体にやさしい抗がん剤治療◆『決定版 がん休眠療法』
2007/10/10(水)

決定版 がん休眠療法―個人差重視の抗がん剤治療革命 (講談社プラスアルファ新書)
高橋 豊(著)

講談社
¥ 840 [単行本] 2006-03
ISBN:9784062723664 / ASIN:4062723662

代替療法の一種かと思ったら、正統派のがん治療本だった。癌も殺すけど、正常な細胞まで殺してしまう抗がん剤。薬でもあり、猛毒でもある。その治療法に異を唱える医療者も多い。そして、激しい治療に拒否反応を示して効果のはっきりしない代替療法や民間療法に走る患者もまた多い。

今の抗がん剤治療に問題があるのは確か。だが、医学の発達は日進月歩。新しい抗がん剤が次々に開発、承認され、いままでは治療が難しいとされていた癌にも治療の道が開けたことも事実。やみくもに抗がん剤を拒否していては、助かるものも助からない場合があるようだ。

しかし、素人には、拒否すべき治療と、受けるべき治療の見極めは難しい。やはり全国の医療施設で同等の質の高い抗がん剤治療が受けられるようになるのが理想だ。それにはまだ数年の時間がかかりそう。

休眠療法というのは、抗がん剤を使った治療法ではあるのだけど、癌の完治や縮小を目指すのではなく、大きくならないことを目指す。もちろん、治療の結果、癌が縮小すれば言うことはないのだけど、従来よりも少ない抗がん剤で、がんの増大をくいとめてうまく共存することができれば、副作用に苦しむことなく日常生活が送れるのだ。

例えば、最近は種類も増えてきているという経口抗がん剤や、週に一度の点滴など、入院しないでも少量の抗ガン剤を継続して投与することで癌の増大を食い止めることができる場合があるらしい。

また、ある種類の抗がん剤が効かなくなっても別の種類の抗がん剤を投与、そしてそれが効かなくなったらまた別の種類…と続けていくことで余命を伸ばすことも可能だそうだ。そのためには、使える抗がん剤の種類が増えることが重要だそう。まだ認可が下りていない薬も多いので、そういうものも使えるようになると選択肢が広がるらしい。

抗がん剤の投与量というのは、現在の一般的な医療機関では、人間の耐えうる最大の量をどの人にも投与するらしい。しかし、抗がん剤はアルコールと一緒で、その分解能力には個人差がある。だから副作用の出方も人によって違う。それを無視していきなり多量の抗がん剤を投与してしまうから、ときには激しい副作用で命を落とす人まで出てくるのだ。

個人差を無視して投与するやり方がいままでの主流だったということ自体が信じられないのだけど、それが現実らしい。この本では、個人にあった量の抗がん剤を投与することが大前提になっている。

しかし、休眠療法的な治療をしている病院や医師はまだ限られているようで、全国どこでもこのような治療が受けられるわけではないらしい。医師にお願いしてもやってくれない場合もあるようだ。

私の感じでは、今後はこういう「体にやさしい」抗がん剤治療が主流になっていくような気がするのだが、今はまだ、患者側がそういう治療をしている医師を捜して治療を受けなければいけない状況。どこの医療機関でも受けられる平均的な治療法となるのはまだ先のようだ。