幼い娼婦だった私へ ソマリー マム(著)、Somaly Mam(原著)、高梨 ゆうり(翻訳) 文藝春秋 ¥ 1,600 [単行本] 19cm x 13cm , 222P 2006-07 / ISBN:4163664106 |
著者の前半生は壮絶だ。淡々と語られるその内容は、レイプや虐待の連続。精神的にも肉体的にも傷つけられ続けた。それは著者だけのことではなく、その地域の多くの女性が同じような環境に置かれているということに驚愕した。
人身売買によって、幼い少女たちは娼婦として働かされる。その客には日本人もいるらしい。恥ずかしい限りだ。
体を売ることを拒否すれば激しい虐待を受ける。耐えきれずに亡くなる子もいる。そうでなくても、過酷な労働や性病などで亡くなる子は多い。虐待に耐えられず仕方なく売春する少女たち。おそらく、彼女たちの多くは基本的な教育も受けられず読み書きもまともにできないのだろう。いまの状況をそのまま受け入れるしかない。
著者は幼い頃に読み書きを習った。生来の勉強家でもあったのだろう。地獄から抜け出すのに、それが役に立った。
こういう状況にある女性たちを救うためには教育はかかせないと思う。無知ということが彼女たちの自由を奪っている。逆に、彼女たちから搾取する側は、それを利用しているのだ。彼女たちが無知のままのほうが、彼らには都合がいい。知ってしまえば彼女たちは逃げ出すだろう。
著者は少女たちを救うために、かつて自分がいた売春宿に向かう。つらい思い出が多い場所に、あえて向かう。身の危険も多い。おそらく、彼女の活動を快く思っていない連中からは命も狙われているだろう。それでも活動をやめない。その原動力はいったいなんなのだろう。
少女たちが売られる背景には貧困の問題がある。ひとりの力には限界がある。もっと大きな力で、背景に潜む問題を解決していく必要がある。しかし、そういう問題に目を向けるきっかけを作るのが著者のように我が身を投げ打って活動する人たちだ。この人たちがいなければ問題の解決は遅れるばかりかもしれない。この本によって少しでも多くの人に問題を知ってもらいたいものだと思う。