大きなお屋敷に住む年上の男性と結婚した若い女性が、亡くなった前妻の影におびえ、追い詰められてゆくサスペンス。後半では次第に前妻の死の真相が明らかになってゆくのだけど、その過程がまた息詰まる展開でハラハラする。
淡々とした語り口でそれほどの盛り上がりもないような気で読んでいたのだけど、結末が気になって、気がつくと夢中で一気読みしていた。読み終わったあと、一抹の寂しさが。あのハラハラはもう味わえないのか…。
大きなお屋敷や、たくさんの使用人、庭のバラ、敷地内の森、入り江、ボート。こういう小道具に心惹かれる。最初はおどおどとしていた語り部の女性(若い妻)が、次第に堂々とした風格のようなものを身につけていき、成長してゆく様もこの小説の味わいのひとつ。