しかし、抗癌剤の専門医というのは少なく、それぞれの患者、それぞれの癌にあった抗癌剤を副作用を最小限に抑えて適切に使うことができる抗癌剤の専門医というのは少ないようだ。
そのため、未だに副作用に苦しみ、しかも治療効果があまりないという場合も多々あるのだろう。
闇雲に抗癌剤を拒否するのは逆に命を縮める結果になる可能性もあるということは分かったが、その医師が適切に抗癌剤治療を進めてくれる医師かどうか患者として判断するのは難しい。
この本では、様々な症例が紹介されていて、いかに抗癌剤がよく効くかということが書かれている。たしかに、この通りならば延命効果もあり、副作用も考えていたような悲惨な状態ではないようだ。
しかし、ハードな治療という印象はぬぐえない。
ひとつの抗癌剤が効かなくなったら別の抗癌剤。それもだめになったらまた別の抗癌剤というように次々とたすきを繋げてゆけば延命できるという。
しかし、患者側からしてみれば、今使っている抗癌剤がいつ効かなくなるかとどきどきしながら日々を過ごし、少ないとはいえ副作用にも耐えながら生活せねばならない。
生きる意欲が高く、能動的な人ならば、こういう治療法は向いているのかもしれないけれど、もう少しのんびりした性格の人は耐えられないのではないかと思った。
結果的に、この本の著者の平岩医師のもとに残って治療を続けている人の症例が載っているわけで、その人たちは確かに延命効果が高かったのだろうけれど、この治療法について行けない患者さんたちのデータはない。
そして、治療の経過と効果はわかるのだけど、患者さん側の話はまったくないのでどのような生活を送っているのかはよく分からない。著者によれば、普通に仕事を続けて日常生活を送っているとは書いてあるのだけど、やはり病気の前とあとでは違うことも多いだろう。
抗癌剤治療の現状や問題点はよくわかったが、なんとなく、患者さんの精神面とかソフトな部分を思いやる気持ちがあまり感じられない本だった。