原爆投下から10年。ヒロシマで生き残った人々は心になにか後ろめたいものを抱えながら毎日を過ごしている。悲惨な死に方をした人々がいるというのに、自分だけ幸せなってもいいのだろうか…。
しかし、そんな思いを乗り越えて愛する人と巡り会い幸せを見つけられたかに思えた皆美も原爆症で命を落としてしまう。10年経ってもまだ人を殺し続ける兵器。
十年経ったけど
原爆を落とした人はわたしを見て
「やった!またひとり殺せた」
とちゃんと思うてくれとる?
死んでゆく皆美のこの台詞に涙が止まらなかった。
そして、現代。被爆者やその子どもたちへの差別。終わらぬ原爆の悲劇。淡々とした物語の中に、とても大きなメッセージが込められているのだった。
あの戦争の記憶が人々の中から薄れていく昨今、私たちが責任を持って語り継いでいかなければならないのだと改めて考えさせられた。