□□□□□□□□□□ 茜色通信 Vol.0041 □□□□□□□□□□ 2002/06/08 Sat.---Since2000/01/26  発行部数101 =>>登録・解除・変更はこちらから http://akane.pos.to/common/f/akaneiro.htm  「茜色通信」をご購読いただきありがとうございます。  私のサイトの更新情報と日記(日々のほのぼの)のダイジェスト版を  お届けします。    6月からバイトに復帰しました。病気のためにしばらくお休みしてい  たので、かなりの金欠状態。働くぞー! と意欲満々なのですが、や  っぱり身体はすぐに疲れてしまいます。無理せず、ぼちぼちがんまり  ます。そして、あまりの貧乏さに「現金●千円プレゼント!」なんて  いう懸賞に反応しちゃったり。両親と一緒なので生活に困ることはな  いのだけど、やっぱり心にゆとりと潤いが欲しいなぁと思う今日この  頃。今のところ、Macと本が潤いの元なのです。 **********************************************************************          【    書籍のご案内    】      『Webカテゴリ別デザイン&配色パターンガイド』     シーズ/編・著(エムディエヌコーポレーション) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02137705     「茜音」http://akane.pos.to/ が掲載されています。トップページの   画像に解説が少しついて「文化」-「アート」というカテゴリのページ   にサンプルサイトとして載っています。 ********************************************************************** _/Contents_/ -- 今日のほのぼの -- ●忘れられない夏の日〜『墜落遺体』 [2002年05月03日(金)] ●たまひよの生みの親〜『(有)アランジアロンゾ』 [2002年05月04日(土)] ●劇団四季の豪華キャスト〜『ノートルダムの鐘』DVD                          [2002年05月06日(月)] ●やっぱり夢枕獏〜最近の『陰陽師』 [2002年05月14日(火)] ●宇多田ヒカルの病気。誤解はつきもの? [2002年05月15日(水)] ●もう一つの陰陽師〜夢枕獏『平成講釈 安倍清明伝』                          [2002年05月19日(日)] ●チェーホフ『桜の園・三人姉妹』 [2002年05月22日(水)] ●田中麗奈が好き。〜『東京マリーゴールド』 [2002年05月23日(木)] --更新情報-- ★茜音 ★ぱんだ雑貨店 ※記事中の書名の下にあるURLはオンライン書店bk1( http://www.bk1.co.jp )  の書籍詳細ページのURLです。 その本の内容、値段、大きさなどの詳細情報  のほか、bk1に投稿された書評なども読めます。 ___________________________________ -- 今日のほのぼの -- ●忘れられない夏の日〜『墜落遺体』 [2002年05月03日(金)] 『墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便』飯塚訓/著(講談社+α文庫) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02020421 あの頃、わたしは小学生か中学生くらいだったと思うのだけど、夏休みで、一 日中ニュースに釘付けになったことを覚えている。群馬県の御巣鷹山(おすた かやま)に日航機が墜落したというニュースは衝撃的だった。死者は520人。 生存者が4人いたことがわずかに救いだった。 日航のジャンボジェット機が山に激突して大破。現場には遺体が散乱している という。テレビの画面にはそこに生えていた木が薙ぎ払われてまだ煙りをあげ ている茶色い山肌と、散乱する機体の一部が映っている。遺体はわざと映さな いが、記者の様子から相当に悲惨な様子だということがわかる。わたしは子供 ながらに、なんだかものすごいことになっていると思って、一心不乱にテレビ 画面に見入っていた。 遺体の身元の確認は難航した。事故から数カ月後にやっと全ての遺体の身元が 確認されたというニュースが流れるまで、新聞には常に今日は何人の身元が確 認された、という記事が載っていた。身体の、一部分だけ、それも事故の衝撃 でバラバラになった肉片のようなものから身元を確認することがどれだけ大変 なことか、容易に想像がつく。実際、そういう遺体の身元を確認したというこ とはすごいことだと思う。わたしは毎日、遺体確認のニュースを読むたびに、 この作業をやっている人たちはいったいどういう人たちなんだろうと思ってい た。仕事とはいえ、すごい執念、すごい根気、すごい精神力が必要だと思うの だ。遺族の為に、という強い思いがなければできない作業だ。 『墜落遺体』の著者の飯塚さんは、この遺体確認作業の班長を務めた元警察官。 想像を絶するような過酷な状況での遺体確認作業は、わたしの想像に違わず大 変なものだったらしい。前例のない大事故であり、最初は手探りで準備を始め るような状況。しかし、遺体の誤認などの間違いは絶対にあってはならない。 その責任は重い。 遺体の確認作業には多数の医師や看護婦、警察官、ボランティアなどに支えら れて進められた。特に、献身的に働く看護婦たちの姿には頭が下がる思いがし た。看護婦さんたちは、相手が生身の人間でも、死者であっても、その相手に 対する献身的な姿勢は変わらないのだ。わたしは自分が入院していたときの看 護婦さんたちの姿を重ねて読んでいた。 遺体の状況は当時の新聞からは分からなかったが、相当に酷い状態だったよう だ。 泥だらけの肉の固まりのようなものを丁寧に広げてゆくと人の顔や手足がでて くる、そんな状況だったらしい。中にはひと固まりの肉片から二人分の遺体が でてくることもあったらしい。 こういう記述を読むと、もうこの遺体は人間ではなくて、ただの肉だと思えて しまう。外国人の遺族は、遺体を持ち帰らない人が多かった。宗教感の違いの ようだ。死んだという事実が分かれば、遺体はいらない、という考え方。少し 分かるような気がする。日本人は遺体に執着するが、外国の人は、遺体はただ の入れ物であっ、死者の魂そのものではないという考え方があるのではないか。 こういう考え方にはちょっと共感できる気がする。よく、死者を解剖するのを 嫌がる人がいるが(その気持ちはとてもよくわかるのだけど)、死者は死者な のだから、例えば病理解剖などで、後世の医学の役に立つなどのそれなりの理 由があれば、解剖することにも前向きな意味があるんじゃないかと思う。死ん でしまった人は、その遺体ではなくて、遺族の心の中に宿るのではないか。わ たしはそういう考え方のほうがしっくりくるのだ。だからといって、遺体を丁 重に扱わない、ということではないのだけど、遺体に執着するあまりに、本当 に大切なこと、故人の思いとか、遺志とかを無視することにならないようにし たいな、と常々思う。 日航機事故の犠牲者には、子供も何人も含まれていた。夏休みだったというこ とも理由かもしれない。妊婦さんもいて、胎児と母親が別々に見つかった。確 認作業の中でも、子供の遺体の確認というのがとてもつらかったらしい。読ん でいてもつらくなる。 肉体的にも、精神的にも過酷な現場。そんな現場の状況が克明に、生々しく描 かれている。事故を風化させないためにも、この本が出版された意味は大きい。 多くの人に読んでもらいたいと思った。 ___________________________________ ●たまひよの生みの親〜『(有)アランジアロンゾ』 [2002年05月04日(土)] 『(有)アランジアロンゾ』アランジアロンゾ/著(角川書店) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02114984 ベネッセの育児雑誌、「たまごクラブ」と「ひよこクラブ」が登場したとき、 その雑誌のイメージキャラクター(?)の「たまご」と「ひよこ」にヤられて しまった人は多いと思う。私もその一人。めっちゃかわいい! と思った。 それからしばらくして、その「たまご」=「たまちゃん」と「ひよこ」=「ひ よちゃん」の絵本が出版された。買ってしまった。だってかわいいんだもん。 そこで初めて、アランジアロンゾという人たちを知ったのだった。こんな可愛 い絵を書く人たち。 その後、アランジアロンゾの本が続々と出版され、本屋さんの店先を飾った。 どれも可愛い。しかも、なんか他のイラストレーターとかと違う雰囲気がある。 採算度外視というか、好き勝手というか、奔放というか、なんかものすごく自 由なのだ。作風が。こんなに自由に作ってる本ってあんまりないぞ。こんなに やりたい放題でいいのだろうか。でも可愛い。そんな本が次々と出版された。 アランジアロンゾ・・・この人たちっていったいどういう人たちなんだろう。 そんな疑問が渦巻く。雑誌にも載っている。これも好き放題なことをやってい る(ように見える)。なんだかとてもうらやましかった。こんなに好きなよう にやっている人たちっていいなぁ、と思った。そしてとにかく、好きにやって るだけあって、わけのわからない可愛さ、流されない頑固さのようなものがあ るのだ。不思議。 そんなアランジアロンゾの歩みがわかる本がついに出た。その名も『(有)ア ランジアロンゾ』。おいおい。とつっこみたくなるようなタイトル。そう、こ れがアランジアロンゾなのだ。アランジアロンゾが一人の人ではなくて、グル ープ(あるいはユニット?)だということは知っていたのだけど、実は、会社 名でもあるらしい。だから『(有)アランジアロンゾ』。その会社の歩みがす べてわかる本だ。 (有)アランジアロンゾは雑貨屋さんだ。イラストレーターではない。オリジ ナルの雑貨を売る会社。その方針は「つくりたいものを好きなようにつくって、 いっしょうけんめい売る」というとてもシンプルなもの。だけどこれってすご く大変そう。アランジアロンゾはその大変そうなことをいとも楽し気(ときに はちょっと辛そうだけど)に10年もやってきた。今では安藤忠雄さんに設計を 依頼した自社ビルまで持っている。直営店もたくさんある。「これをやろう」 と思ったら実現に向けてひたすらがんばるという姿勢がよいのだろうな。適度 に肩の力を抜いて、適度に楽しんで、適度にがんばる。その姿勢が好き。見習 いたいと思った。 この本にはアランジアロンゾのオリジナルグッズの写真や、作品や、「アラン ジペーパー」というフリーペーパーのバックナンバーなんかが盛り沢山に収録 されている。かなりお得でボリュームのある一冊だ。アランジアロンゾを堪能 できて、幸せだった。ますます好きになってしまったのだった。 アランジネット http://www.aranziaronzo.com/ たまひよ http://www.benesse.co.jp/tamahiyo/ ___________________________________ ●劇団四季の豪華キャスト〜『ノートルダムの鐘』DVD                          [2002年05月06日(月)] ディズニーのアニメ映画『ノートルダムの鐘』と『ノートルダムの鐘II』の2 枚組DVDを買った。先日、テレビで日本語吹き替え版が放送されていたのを 見て、欲しくなってしまったのだ。ディズニー長篇アニメのビデオはほとんど 全部持っているので、『ノートルダムの鐘』の字幕版ビデオも家にある。でも、 この作品、吹き替え版の製作を劇団四季がやっていて、キャストが豪華なのだ。 DVDなら、一つ買えば字幕版も吹き替え版も両方見れる。お得だ。でもビデ オとダブって持っているというのは果たしてお得なのかどうか・・・。 個人的にはこの作品、ディズニーの中ではあまり好きな作品ではない。だって、 主人公のカジモド(ノートルダムの鐘付き男)とヒロインのエスメラルダ(ジ プシーの女)は結ばれないのだ。エスメラルダは散々カジモドに優しくしてお いて、結局最後にくっつくのは色男のフィーバス(護衛隊長)。ひどい話だ。 原作ではエスメラルダは殺されてしまうらしいが、アニメでは一応、隊長と結 ばれてハッピーエンドということになっている。しかし、それを見守るカジモ ドはちょっと寂し気で、なんとも腑に落ちないラストだ。だから、嫌い。原作 を通りならまだしも、こんな納得いかないラストシーンなんて。 で、多分、私みたいな意見がいっぱいあったのだろう。完結編『ノートルダム の鐘II』はカジモドの恋物語になっている。そして最後はちゃんとハッピーエ ンド。これでほっとした。このIIを見てから最初の作品を見てみたら、以前よ りも安心して見ることができた。カジモドにもあとでちゃんと恋人ができるん だから・・・という思いがあるからかも。 『ノートルダムの鐘』はディズニーの中では大人向けのお話。何しろ、男女の 三角関係の話だから。しかも、パリの町からジプシーを排除しようとしている 悪徳判事の話でもあるから、よりディープ。あ、この判事フロローもエスメラ ルダに心奪われるから、三角関係じゃなくて四角関係か。登場人物たちの個性 が強い。フロローはあくまで残忍だし、エスメラルダは気性が強いし、カジモ ドは外見のせいでどこまでもいじめられる(そこまでしなくてもいいじゃない かというくらい)。唯一の救いは隊長フィーバス。この人はやさしい。見てい て、一番理解できる。エスメラルダは根っからのジプシーなので、その独特の 考え方や行動パターンがちょっと理解しにくい。奇抜な行動も「ジプシーだか ら」ということで片付けられてしまう。フロローはそこまで悪役にさせなくて もというくらいの酷い男に描かれていて、救いがない。ディズニーの悪役って 割とみんなそうなんだけど、悪いヤツは悪いヤツとしてしか描かれない。最後 にはやっつけられてしまう。これが宮崎アニメだと、悪役にももっと愛着が湧 くのだけど。 この作品の日本語吹き替え版は、劇団四季が製作している。四季が『美女と野 獣』や『ライオン・キング』というディズニー作品のミュージカルを上演して いる関係だろう。日本語版の台本を浅利慶太が担当。声の出演はカジモド=石 丸幹二、エルメラルダ=保坂知寿、フィーバス=芥川英司(鈴木綜馬)、フロ ロー=日下武史(歌は村俊英)、という豪華さ。主役二人は『異国の丘』でも 主人公とヒロインを演じている四季の看板俳優。その他にも光枝明彦、今井清 隆、末次美沙緒、松宮五郎、治田敦など、当時の四季で活躍していた人気俳優 ばかり。現在、四季を退団してしまった、鈴木綜馬、治田敦、今井清隆は『ノ ートルダムの鐘II』の方でも同じ役を演じていて、これもファンには嬉しい。 『ノートルダムの鐘II』では、四季の俳優陣は出演していないのでカジモドや エスメラルダの声は違う。そのかわり、カジモドに恋をするヒロインのマデリ ンと悪役サルーシュは宮沢りえと竹中直人が演じていて、キャストは豪華。特 に宮沢りえのマデリンがよかった。オリジナルの英語版は最初の作品と同じく カジモドをトム・ハルス、エスメラルダをデミ・ムーアが演じている。 ディズニーはよく、長篇アニメの続編をつくるけれど、劇場公開された最初の 作品にくらべると絵の質は落ちる。けれど、続編として楽しむ分にはいいかな、 と思える。一本で買うよりは二枚組で買って、最初の作品のおまけ程度に楽し むのが丁度いいかも。 『ノートルダムの鐘』ビデオとDVD http://www.disney.co.jp/videos/notre/index.html ___________________________________ ●やっぱり夢枕獏〜最近の『陰陽師』 [2002年05月14日(火)] 『陰陽師 生成り姫』夢枕獏/著(朝日新聞社) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=00010221 『陰陽師 鳳凰ノ巻』夢枕獏/著(文芸春秋) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=01890084 『陰陽師 龍笛の巻』夢枕獏/著(文芸春秋) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02076678 『陰陽師 瘤取り清明』夢枕獏/著、村上豊/絵(文芸春秋) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02076660 夢枕獏の「陰陽師」シリーズの最近のものをまとめて読んだ。やっぱり「陰陽 師」は夢枕獏だなぁ、と改めて思った。最近ブームになっているけれど、私に とっての「元祖・陰陽師」はやっぱり夢枕版なのだ。阿倍清明のあの涼やかな キャラを作り上げたのは夢枕獏だもんなぁ。 そして、相変わらず文章が心地いい。ベストセラーになった、『声に出して読 みたい日本語』に収録されていてもいいくらいだ(この本はちゃんと読んでな いんだけど)。さらりと身体にしみ込んでくるような語り口が好きなのだ。お どろおどろしい場面なのになぜか上品。上質な日本語という気がする。そう感 じるのは私だけなのかもしれないけれども。 『陰陽師 生成り姫』は朝日新聞夕刊に連載されていたものに加筆した長編。 陰陽師シリーズは短編で成り立っているのだけど、これは長編。短編もいいけ ど、やっぱり長編はじっくり読めて、これはこれでいい。このお話は女性が嫉 妬に狂って鬼になるというちょっと物悲しい話なので、特に好きではないのだ けど、もともと短編として書かれたものを長編にしたということで、短編では 描き切れなかったエピソードが入っていて面白かった。それから、朝日新聞に 連載されたことで、確実に読者層が広がったし、ブームに拍車を掛けたと思う。 だって、会話のなかでふと「陰陽師」ネタをだすと、それまでそんなものに興 味を持ってなかったであろう人が「ああ、新聞に連載してるやつ?」と言うの だ。すごいと思った。 陰陽師 瘤取り清明』は絵物語という体裁。村上豊さんの絵と夢枕獏さんの文 章のコラボレーションという感じ。絵と文章のバランスがとてもいい。お話も 昔話の「瘤取りじいさん」がベースになっていて、おとぎ話っぽいので村上さ んの絵も生きている。かなり好きかも。このシリーズ、またやってくれないか しら。 『陰陽師 鳳凰ノ巻』、『陰陽師 龍笛ノ巻』はいつもの陰陽師シリーズ。清 明と博雅は相変わらず仲がよい。このコンビを作り上げたというのが夢枕獏の すごいところかも。これは誰もが思っていること。 『声に出して読みたい日本語』斎藤孝/著(草思社) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02071157 ___________________________________ ●宇多田ヒカルの病気。誤解はつきもの? [2002年05月15日(水)] 新聞を読んでいたら、宇多田ヒカルの病気のことがコラムのような記事で載っ ていた。そこには、「卵巣摘出」と書いてあった。「笑っていいとも!」に出 演していた、宇多田パパの話では、卵巣は摘出していないって言ってたのに。 摘出したのは腫瘍だけで、卵巣はちゃんと残っているはず。新聞のほうの記事 では識者の話として、「卵巣は二つあるから一つ取っても大丈夫」なんて書い てあって、それはまぁそうなんだけど、ちゃんと二つあるのに一つ取っちゃっ たと思われちゃってる宇多田ヒカルがなんだかちょっと可哀想になってしまっ た。 新聞の記事によると、宇多田ヒカルは腰の痛みを訴えていたらしい。わたしも 同じ卵巣の良性腫瘍だったけど(3年前)、腫瘍自体の痛みってないのよね。 だから腰が痛いのは違う要因ではないかなぁ。でも、腫瘍はひねくれるととて も痛い。そういう痛みだったのかしらん。 腫瘍の大きさ5.5cm。 わたしのは3Kg! 勝った! と思った・・・と友人に 言ったら、そんなことで勝負するなと言われた。確かに。っていうかわたしの 場合は大きすぎた。卵巣腫瘍が内視鏡でお腹に穴をあけて取れるなんて知らな かった。わたしの場合はそんな選択肢すらないくらいに(お腹を切らないとど うにもならないくらいに)大きかったから。宇多田ヒカルは内視鏡の手術で取 ったらしい。ビキニも着れるらしい。いいなぁ。(まぁ、着れたとしてもわた しはビキニ着ないけど) あと、病名を公表したことにも、予想以上に反響が大きい。わたしなんて、病 名を知っても、「ああ、わたしと同じ病気だわ」と思っただけで、公表したこ とに関してそれほど抵抗はなかったのだけど、ワイドショーなんか見てるとそ のことに関して結構、コメントされている。やっぱり、日本人って病気を隠そ うとする文化が根強くあるのだなぁと、逆に思い知った。これだからやりにく い。 こちらがちゃんと説明しようとしているのに、病気についてあまり詳しく聞い てはいけないような雰囲気があったり(確かにあまりにも根掘り葉掘り聞かれ るのは気持ちよくないけど)、勝手に想像して誤解されちゃったり、ちゃんと 理解してくれようとしなかったりしたら、仕事だってやりにくい。場合によっ てはお医者さんの話を聞いてくれるくらいの上司がいいなぁ。こちらは、でき る範囲で仕事はちゃんとやりたいし、でもできないこともあるわけで、そこの ところをちゃんと理解して欲しいと思ってるんだから。 だから、今回、仕事に穴をあけるからちゃんと病名も公表する、という宇多田 ヒカルの姿勢はとてもよくわかる。そんなの当たり前だ。病名を隠していろい ろ憶測されるよりも、きちんと公表したほうがいい。まぁ、公表してもどっち みち多少の誤解はつきものだけどね(冒頭の新聞記事のように)。他人の病気 についてなんて、みんないいかげん。それはしょうがないか。 宇多田ヒカル公式サイト Hikki's WEB SITE http://www.toshiba-emi.co.jp/hikki/ ___________________________________ ●もう一つの陰陽師〜夢枕獏『平成講釈 安倍清明伝』                          [2002年05月19日(日)] 『平成講釈 安倍清明伝』夢枕獏/著(中央公論社) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=02021035 同じ作者の『陰陽師』シリーズとはまた違った安倍清明が登場する。明治大正 時代に刊行された速記本というのをネタ本にして、夢枕獏がまた新たな安倍清 明像を造り出した感じ。速記本というのは、落語や講談の内容を本にして出版 したもの。当時はベストセラーになったらしい。この速記本のなかで、安倍清 明を題材にしたものをベースに夢枕獏の味付けが加わって、講談風の喋り口調 の文章でお話が進んでゆく。各章の始めに、作者の近況があって、そのあとに 物語に入ってゆくというのも高座のようで面白い。 夢枕獏は小田原出身(在住)の作家。小田原って江戸っ子よりも江戸っ子口調 なところがあって、要するに下町なのだけど、かなり訛りがあったりする。で も地元の人たちは一応、首都圏だと思ってるから自分達の方言に気付いてなか ったりする。私はほとんど使わないけれど(気付いてないだけか?)、よく言 われるのは、「○○だべ」(SMAPの中居君の口癖で有名。でも中居くんは 藤沢なのよね)、「○○べ」(「払ってないべ」「食ってんべ」など)、「○ ○け」(「そうけ」(相づち)「行くけ?」(疑問形)など)というようなも の。なんとなく、べらんめえ口調なのだ。喋りに勢いがある。横浜言葉と言わ れているけど、「○○じゃん」「○○じゃんかぁ」なんてのもよく使う。 この本は喋り口調で書いてあるのだけど、読んでいるとなんとなくそんな小田 原訛りを思い出してしまった。小田原訛りは実はまったく関係ないのかもしれ ないけれど、講談風の独特のリズムと勢いは読んでいても結構心地いい。リズ ムがね、小田原訛りな人たちの会話を聞いているようなリズム。よく、電車の 中でおじさんおばさんが喋ってるのを聞いているような感じがしてしまった。 夢枕獏さんも小田原訛りな喋りをされるのだろうか・・・。 ___________________________________ ●チェーホフ『桜の園・三人姉妹』 [2002年05月22日(水)] 『桜の園・三人姉妹』チェーホフ/著、神西清/訳(新潮文庫) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-akane01465&bibid=00871366 最近よく、「三人姉妹」とか「ワーニャおじさん」を上演している。チェーホ フが流行っているのかしら。それとも、今までも上演されていたけれど、わた しがあまり気付かなかっただけなのかもしれない。 チェーホフ(1860-1904)は約百年前のロシアの作家。 もっと古い人なのかと 思っていたら、割合最近の人だった。「かもめ」「ワーニャおじさん」「三人 姉妹」「桜の園」がチェーホフの四大劇なのだそうだ。コミックの『ガラスの 仮面』の中では確か、「かもめ」が出て来たと思う。それで、名前は知ってい たのだ。 文庫の解説にも書かれていたけれど、 訳者の神西清(1903-1957)さんの訳が いい。心地いい日本語。滑らかで、物語の雰囲気が壊れない。それに、古さを 感じない。神西さんがこの作品を訳したのは昭和29年らしい。そんなの全然わ からなかった。 チェーホフは一度も観たこともないし、読んだこともなかったので、どんな内 容なのか全然わからずに読みはじめた。戯曲なので、一度目は登場人物や設定 を把握するのがやっと。二度読んで内容がつかめた。登場人物が多いのだ。舞 台なら、その人の服装や年令でだいたいの人物像がつかめるけれど、セリフの 上に役名が載っているだけの、台本の状態だと、その状況を把握するのが難し い。ただでさえ馴染みのないロシアの名前。これっていったい誰!? って、 しょっちゅう混乱。一度読んだだけじゃわからん。だけど、戯曲って、演じら れてなんぼだと思うので、本の段階ではまだ未完成。これにキャスティングを して、舞台美術を作って、演出をして・・・と完成に近付けてゆく作業という のはきっと楽しいだろうなと思う。 「桜の園」も「三人姉妹」も舞台の上ではたいした事件は起こらない。「三人 姉妹」では火事があったり、決闘で人が死んだりするのだけど、それは舞台の 外で行われることで、舞台上ではひたすら登場人物たちの会話で物語が進行す る。これが反って物語に深い味わいのようなものを感じさせるような気がする。 哀愁があって、なんだか女学生がはまってしまいそうな感じだなぁと思ってし まった。 「桜の園」は桜が美しい広大な土地を持つ一家が没落してゆく話。桜というと、 日本人には馴染みが深いけれど、ロシアではどうなのだろう。日本人はきっと、 桜の園と聞いただけで、その美しさが容易に想像できる。だからこの作品、日 本での上演に向いているかもしれない。作品全体に桜の美しさとはかなさと、 登場人物たちの境遇がオーバーラップして、なんとも言えない味わい。盛大に 咲いて一気に散ってしまう桜という花がいいのだろうなぁ。 「三人姉妹」はそれぞれに悩みを抱えて、モスクワへゆくという夢を見つつ、 仕方のない現実を受け入れながら生きる三人姉妹とその周辺の人たちの話。家 族、結婚、仕事など、そうそう、そうよねぇと思うところもあり、なんだか現 代に通じるテーマなのだ。人がいっぱい出て来て訳がわからなくなるのだけど、 よく見るとみんなそれぞれ一生懸命で、それぞれに思惑があって、それぞれの 人間関係があって、それがからみ合ってこの作品なり、社会なりを形成してい て、最後にはああ、やっぱりこの現実を生きていくしかない訳ね、という結論 に達する。ちょっと寂しいのだけど、読後感としては爽やかな感じがする。明 日もがんばらなきゃ、っていう。だから最近、この作品をよく上演するのかし ら。不況だし。 戯曲は、作品自体は短いのだけど、読むのにエネルギーがいる。想像力全開。 たまに読むのがいい。 ___________________________________ ●田中麗奈が好き。〜『東京マリーゴールド』 [2002年05月23日(木)] 『東京マリーゴールド』 市川準監督、田中麗奈主演。原作は林真理子(『一年ののち』)。 いままで一本も映画を見たことがなかったにも関わらず、なぜだか田中麗奈が すごく好きで、写真集まで持っている。ドラマにも出ていないし、私が見てい るのはたぶんCMだけだろう。CMだけでこんなに惹かれる女優さんというの も珍しい。なんだか不思議なオーラがあるのだ。だいたい、オレンジジュース の「なっちゃん」のCMを最初に見た時から、「おおっ!」と思ったのを強烈 に覚えている。目力がある女優さんだ。つり目だし。 この作品、なぜだかDVDを衝動買い。たぶん好きな作品だと思ったから。パ ッケージの写真もすごく好き。白いワンピースの田中麗奈が全身に黄色い絵の 具を塗りたくってマリーゴールドの花を手に仁王立ちしている。いいなぁ。 原作の林真理子はあまり好きではないのだけど、映画はよかった。空気感があ って。 田中麗奈はまわりの空気を身にまとったような演技をする。風景に溶け込むよ うな。なんだろう。食べてるシーンとか、あんまり可愛い顔じゃなくなったり するのがいい。完璧美人じゃないのよね。美人だけど。 彼女が留学中の男と一年間だけという期間限定で付き合う女の子の話。別れが 近付くにつれて気持ちも揺れる。この設定が林真理子っぽいと思うのは私だけ かな。切ない話。別れることを前提に付き合うというのがすでに切ない。まぁ、 そういう恋愛もあってもいいかもしれないけれど。 最後にちょっとしたどんでん返しがあって、このあと彼女はどうしたんだろう、 と一人で考え込んでしまったのだけど、ま、いいか。それは見た人の想像に任 せるということかな。でも自分だったらどうする、とかこの映画の彼女だった らどうしたか、とか全然わからないのでちょっと悩んでしまった。これもちょ っと林真理子的オチなのか。 DVDの特典映像で、出演者と監督のインタビューと、田中麗奈の解説付きの 「東京ロケマップ」が付いている。結構おもしろかった。田中麗奈主演の『は つ恋』も見たくなった。そういえば、もうすぐ『玩具修理者』のDVDも発売。 これもちょっと欲しい。最近は、映画があっという間にDVDになってしまう なぁ。 田中麗奈公式サイト http://www.tanakarena.co.jp/ 『東京マリーゴールド』 http://j.movie-eye.tv/ 『玩具修理者』 http://www.gangu.jp/ (茜音「日々のほのぼの」より) http://akane.pos.to/akane/f/honobono.htm ・・・・・・─・─・─・──・──・──→この続きも日々更新中です。 ___________________________________ --更新情報-- ★茜音 http://akane.pos.to/ ・ギャラリーをリニューアルしました。見やすくなったと思います。が、版画  以外は掲載作品は一緒です。版画は新たに作品を撮影しなおしました。未公  開だった作品も追加したので、作品が増えています。大きな画像でも見られ  るようにしました。(02/05/17) ・6月の壁紙カレンダーは雨のイメージでストライプにしてみました。  (02/06/01) ★ぱんだ雑貨店 http://akane.pos.to/sozai/ ・[壁紙-Art]に透明水彩の壁紙15点追加。  梅雨時なので雨や水をイメージして描いてみました。(02/06/01) ・[壁紙-Photo][壁紙-Art]整理しました。ちょっと見やすくなりました。  タンポポ、野イチゴ、野の花などの写真の壁紙19点追加しました。  デスクトップが野原みたいになりますよ。(02/05/22) ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓  発行■そふえのりこ(祖父江典子)     【茜音-AKANE-】  「茜色通信」HP■登録、解除、変更はこちらから。    「茜色通信」は、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して  発行しています。  Copyright(C) 2002 Sofue Noriko  発行者の許可なく転載することを禁じます。 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛