最初に登場する語り手の女性は結婚一年目。夫と一緒に海外旅行から帰る飛行機の中から物語が始まる。物書きを生業としているらしいその女性は、編集者から「オートフィクション」の執筆を依頼される。
そして、どうやら話はさかのぼり、語り手の女性の年齢はどんどん若くなってゆく。同じ人物なのだろうけれど、それも、どうでもいいような気がした。
どこからが「オートフィクション」なのか。どうでもいいのだけど。
どうでもいいのだけど、金原ひとみの作品は妙に心に残って、好きなのだ。文章のリズムが心地良いのかも。
ゆがんでいて、ひずんでいるんだけど、どこかピュアな感じ。社会とはうまくやっていけないのだけど、それはそのピュアな部分ゆえというか。生き方がシンプルなのかもしれない
そう、人間とも社会ともうまくやっていけなくて、どこか逸脱してしまう人たちに共感というか、なにかちょっと憧れる。
きっと、社会でうまくやっている人たちというのは、金原作品に登場する女性たちが持っているピュアな部分というのを捨ててしまっているのだ。そんな気すらしてくる。