 [2004年08月31日(火)] --サイト更新情報-- ★茜音 【ギャラリーと日記】 ★ぱんだ雑貨店 【壁紙とWEB素材】 ★チワワの小太郎 【癒し犬の写真と壁紙】 ★りんくる 【わがままリンク集】 ★ちょこら 【小さな本屋さん】 ──────────────────────────────────── ※記事中の書名の下にあるURLは、オンライン書店bk1の書籍詳細ページの  URLです(特に断りのある場合を除きます)。 その本の内容、値段、大きさ  などの詳細情報のほか、bk1に投稿された書評なども読めます。   『オンライン書店 bk1』はこちら http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_top.cgi?aid=p-akane01465 ──────────────────────────────────── [PR] ■本だけじゃ物足りない。CD,DVD,ゲーム、PCソフト、電化製品などなど。 『Amazon.co.jp』はこちら  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/redirect?tag=akane-22&path=tg/browse/-/489986 ■いらなくなった本を Amazon.co.jp で売ることができます! 『Amazon.co.jp マーケットプレイスストア』 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/redirect?tag=akane-22&path=tg/browse/-/1058424 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━             ◆ 今日のほのぼの ◆ ──────────────────────────────────── (日記もどき『日々のほのぼの』ダイジェスト版) 『日々のほのぼの』はこちら http://akane.pos.to/akane/f/honobono.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●戦争が生み出すやりきれなさ◆『ミス・サイゴン』 [2004年08月23日(月)] ──────────────────────────────────── 『ミス・サイゴン』2004年8月15日-11月23日 帝国劇場 制作:東宝株式会社 制作協力:キャメロン・マッキントッシュ 音楽:クロード=ミッシェル・シ ェーンベルク 詞:リチャード・モルトビー,JR./アラン・ブーブリル オリ ジナルフランス語テキスト:アラン・ブーブリル 追補:リチャード・モルト ビー,JR. 翻訳:信子アルベリー 訳詞・岩谷時子 キャスト:市村正親、筧 利夫、橋本さとし、別所哲也、笹本玲奈、知念里奈、新妻聖子、松たか子、石 井一孝、井上芳雄、坂元健児、今井清隆、岡幸二郎ほか ──────────────────────────────────── 『ミス・サイゴン』を観てきた。わりと前の方の右サイドの席。端の方だった のは残念だけど、舞台は近くてよく見えた。でも帝劇なのでオペラグラスは必 携。 大まかなストーリーは雑誌で予習していったのだけど、初めて観たのでストー リーを追って歌詞を聴き取るのに必死だった。ヒロインのベトナム女性キム役 は知念里奈。テレビでもすごく歌の上手い人だと思って見ていたので安心して 観れたのだけど、途中、歌詞が聞き取りづらいところがあって、ちょっと消化 不良。開幕して2週間くらいだし、キャストがクワトロ(4人)とかトリプル (3人)なのでまだ慣れていない感じは否めない。知念里奈もいっぱいいっぱ いという印象で余裕がなかった。 別所哲也がエンジニア役。キムと恋に落ちるアメリカ人クリスは石井一孝。そ の他は坂元健児(ジョン・クリスの友人のアメリカ兵)、石川ちひろ(エレン ・クリスの妻)、泉見洋平(トゥイ・キムの婚約者)、杵鞭真衣(ジジ)とい うキャスティング。話題の松たか子とか市村正親とか筧利夫とかは出ていない からか、当日券の席は空席があった。 『レ・ミゼラブル』で別所哲也のジャン・バルジャンがよかったので、今回も 楽しみにしていた。エンジニアはかなり胡散臭い役。役にはまっていたかどう かは別にして、やっぱり別所さんはいいなぁと思った。しかし、他の人がやっ たらどうなるんだろう…というのが常にあって、別キャストもみたくなってし まった。 そして、今回は石井一孝さんにフォーリン・ラブ。クリスがね、かっこよかっ た。でもトイレ休憩のときに後ろに並んでいた人たちが井上芳雄クリスの方が ハマっていたと言っていたので、それも見たくなってしまった。 雑誌インタビューではクリス役の人たちが口を揃えて、クリスは一番共感され ない(であろう)役だと言っていたけれど、私はすごく感情移入してしまって、 共感というか同情というか、この話の中で一番人間的に私たちに近い人だと思 えた。すごく普通の人。そう感じたのが、今回のクリス役の石井さんの演技の 力に寄るものなのか、舞台のストーリーや演出がもともとそうなのかわからな いけど。 エンジニアの経営するクラブ(売春宿?)で出会ったクリスとキムは一晩で恋 に落ち一緒に暮らすようになるが、まもなくサイゴンは陥落。クリスはキムを アメリカに連れて行こうとしたけれど、混乱のさなかでそれは叶わず、二人は 離ればなれになってしまう。 3年後、クリスの子どもタムを産み、育てながらクリスが迎えに来るのを待つ キム。そこに親の決めたかつての婚約者トゥイがやってくる。子どもを守るた めにキムはトゥイを撃ち殺してしまう。キムはエンジニアに助けを求める。 アメリカン・ドリームを夢に描くエンジニアはアメリカ人の子であるタムを利 用し、キムの兄になりすましてアメリカに渡ろうと画策する。そしてキムとタ ムの存在を知ったクリスは現在の妻であるエレンと共に二人のいるバンコクに やってくる。 アメリカに帰り、キムとの再会を諦めたクリスは人生をやり直そうとしてエレ ンと結婚していたのだった。エレンと対面したキムは子どもを引き取って欲し いと懇願する。エレンとキムとの間で揺れるクリスは現在の妻であるエレンと 共に生きることを決意する。 アメリカで暮らすことが子どもの幸せだと考えるキムはクリスに子どもを託し 自殺する。 とにかく、悲惨な話。舞台に本物(実物大?)のヘリコプターが登場するとか、 スケールの大きさが話題になっているけど、中心は人間の物語。キムの自殺で の幕切れはやりきれない。そして、この物語のなかに本当の悪人は登場しない。 エンジニアはしたたかだし、クリスはキムに対してひどいことをするけれど、 みんなそれぞれの状況の中で必死に生きている。だからこそ、なにか救いがな いだろうかと思い、この舞台を何度も観たくなってしまうのかもしれない。 『レ・ミゼラブル』も『エリザベート』もそうだけど、悲惨な話ほど、ミュー ジカルにしたときに重厚で壮大な舞台空間が生まれる気がする。救いのないス トーリーを美しい音楽やダンスが彩って観ている人の心の奥深くを揺さぶる。 クリスはね、戦争という異常な状況の中でキムに救いを見いだしし、アメリカ に帰って平凡な日常の中でエレンに安らぎを求めたんだと思う。どちらも本当 の気持ちで、どちらかを選ぶことなんてできない。戦争がなければキムと出会 っていなかったかもしれない。出会っていたとして、戦争がなければ二人は離 ればなれになることはなかったかもしれない。出会ったことも、離ればなれに なってしまったことも戦争のせい。もう、ほんとうにやりきれない思いがする。 キャストによって印象がだいぶ違いそうなので、他のキャストも観てみたくな った。これから空席チェックしてみることにしようっと。 ミス・サイゴン http://www.toho.co.jp/stage/miss_saigon/welcome-j.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●毎日きもの、奮闘記◆『きもの365日』 [2004年08月24日(火)] ──────────────────────────────────── 『きもの365日』群ようこ/著(集英社文庫/集英社)ISBN:4087477002 http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02443251 ──────────────────────────────────── タイトルの通り、365日きものを着てみようという企画。しかし、もともとき もの好きの著者だけど、さすがに毎日きものを着るのは無理だった。できるだ け毎日きもの。だけど大雨の日とか洋服のほうが都合がいい日があるから、そ ういう日は無理しない。だけどそういう日(きものを着ない日)は「ひと月に 一日か二日、あるかないかくらいにしたい」と一月一日に宣言しているにもか かわらず、その目標は早々と崩れ去るのだった。 きものって洋服よりも暖かいと思っていたんだけど、実は意外なところが冷え るらしい。普段は気にしないようなところ。で、著者は体調を崩してやむなく 毎日きもの生活を一時中断。一月二月の時点でこれだから先が思いやられる。 その後も紆余曲折ありながら月末は仕事三昧できものどころじゃなかったり、 ちょっと飽きてきて(?)、洋服もいいじゃないと言ってみたり。きものきも のと言っているのに、突然、いくらきもの好きだからって毎日きものじゃなく たっていいような気がしてきたとか言われてしまうと、なぬ?って思う。わが ままだなぁ。 洋服は洋服でいいところがあるし、無理して毎日着ることない。それは同感だ けど。毎日きもの着るんだってあんなに気張っていたのに、突然そんなこと言 われてもねぇ。まぁ、エッセイストというのはそんなもんなのかもしれない。 と変な納得の仕方をしたけど。 しかもこの人、ポリエステルの洗える着物とか、簡単に装着できる半襟とか便 利グッズ否定派。最初は半襟くらい自分で縫えって言ってたけど、途中で裁縫 の得意でない最近の若い子はジッパーで付ける半襟も仕方ないかもってちょっ と軟化。便利グッズは便利なんだからもっと使えばいいのになぁ。 そんな調子なので、毎日きものを着るにはお針子仕事が欠かせない。半襟は自 分で襦袢に縫いつける。一二度着れば汚れるし、季節ごとに襦袢は替わるから これはけっこう大変。私なんか長襦袢は一二枚しか持ってないから、毎日きも の生活となれば、毎日半襟付けに追われそうだけど、著者は長襦袢マニアらし く長襦袢をたくさん持っているらしい。なので、まとめて半襟を付けておくこ とができる。 著者の目標は自分できものを縫うこと。毎日きもの生活の後半で実際に自分で きものをひとつ仕上げているから、たいしたものだと思う。針仕事もまめで、 襦袢の裄を直したり、古いきものをリメイクしたり、付け帯自分で作ったりし ている。 それにしても、きものってお金がかかる。きものや帯自体も高いし、何度か着 れば洗いに出さなきゃいけない。きものをほどかずに丸洗いする生洗いという のもあるけど、一度ほどいて洗う、洗い張りに出して仕立て直したりしたらン 万円だ。そのかわり、そのときに寸法直しや裏地の裾回しなどを変えてもらう こともできる。洋服よりも長い年月着ることができることを考えれば、もしか したら安いのかもしれないけど、やっぱり高いなぁと思う。 ときどきならいいけど、やっぱり毎日着るとなったら、家で洗えるきものとか のほうがいい。きもの本来の良さを楽しむのは天然素材がいいけども。 けっきょく、毎日きもの生活ではなかったけど、一年間ほぼきもの生活の成果 はあったらしい。毎週一回の小唄のお稽古にはきもので通って、その甲斐あっ てきものを着るのが楽になったという。私の着付けの先生も「着付けは慣れよ」 って言ってるから、そうなんだろう。あと、コーディネイトもよくなったよう な気がした。著者のきものコーディネイトって地味だなぁと思っていたんだけ ど、毎日きもの生活ではあまり気張らずにコーディネイトできるようになった らしく、最後の方ではなんか自然に着こなしててちょっと粋な感じもあってい い。 今は洗えるきものも質がいいし、いろんな種類が出ている。楽にきものを着よ うと思えば着ることができる。だけどわざわざ昔ながらのきものにこだわる著 者。それはそれでいいのだけど、楽にきものを着ようとしている人がこの本読 んだら、きものって大変ーー。って思って退いてしまわないか心配。お針子な んかしなくたって、高いお金使わなくたってきもの楽しんでる人いっぱいいる ず。そう考えると、この企画、成功だったのか失敗だったのか。。。ナゾだー。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●探偵大活躍◆『百器徒然袋ー風』 [2004年08月27日(金)] ──────────────────────────────────── 『百器徒然袋ー風』京極夏彦/著(講談社ノベルス/講談社)ISBN:4061823795 http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02452619 ──────────────────────────────────── 京極堂シリーズの番外編。探偵・榎木津礼二郎が大活躍、なシリーズ。 それにしても、例のごとく京極作品って、読み終わるとあらすじ忘れちゃう。 登場人物多いし、複雑だしで最後丸く収まった時点でなんだかもう、なにがど うなってたんだかすっかり分からなくなって、あらすじどころじゃないのよね。 なので、この作品の前の『百器徒然袋ー雨』も面白く読んだことは覚えている のに、どんな内容だったのかすっかり忘れてしまっていた。というか、いまだ に思い出せない。押入からひっぱりだしてパラパラとめくってみたけど、これ は全部読み直さないと分からないと思って、諦めてしまった。 それでも大丈夫。前の事件がちょこっと出てきたり、前に出てきた人たちがま た登場したりするけど、細かいことはすっとばしてガンガン読むのだ。細かい ことにこだわってると全然読み進められなくなってしまう。 で、ガンガン読み進めて今回もすごく楽しんだ。面白かった。それでなにがど うなったんだっけ? あーまたしてもあらすじがぁ。。。 招き猫がキーワードの「五徳猫」、怪しげな霊感探偵が登場して榎木津と対決 (?)する「雲外鏡」、呪いの面のナゾを解く「面霊気」の三編。三つの事件 に関連性があって、次々に大物が登場。そして最後はなんだかほっこりした気 分で終わったのだった。たぶん、次の本が出る頃にはまたすっかり内容を忘れ てるだろうけど、それでも次が楽しみなのだ。 ──────────────────────────────────── 『百器徒然袋ー雨』京極夏彦/著(講談社ノベルス/講談社)ISBN:4061821008 http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=01707267 ──────────────────────────────────── ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●なってしまったものは仕方ない◆『負け犬の遠吠え』 [2004年08月28日(土)] ──────────────────────────────────── 『負け犬の遠吠え』酒井順子/著(講談社)ISBN:4062121182 http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02378643 ──────────────────────────────────── とうとう読んでしまった。つい先月負け犬の仲間入りをした私としては、自分 が負け犬だってことは重々承知。いまさら改めて負け犬っぷりを指摘されたく ないという潜在意識があって、いままで手がだせなかったのだった。文庫にな ったら読んでみようというくらいの気持ちはあったけど。 だけどね、読んでみたら面白い。何が面白いって著者の酒井順子さんって恐ろ しく言葉のセンスがいいのだ。内容はね、共感と言ってしまいたくないけど、 そうそう確かにそうなのよって納得できる。それはいい。というかそれは置い ておいて、30代以上、独身、子どもなし、という負け犬の生態を語るその語り 口といい負け犬を取り巻く環境を説明するときの比喩といい実に的確な言葉で 表見されているのだ。 だいたい、タイトルからして内容をどんぴしゃっと一言でまとめてる。この本 の内容って、結婚して子育てしている勝ち犬にくってかかるとか、負け犬だと 認めない人に向かってあなたは負け犬なのよって指摘するとかそういうんじゃ ない。とにかく、負け犬とはこういう人種でこうして負け犬は作られ、そして 意外とこんな風に幸せで、そして世間で思われている通りにこんな悩みを抱え ているのよって延々書き連ねてあるだけ。つまり、「遠吠え」なのだ。誰に何 をしてもらおうとか、だからどうしろとかそんなことは言っていない。負け犬 を自称する著者が負け犬とは社会的、精神的、経済的にどんなものなのかを観 察、検証してレポートしたものなのだ。 この本って、読む年代や性別や、その環境、つまり勝ち犬か負け犬かによって 感想もかなり違ってきそう。負け犬な私などは負け犬になった理由も今後の展 望も自分で思っているのとほとんど同じで、ほんとにいまさら指摘されるまで もないくらい自分でよく分かっていることが書いてあるなぁと思いながら読ん だのだけど、これを勝ち犬な人が読んだらどう思うんだろう。やっぱりね、と 思うのかそれとも、え、実はそうだったのって思うのか。まぁ勝ち犬な人がこ れを読んで、やっぱり負け犬のほうがいいわって思う確立ってのはかなり低い だろうけど。 そしてまだ勝ち負けのついていない20代な人が読んだら、こうはなりたくない と思うのか、私だけは大丈夫と思うのか、はたまた負け犬体質な自分に気づい て勝ち犬路線への変更を試みるのか。 そう、読んでいて気づいたのだけど、私って昔からすでに負け犬体質だったの ね。負け犬は一日にしてならず。しかも、キャリアウーマンでもないし、お金 もないし、負け犬の中でもエリートかも。はぁ。 まぁね、そのことに気づいていたとしても、勝ち犬にはなれなかっただろうな と思う。「やらないで後悔するくらいならやって後悔したほうがいい」という のが負け犬の口癖だそうで、このフレーズに深く共感してしまう私はやはりな るべくして負け犬になったのだなと思ったのだった。 負け犬って世間が思っているほど可哀想な存在なのかってことと、子どもを生 まない負け犬の存在意義ってなんだろうっていうのが大きなテーマなのかな。 つまり、負け犬さんは勝ち犬さんから哀れまれる存在のようなのだけど、本人 たちは自分たちをそれほど哀れだとは思っていない。だけど、やっぱり結婚し て家庭を持って子育てなどしている人たちはまっとうで、自分たちはまっとう ではないのではないかという疑問は常にあり、負け犬としての欲求やプライド を捨ててまで勝ち犬になるべきなのかどうか、というか今さら勝ち犬になるこ となど無理なんじゃないかとか日々悩んでいるのだ。 私などは勝ち犬になりたいけどなれない負け犬。負け犬って楽しいわって負け 犬ライフを満喫している人ももちろんいるだろう。負け犬にもいろいろ種類が ある。しかし本人がどう思っていようと、負け犬は負け犬。世間一般から見た ら、結婚して子育てしている女性の方がまっとうで、いい年になっても独身で 子どもも生まない女性などは哀れむべき存在だとされているのだ。そういう社 会で、そういう文化があるということ。 勝ち犬のボスは緒方貞子さんなんだそうだ。結婚して子どももいて仕事もバリ バリできる。確かに、私、緒方貞子さんにちょっと憧れてる。 そして負け犬のボスは土井たか子さん。しかし上には上がいて、「市井の負け 犬がシンパシィを寄せる最後の大物」が紀宮さまなのだそうな。うんうん、す ごーく分かる。紀宮さまを見て安心している自分がいたりして。 勝ち犬、負け犬というネーミングがかなり的確にその人種を表しているってい うのはこの本がベストセラーになったことで証明済み。いくら人を勝ち負けで 判断するのはどうかと言ったって、世間の人がそう見ているからこそみんなこ の本を買うんでしょうに。 他にもこの本の中には兄弟姉妹そろって負け犬な家族を負け犬ブリーダーと呼 んだり、子どもを産むことを勧める主婦たちを子育て教と呼び、その布教活動 も子育て原理派とかザビエルみたいな人とかプロテスタント系とか系統分けし てみたりとか、オスの負け犬たちをオタ夫、ダレ夫、ジョヒ夫、ブス夫、ダメ 夫と命名したりだとかとにかく的確な言葉ですぱっと言い切ってしまう気持ち よさ。センスあるなぁと思う。だからね、負け犬というテーマも内容もいいの だと思うのだけど、ここまでのベストセラーとなった所以は、この著者の言葉 のセンスなのではないかと思うのだった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●フィクションの死に憧れる年頃◆『世界の中心で、愛をさけぶ』                          [2004年08月29日(日)] ──────────────────────────────────── 『世界の中心で、愛をさけぶ』片山恭一/著(小学館)ISBN:4093860726 http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02010772 ──────────────────────────────────── 最初、あらすじのようだと思った。なんだかリアリティがない。登場する祖父 なんかまるで現実味がない。なんだろうこの感じ。映画のノベライズを読んで いるみたい。 大ベストセラー。みんな泣くらしい。友人は「この本のいったいどこで泣くん だろうね」って言っていた。やっぱり、白血病で弱っていく恋人と会っている ところとか、空港で「助けてください」って叫ぶところとかで泣くんじゃない? 前半はかなりしらけた気分で読んでいたのだけど、後半はちょっぴり盛り上が った。もっと若いときに読んだら泣けたのかもしれない。高校生とか20代前半 くらいの人がこういう本を読んで泣くというのは別に悪いことじゃない気がす る。すぐ読めちゃうし、何回も読んで泣けばいい。泣くっていうのは精神的に いいことだ。私は大学生のころ、別になんでもないけど泣きたい気分になるこ とがあって、そういうときはアニメの「火垂の墓」を見て泣いた。泣いたあと はすっきりする。 それにしてもさ、未成年が普通に酒飲んでるのね。ダメでしょう。だれか止め ようよ。 若いときに好きな人を亡くすっていうのはある意味ロマンチックなことなのか な。死んでいくアキに自分の大事な人の姿を重ねたり、逆にアキのように病気 になって死にゆく自分を想像したり。若いからこそ、そこからいちばん遠そう で現実味のないい「死」というものに対する憧れみたいなものがあって、美化 された死、フィクションの死に共感するのかもしれない。 そういう意味ではリアリティのなさが逆に読者の心をつかんだのかも。 ドラマや映画では原作をかなり脚色しているみたい。制作者の脚色ごころをか き立てるような内容なのね、きっと。このまま作ったらどうしようもないって いう予感があるのかなぁ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●まともにとんでる◆『蛇にピアス』 [2004年08月30日(月)] ──────────────────────────────────── 『蛇にピアス』金原ひとみ/著(集英社)ISBN:4087746836 http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02398137 ──────────────────────────────────── もっとぶっとんでるのかと思ったらそうでもなかった。いや、登場人物たちが やっていることってのはぶっとんでるんだけど、なんていうのか物語の大きな 流れというか文章はしごくまっとう。骨格がしっかりしている感じ。 村上龍の「トパーズ」を思い出した。あれは商売女の話だったけど。 舌にピアスとか入れ墨とか普通の人はやらないようなことをあまり抵抗なくや ってしまっているような登場人物たち。だけど、それは普通ではないというこ とをちゃんと認識している。というよりも、普通ではないことをあえてやりた がるのか。普通の人がみんな入れ墨しちゃったらこの人たちはそれに意味を見 いださないのかもしれない。 不思議と、こういう話にありがちな退廃的な感じはあまりなかった。主人公は ちゃんと未来に向かって歩いていっているような感じがする。なんでかな。人 が死んだり、殺したり殺されたりけっこう陰惨なのに。 一見、人に頼って生きているように見えるけれど、いざとなったらちゃんと生 きていける力みたいなものを持っているような気がした。 恋人だったアマが死んで、精神的にも肉体的にも衰弱する主人公。なにかと無 頓着、無感動なように見えるのに、人が死ぬということに対してそれだけの反 応ができるということ、他人に対してそれだけの思い入れがあるということが わかる。そこに希望をみいだせるような気がする。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●さっぱりわからん◆『蹴りたい背中』 [2004年08月31日(火)] ──────────────────────────────────── 『蹴りたい背中』綿矢りさ/著(河出書房新社)ISBN:4309015700 http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02355151 ──────────────────────────────────── なんだか、よくわからなかった。文章がそれほど瑞々しいとも思えないし、登 場人物たちに感情移入もできないし。大事件が起こるわけでもなく、平凡な日 常というわけでもなく。平凡な社会の片隅のちょっと異常な日常……なのかな。 いや、異常ともいえない。平凡からちょっとだけ振れたたところにある日常。 主人公の女子高生のクラスでの位置が全然よくわからない。今の高校生ってこ んな感じなの? 陸上部でそこそこまじめそうで、でも友達づきあいはなくて クラスで浮いていると感じていて、でもいじめられているわけでもない。優等 生ってわけでもない。世間を冷めた目でみているっていうのとも違うみたいだ し。変なアンバランスさ。 モデルのオリちゃんに夢中のオタクくん、にな川。この人の存在のほうがまだ ちょっと分かる。なんだかよくわからない主人公よりは突き抜けちゃってると ころがいい。突き抜け方がイマイチという気もするけど。 そしてにな川に好意を抱いているんだか、いないんだかわからない主人公。本 人は否定。読んでいてそこはかとなくだた寄ってくる恋心……なんてのもない、 ような気がする。これが著者の意図的なものなのかもしれないけど、それは成 功しているけど、だからなんなのだって言いたくなった。 著者の背中を蹴りたくなった。 ──────────────────────────────────── (茜音「日々のほのぼの」より) http://akane.pos.to/akane/f/honobono.htm ・・・・・・─・─・─・──・──・──→この続きも日々更新中です。 日記ブログ「へにょへにょ日記」は毎日更新中。。。 http://plaza.rakuten.co.jp/fuwafura/ ──────────────────────────────────── =[PR]================================ 日本最大級ショッピングサイト!お買い物なら楽天市場 http://pt.afl.rakuten.co.jp/c/000389a5.22be7a25/?url=http%3a%2f%2fwww.rakuten.co.jp%2f ==================================== =[PR]================================  ★┃今┃週┃の┃ベ┃ス┃ト┃セ┃ラ┃ー┃★┃  ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ 【楽天ブックス】流行の本を今すぐチェック!! http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=IGOG8+K8RCI+1N6+61JSJ ==================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━             ◆ サイト更新情報 ◆ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃茜音 【ギャラリーと日記】 ┃ http://akane.pos.to/ ┃----------------------------------------------------------------------  (2004/11/31) 11月のカレンダーは黄色く色づいた紅葉です。 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃ぱんだ雑貨店 【壁紙とWEB素材】 ┃ 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