もうひとつの人魚姫◆『オンディーヌ』劇団四季
2007/05/02(水)

『オンディーヌ』劇団四季 2007年4月15日-5月12日 自由劇場 作:ジャン・ジロドゥ 演出:浅利慶太 出演:野村玲子、石丸幹二、大平敦子、日下武史ほか

劇団四季の『オンディーヌ』を見てきた。前から見たかった演目のひとつ。水の精オンディーヌが人間と恋に落ちるのだが悲恋に終わるという、「人魚姫」の原型のようなストーリー。

オンディーヌは野村玲子、オンディーヌが恋に落ちる騎士は石丸幹二というゴールデンコンビ。劇場は自由劇場。この劇場は客席が狭く舞台との距離がとても近い。濃密な空間での観劇だった。

しかし、舞台の構造は『ライオンキング』もできるというくらい充実しているらしい。今回も、たった一瞬の場面のためにすごいしかけが登場してびっくりした。あれを見られただけでも来た甲斐があったかも。

もともと、「人魚姫」は好きで、絵本『ウンディーネ』も持っている(アーサー・ラッカムの挿絵が好き)。『オンディーヌ』はこの『ウンディーネ』とほぼ同じようなストーリー。人間離れした水の精たちが登場する場面は幻想的で、衣装もかわいい。西洋の人魚伝説では人魚は歌声で船上の漁師たちを魅了して水に引き込んだり事故を起こさせたりするという。だから、水の精たちの歌声も見所のひとつ。

3幕まであって長かったけれど、面白かった。しかし、主要な登場人物たちの誰にも共感できないところが難点。ウンディーネは奔放すぎるし、騎士は凡人すぎるし、恋敵のベルタはわがままだし…。人間の世界のしがらみにとらわれずウンディーネのように自由に生きたらいいかしら、と思うのがせいぜいかなぁ。基本的におとぎ話なので、あまり気負わずに観るのがいいのかも。

ウンディーネ
M. フーケー(著)、Arthur Rackham(原著)、岸田 理生(翻訳)、アーサー ラッカム(著)

新書館
¥ 1,937 [単行本] 1995-09
ISBN:9784403031076 / ASIN:4403031072