作者の神の手◆『手紙』
2006/11/23(木)

手紙
東野 圭吾(著)

文藝春秋
¥ 620
[文庫] 15cm x 11cm , 428P
2006-10 / ISBN:4167110113

『容疑者Xの献身』もそうだったのだけど、この小説も、途中は結構面白くて、「お、東野圭吾、面白いかも〜」って思ったんだけど、最後まで読んだら「う〜ん」という感じだった。なんか分かったような分からないような。確信に手が届きそうで届かない。もどかしい感じ。作者はいったい何がしたかったのだ。

リアリズムを追求してるんだろうか。たしかに、現実にありそうではあるのだけど、随所に作者の神の手を感じてしまう。作者の都合のいいようにきっかけの出来事が起きて、都合のいいように物語が進行していく。

小説ってそういうものなんだろうけど、東野さんの作品って、読みながらすごく作者の「存在」を感じてしまうのよね。不自然っていうほど不自然じゃないのだけど、自然でもないっていうか…。なんか気持ち悪い。

小説ってファンタジーだから、ありえない結末、ありえない展開が逆に普通だったりするのかも。この作品の場合、どれもこれもありそう。だけど、それだけにそんな偶然が続くか、普通…とも思う。

現実は厳しいのだけど、小説には理想を書いて欲しいなぁ。それか、そりゃないだろってくらいに厳しすぎる結末とか。なんだか中途半端。

刑務所にいる兄のせいで弟は一般社会で差別される。兄からの手紙がうっとうしい。普通だったら、兄はもっと早く弟の気持ちに気づくのではないか、と思った。だけど、それでは物語が終わってしまうからねぇ。兄は延々と刑務所から手紙を出し続けなければいけないのだろうね、小説の構成上。なんてイジワルに考えてしまったのだった。

容疑者Xの献身
東野 圭吾(著)

文藝春秋
¥ 1,680
[単行本] 19cm x 13cm , 352P
2005-08-25 / ISBN:4163238603