癌は心と体の治療が必要◆『子宮会議』
2007/08/26(日)

子宮会議
洞口 依子(著)

小学館
¥ 1,470 [単行本] 2007-06-01
ISBN:9784093877022 / ASIN:4093877025

著者は女優の洞口依子。子宮頸ガンの闘病記…なのだけど、闘病記というよりも自伝的エッセイという感じ。

驚いたのは、夏前に病院に行っていたのに、秋には不調を感じていること。検査を怠っていたというわけではないのだ。しかし、不調を感じてから病院に行くまでが長い。百万回言われただろうけど、もっと早く病院に行っていればよかったのに…。

でもね、本人にしかわからないよねぇ。私も卵巣のう腫のとき、「なんでもっと早く来なかったの」と医者に言われたのだった。卵巣のう腫は痛くも何ともないから、ちょっと違うのかもしれないけど。

洞口さんは38歳でガンの宣告を受ける。医者の説明を聞きながら涙がポロポロと流れたらしい。ショックは相当なものだったようだ。

うーむ。それならなぜもっと早く病院に行かなかったのか…改めてそう思ってしまった。客観的に見れば自業自得…。

そしてそのあとの治療法にも迷う。手術か、放射線か。そして、治療をやめたいとまで言い出す。おいおい。

思い出したのは、絵門ゆう子さん。彼女もガンの宣告を受けてから紆余曲折して一旦は治療をやめてしまう。そして悪化。その後再び治療を始めるが、そのときにはすでに手遅れ。若くして亡くなられた。

病になってみると、端から見れば不可解とも思える行動をとってしまうことってあるんじゃないかと思う。さんざん迷ったあげくに一切の治療を止めてしまうとか。

ガンなどの重い病気の場合は特に、肉体的な治療と同じくらい精神的なケアが必要なのじゃないかと思う。治療を、精神科とセットにすればいいのに。

だって、まったくの素人がいきなり生命にかかわること(治療法)でこちらとこちら、どちらにしますか? って聞かれたって究極の選択。精神的に不安定になるのは分かり切ったことじゃないんだろうか。

私自身は、「死」そのものに対してあまり恐怖心がなくて、自分の手術の前夜もけろりとしていて看護婦さんに驚かれたくらい。肉体的に痛いの苦しいのは嫌だけど、麻酔中に死んじゃうなら別にいいか…って感じだった。

だから、手術前に不安定になったり、死ぬかもしれないという思いで不安になるというのはよくわからない。

子宮を取ることに関しては微妙。卵巣のう腫の手術のとき、卵巣が両方腫れていたら取ることになるかもしれないと言われたけれど、そうなったらそうなったで仕方ないなと思った。私は子供を産みたい願望は強いほうだと思っていたのだけど、意外に平気だったのでこれには自分でちょっとびっくり。

産めなくなったらそれはそれで他に方法があるはずだし、子ども産むだけが女の幸せじゃないなず。結局、そのときの手術では卵巣は片方全摘出で、もう片方は一部切除。子どもを産める可能性は残ったのだった。

その後、膠原病(多発性筋炎)を発症して現在も治療中のため、今の段階では子どもを産むのは無理かも。産めないことはないけれど、かなりリスクが高い。そこまでして産みたいかどうか…。まだ結婚もしてないから、相手次第なところもある。

ガンや膠原病に限らずちょっと重い病気だと、治療そのものも辛いけれど、その最中や後の精神的なダメージがもっと辛い。洞口さんも仕事復帰後に発作に見舞われ、不安障害と診断されたそうだ。

なんとなく、この不安障害こそ、事前にもっと予防できたのではないかという気がした。治療と社会復帰でこういう症状を訴える人は多いんじゃないかなぁ。治療と平行して精神科などのカウンセリングを受けることがもっと当たり前になればいいのにと思う。