食料自給率100%を目ざさない国に未来はない (集英社新書)島崎 治道(著)集英社 ¥ 714 [新書] 2009-09 ISBN:9784087205107 / ASIN:408720510X |
本の内容がすべて正しいかどうかはわからないけれど、ともかく、議論して真剣に取り組むべき問題であるとはと思う。
日本国民の食料が外国の食料事情や国際問題に左右されるということは、なにかあれば日本国民の食料はあっという間に足りなくなってしまうということだ。例えば、輸入元の国との国際問題が起こって食料の輸入が止まってしまえばたちまち日本は困窮する。輸入元の国からみれば、そういう手段を脅しに使って日本との関係を自国に有利にすることだってできるわけだ。
それって、日本にとっては相当にヤバイのでは…。戦争せずに国を乗っ取られる。ある意味、国を守るのは自衛隊ではなく食糧自給率なのでは。。。
自分たちの食べるものを、自分たちの身近で作る、というのは理にかなっている。「地産地消」という言い方をするけれど、本書によれば「地域で食べる食料は地域でつくる」。東京の食料自給率は1%。神奈川は3%。北海道は195%。すごい偏っている。国内での食料の供給バランスも見直すべき。遠くから運べば、それだけ食材が傷むし、運送中の二酸化炭素の排出量も多くなる。
そしてなるほどなと思ったのは、農作物や畜産物などを生産する地域近郊では、その食材を加工する工場もできるという点。農業、畜産、漁業などの復興は今の雇用問題の解決にも繋がると思ったのだけど、加工工場ができればその地域の雇用も増える。常々、雇用問題も地域の人材は地域で雇用する、という地産地消?がいいと思っていたところなので、その問題も同時に解決するではないかと思った。
日本では、農業従事者があまり尊敬の対象となっていないけれど、実はすごい仕事なのだ。だって、人間が生きていく上で絶対に必要なものを作ってくれているのだから。若者たちが憧れる職業であってもいいはず。海外では農作物を作る人たちはもっと手厚く保護されているらしいし、日本のように大変な割に儲からない、というイメージではないらしい。
食糧自給率の回復で、地方が活性化して、雇用も増えて、国民も豊かになるのではないかと、夢見てしまう。小手先の経済政策ではなくて、もっと日本の国の在り方を根本から見直すべきときなのではないかと思う。
食糧自給率の問題は、単に食糧の問題だけではない、大きな問題をはらんでいる。逆に言えば、これを解決すれば、自然と他の問題も解決してゆくのではないかとすら思う。国を動かす立場にある人たちにぜひ読んでもらいたいと思った。
筆談ホステス 67の愛言葉 (青森一の不良娘が銀座の夜にはぐくんだ魔法の話術)斉藤里恵(著)光文社 ¥ 980 [単行本(ソフトカバー)] 2009-09-18 ISBN:9784334975883 / ASIN:4334975887 |
読みやすいというのもあるんだけど、内容がすとんと心に落ちてくる、いい本だったから。
耳が聞こえないながらも厳しく育てられて、そのあげくにぐれてしまった過去を持つ著者の斉藤里恵さん(これは前著の立ち読みの記憶なので、じっくり読んだらまた違うのかもしれないけど)。そういう、人生の艱難辛苦を乗り越えて、ホステスという天職を見つけた彼女だからこそ言える言葉の数々。ひとつひとつがとても優しくて、そしてなんとも言えない説得力がある。
古今東西の名言に、彼女自身の言葉を織り交ぜて、仕事や家族との関係に疲れた人々の心を癒したり、迷っている背中をちょっと押してあげたり…。身近な人に言われると腑に落ちない言葉も、第三者から言われると素直に聞けたりする。ホステスさんって、そういう存在なのかもしれない。
手書きの文字の数々は普段のやりとりがすっかりデジタルな私にはとても新鮮だった。筆談でも、携帯電話や携帯パソコンなどいくらでも便利な機器があるのだからなにも手書きでなくてもいいと思うのだけど、きっと、手書きだからこそ伝わるものがたくさんあるんだろうなと思った。彼女の字を見ただけで、気遣いと優しさが伝わってくるよう。字に人柄もあらわれてしまうのだ。私ももっと心を込めて字を書かなきゃ。
それと、筆談とメールは違う、という説明にも目からウロコ。確かに、筆談のときには相手が目の前にいるから、文字プラス表情やしぐさといった情報が伝わる。だから声に出す会話と変わらないらしい。筆談とメールのやりとりは健常者の会話とメールの違いと大差ないとのこと。なるほどなぁ。
年齢的には10歳も年下の彼女だけど、とてもそうは思えない。知的で大人な女性という印象。そしてお客様をおもてなしするホステスとしてのプロ意識がとても高い。水商売とはいえ、そこらのキャリアウーマンよりよっぽど「仕事」に誇りを持っているようだ(だから私は一流ホステスさんをとても尊敬するし、憧れる)。
「過去と他人は変えられませんよ。でも、未来と自分は変えられます!」
「隣に誰かがいるだけで、”憂い”は”優しさ”に変わります」
といった彼女自身の言葉から、坂本竜馬、織田信長などの歴史上の人物、松下幸之助、本田宗一郎、マザーテレサなど偉業をなしとげた人々の言葉、そしてマンガやアニメからの引用まで幅広く登場する。この本一冊あれば、そのときそのときの自分に合った言葉が見つかってしまいそうなくらい盛りだくさん。
上司や部下との関係に疲れたサラリーマン、息子とのコミュニケーションが取れないと嘆く仕事人間のお父さん、彼女の本心がわからないという恋する若者、実にさまざまな人たちが、ホステスの里恵さんによって元気づけられ、励まされ、背中をおされているのだった。
悩める仕事人間たちに贈りたい一冊。
筆談ホステス斉藤里恵(著)光文社 ¥ 1,365 [単行本(ソフトカバー)] 2009-05-22 ISBN:9784334975654 / ASIN:4334975658 |
ツイッター 140文字が世界を変える (マイコミ新書)コグレ マサト(著)、いしたに まさき(著)毎日コミュニケーションズ ¥ 819 [新書] 2009-10-09 ISBN:9784839933166 / ASIN:4839933162 |
「140文字〜」のほうは、ツイッターを知らない人に向かってどんなものかを説明している印象が強く、ツイッターのヘビーユーザーには既知のことが多いのではないかと思った。でも、ツイッターというものの概要を捉える意味では1冊の本にまとめるというのはとても意義あることだ。
広瀬香美さんにツイッターでインタビューするという試みでは、30分で3つほどの質問しかできなかった模様。これ、ツイッターでリアルタイムで見ていたし、他にもツイッター上でチャット的な試みをしているのを見たけれど、インタービューとかリアルタイムな会話にはあまり向いていないと思った。いくつか質問を用意して、一気にそれを流して、一定時間後にまとめて返信したほうがたくさん質問できそうだ。
ツイッターでは140文字という制限があるけれど、日本語では漢字が使えるので英語の3倍くらいの情報を入れ込めるというのは、なるほどと思った。もともと日本人は日記好きだし、日本人には合ったサービスなのかもしれない。
企業アカウントにも取材していて、ちょっとびっくりしたのが、毎日新聞編集部。マスコットのニワトリのアイコンを使っているので、通称コッコちゃん。なんとなく一人の担当者がつぶやいている印象だったのだけど、毎日違う担当者がつぶやいているらしい。へぇ! まぁ、そうじゃないと担当者がお休みの日とかはニュースが流れなくなっちゃうもんね。
つい先日、NHKの時間帯の違う複数のニュース番組で何度もツイッターが取り上げられて、ツイッター上で話題になった。キャスターやコメンテーターがツイッターをやったことがない人ばかりだったようで、的外れなコメントもあったけれど、ツイッターの知名度は一気に上がったと思う。
今後は新規のユーザーも増えて、また違った展開をしていくかもしれない。どんなメディアに成長するのか楽しみだ。
※私のツイッターアカウントは @noriko_v 。ブログの更新情報はRSSを使って @henyo2 というアカウントで配信している。Twitter(ツイッター)のURLは http://twitter.com/(登録は無料)。
仕事で使える!「Twitter」超入門 (青春新書INTELLIGENCE)小川 浩(著)青春出版社 ¥ 798 [新書] 2009-09-25 ISBN:9784413042505 / ASIN:4413042506 |
仕事で使える!「Twitter」超入門 (青春新書INTELLIGENCE 250)小川 浩(著)青春出版社 ¥ 798 [新書] 2009-09-25 ISBN:9784413042505 / ASIN:4413042506 |
ツイッターというのはミニブログサービスと説明されることが多いのだが、一言で言えるようなものではない。ブログのようでブログでなく、掲示板のようで掲示板でなく、チャットのようでチャットでないもの。お化けみたいだ。
だから、ツイッターをまったく知らない人が本を読んでも、チンプンカンプンかもしれない。(一応、そういう人にもわかるように説明はされているのだけど、ツイッターの概念を文章だけで説明するのは相当に難しい)
ツイッターをしばらくつかってみて、その面白さにはまっている最中なのだけど、使い方としては簡単。「いまなにしてる?」という問いかけに答える形で入力欄に140字でつぶやきを入力し、投稿すればいいだけ。別になにしているかということに忠実に答える必要はなくて、つぶやきは多岐にわたる。
いたってシンプルなのだけど、ユーザー間で作られたマイナールールがいろいろある。同じテーマについて語るときには#(ハッシュ)タグを付けるとか、他人のつぶやきを転載するときにはRT(ReTweetの略)をつけるとか。これを一通り覚えるまでがちょっと大変だが、それさえクリアすればあとは楽しくてゆるーいコミュニケーションの世界が広がるのだ。
そんなシンプルなサービスだから、わざわざ使い方の本を読むまでもない、なんて思っていたんだけど、読みながら、なるほど、なるほど、そうだったのか、ということがいっぱい。こんな使い方があったのか、こんな可能性が秘められていたのか、などなど。商用利用の成功事例、実験的な使い方、今後展開されるであろう事業の紹介がされていて興味深い。
シンプルなだけに、今後、さまざまな活用法が考えられ、思いもよらなかったサービスが登場する可能性もある。ツイッターが今後どんな風に発展してゆくのか楽しみなのだった。
私のツイッターアカウントは @noriko_v 。この本の著者のアカウントは @ogawakazuhiro 。本の著者と簡単にコミュニケーションが取れてしまうところもツイッターのすごいところ。
■Twitter(ツイッター)
http://twitter.com/
裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書)長嶺 超輝(著)幻冬舎 ¥ 756 [新書] 2007-03 ISBN:9784344980303 / ASIN:4344980301 |
ひとつのお言葉をじっくり掘り下げたものも読んでみたいものだ。
以前、法学の授業のレポートを書くために一度だけ裁判を傍聴したことがある。社会勉強としてはなかなかよかった。機会があればまた傍聴してみたいとは思うけれど、それほどの熱意もなく、結局その後は一度も行っていない。
しかしその一度の傍聴でも、なんとなく裁判所の雰囲気が分かるので、お言葉集も、なんとなくその裁判の状況が想像できて面白く読めた。マニアが書いた一般向けの本といったところ。マニアには物足りなく、一般人には物珍しいものかもしれない。
ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫)松岡 圭祐(著)新潮社 ¥ 460 [文庫] 2008-08-28 ISBN:9784101357515 / ASIN:410135751X |
憧れのディズニーランドのスタッフ(キャスト)として雇われた主人公が、裏方の現実を見て、一旦は幻滅するのだけど、徐々に仕事への誇りを持ってゆくという成長小説。途中でミッキーマウスが行方不明になる事件も起こり、ミステリーの様相も。
しかもそれがたった二日とか三日とかのできごとだったりするから、面白い。フィクションの部分はとことんオーバーなほうが逆にリアリティがあったりする。
私はディズニーランド大好きなので、アトラクションやキャラクター、キャストやゲストといったディズニーランド独自の呼び方にも違和感はなかったけれど、ディズニーランドにあまり詳しくない人が読んでも面白いんだろうか。きっと、面白いに違いないと思うけど、もしかしたら理解に苦しむ部分もあるのかもしれない、とも思うのだった。
しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)香山 リカ(著)幻冬舎 ¥ 777 [新書] 2009-07 ISBN:9784344981324 / ASIN:4344981324 |
この本は新聞の広告に載っていた目次で「<勝間和代>をめざさない」という章があって、それが気になって買ってみたのだった。
香山さんが書く新聞の記事などでもそうなんだけど、言っていることは的を射ていて、いまの社会を問題点を突いていると思うのだけど、なんとなく「だからなに?」という結論なのだ。人によっては「なるほど」と目からウロコも落ちるのかもしれないけれど、私の場合は、「私が考えていたことと同じ〜。…で?」。
つまり、結論に斬新さがなくて…。斬新さがないというか希望がないというか。要するに、この本でもそうなんだけど、すばらしい夢や希望なんて別になくてもいいんだよ、普通でいいんだよ、…って言っている、そのことは確かに共感できるのだけど、それだけではあまりにも寂しすぎる。やっぱり、壮大な夢はいらないし、<勝間和代>になる必要もないけれど、それでも生きていく上での“ちょっとした幸せ”っていうのは必要。その“ちょっとした幸せ”や“ちょっとしたユーモア”みたいなものが…香山さんの文章にはあんまりない。
読んでいて、自分にとってプラスでもマイナスでもないゼロの文章。私が考えたことのそれ以上でもそれ以下でもない感じ。もちろん、私よりもずっと教養がある香山さんなので、いろいろな方面からの引用を多用していてまったく得るものがないわけではないのだけど、「うんうん、それって私もそう思ってた。… で?」なのだ。
恋愛・子ども・仕事・お金にしがみつかない。老・病・死で落ち込まない。ものごとに白黒つけない。欲しいのは普通の幸せ。
これって、私がいつもブログで書いている「ゆるゆると…」の精神ではないか。がちがちに自分を縛り付けると苦しい。どこかに逃げ道がないとストレスが溜まる。だから、「ゆるゆると」なのだ。いちいち全力投球していたら身体がもたない。誰もが<勝間和代>のようにバリバリ生きていけないし、その必要もない。ゆったり生きるのもいい。
「生まれた意味を問わない」という章もある。これは私も書いたことがある。生きていることに意味なんてないのだ。よく、大病した人に対して「神様が、耐える力があるからその人を選んで病気を与えたんだよ」と励ます人がいるけれど(私も言われたことがある)、そんなことはない。だって、若くして亡くなっている人だって大勢いるじゃないか。その人たちは耐えられなかったってことだ。神様の読みが間違っていたってことなのか? そうじゃない。病気になったことに意味なんてない。生きていることにも意味なんてない。ただ、その意味を生きている間ずっと、探し続けることが大切なのではないか、と思う。強いて言えば、それが生きていることの意味。そして万が一、答えを見つけてしまったら、人生はつまらないものになってしまうような気がする。
香山さんの論調も似たようなものではあるのだけど、なんとなくネガティブなんだよなぁ。文章が。「そうか、意味なんて探さなくていいんだ!」って元気になる感じじゃなくて、「意味を探すことなんて無意味」と突き放されているような。
最後に「<勝間和代>をめざさない」という章。勝間さん本人に対するものなのか、その勝間さんを信奉する“カツマー”と呼ばれる人たちに対するものなのか、あいまいな部分もあるのだけど、「がんばれば努力が報われる」というのはウソ、というメッセージ。いくらがんばっても報われない人はいる。…そりゃそうだろう。そして、「がんばれば夢はかないます」と言う人に対しては、たとえ「そんなことはない」と言っても通用しない、という。
まぁ、そうなんだろうけど。私はそれでも「努力すれば夢はかないます」と強烈にアピールする人が、世の中に何人かいてもいいと思う。そしてその人に憧れる人がいてもいいと思う。ただし、<勝間和代>本人には絶対になれない、という自覚は必要。あくまでも「憧れ」だ。あまりにも<勝間和代>に縛られると、そうなれない自分に対してストレスが溜まるから。
きっと、香山さんもそういうことが言いたかったのではないかと思うんだけど、…なんか違うんだよなぁ。
そういえば、勝間和代さんも今気になっている人ではあるんだけど、書店で本を見ても買うところまではいかない。テレビや新聞で見たり読んだりすると、この方も、言っていることは共感できるし、今の社会をうまく捉えているなぁと思うのだけど、香山さんと同じで「で?」と言いたくなる部分も多い。
なるほど。勝間氏と香山氏は似たもの同士なのかもしれない。それで著作に登場したわけか。人は自分と似ている人が気になるものなのだ。この2人は、コインの裏表なのかもしれない。そう考えるとおもしろい。
アマルフィ真保 裕一(著)扶桑社 ¥ 1,575 [単行本] 2009-04-28 ISBN:9784594059385 / ASIN:4594059384 |
ホワイトアウトも織田裕二だった。ちょっとテイストは似ている。ハードボイルド。小説の主役の黒田はかっこいい。映画の織田裕二もはまっていた。
読みやすいといえば読みやすいのだけど、だからなんだって感じでもあって…。好きな人な好きなんだろうけど、私はあんまり…。映画とは設定やストーリーが多少違う。映画は映画、小説は小説で楽しめる。
映画にするには制約が多すぎて、このプロットはなくなったんだろうけれど、このまま映画にしたら、それはそれで面白そうだと思った。
チェーホフを楽しむために (新潮文庫)阿刀田 高(著) 阿刀田 高(著)新潮社 ¥ 580 [文庫] 2008-12-20 ISBN:9784101255323 / ASIN:4101255326 |
あらすじというよりも作品全体の雰囲気、そのストーリーを包み込む空気のようなものが好きなのだ。
そのチェーホフを、阿刀田高が読むとどうなるのか、興味があった。
もともと、阿刀田氏の「○○を楽しむために」とか「○○を知っていますか」というシリーズが好きだったので、阿刀田×チェーホフを楽しみたいというのもひとつ。
チェーホフは、有名な戯曲しか読んでいなくて、そのほかの小説作品ってどうよって思っていたのだけど、この本を読んでみたらやっぱり小説より戯曲なのだと思った。読んだことのない小説を読むよりは、過去に読んだ戯曲をもう一度読み返したくなったのだった。
シェイクスピアは、作品のストーリーや解説を読めばなんとなくわかった気になる。しかしチェーホフは、作品そのものを読んでみないと、あの微妙な空気はわからない。阿刀田氏をもってしても、チェーホフ作品の絶妙なニュアンスまでは伝わらず、結局、読んでみるのが一番てっとりばやいんじゃない? と思った。
しかし、短編小説家という同業者としての視点からのチェーホフ論というのはなかなか面白くて、チェーホフというフィルターを通して、阿刀田高を楽しめる一冊である。
告知されたその日からはじめる私のがん養生ごはん柳原 和子(著)主婦と生活社 ¥ 1,680 [単行本] 2003-04 ISBN:9784391126273 / ASIN:4391126273 |
この手の健康本って、著者が違っても、同じ団体に属していたり、どこかで繋がりがあったりすることが多いのだけど、先日読んだ『日本だけなぜ、がんで命を落とす人が増え続けるのか』と内容はとてもよく似ているのに、著者同士に繋がりはないみたい。
この本の著者の柳原和子氏は、ノンフィクションライターで、自身ががんになって治療法を模索し、多くの患者仲間と情報交換するうちに、食餌療法に行き着いた。「日本だけなぜ〜」の済陽高穂氏は医師として膨大な数の患者に接するうちに、奇跡的とも思えるような回復を遂げる人に共通するのは食事であるということに気付いた。
二つの本に共通するのは、どちらも玄米菜食だということ。日本だけでなく、世界中に厳しい制限をするような食餌療法はあるようだが、肉を食べない、水分を多く摂る、など共通するところは多い。
徹底するのならば、有機野菜、ミネラル水または浄化した水道水、そして運動も取り入れるなど、お金や時間、そして食事を作る労力がいる。しかし、現在、身体の中にがんがあるという場合には、中途半端ではなく徹底してやらないと効果がないようだ。
弱った身体で、これを徹底するのは、相当な精神力がいるのではないかと思う。
「がんから始まる」を書いたエッセイストの岸本葉子さんもがんになってから、徹底した食餌療法をしたと書いていた気がする。柳原さんも岸本さんも独身女性。そして、済陽医師は、食事作りなどのサポートをしてくれる家族がいない方には食餌療法を勧めない、と書いている。
独身女性ならば、ライフスタイルを自分なりに変えるのも簡単。決断してしまえばあとは自分次第だ。また、献身的にサポートしてくれる奥さんがいる男性なども、食餌療法を続けることは可能だろう。逆に、主婦や独身男性などは難しいのではないかと思う。主婦の場合は、家族の食事の世話や家事をしながら、自分用の食事を作らねばならないとなると、相当な負担だ。睡眠時間をたっぷりとったり、きちんと昼型の生活をしようと思っても、パートナーや子どもたちのスケジュールに合わせているとそうもいかないだろう。
そう考えると、がんになってしまってから食餌療法でがんを克服するのは、並大抵のことではない。
がんになる前に、食事やライフスタイルを見直し、がんにならない身体作りをしていかなければならないと思った。
予防的に食事に気をつけるのならば、それほど神経質にならずに、塩分・糖質を控え、全体のカロリーも通常より少なめにし、玄米菜食。それに豆類・海藻を多く摂るように心がける。水分もたっぷり。青汁もいい。タンパク質は肉ではなく魚で。
とにかく、食事は身体作りの基本。食べた物が身になるのだから、なるべく余分なものは摂らないようにして、必要なものを効率良く摂取したい。
…なかなか難しいのだけどね。。。
日本だけなぜ、がんで命を落とす人が増え続けるのか―消化器外科の権威がすすめる驚異の栄養・代謝療法済陽 高穂(著)主婦と生活社 ¥ 1,575 [単行本] 2007-12 ISBN:9784391134278 / ASIN:4391134276 |
がんから始まる (文春文庫)岸本 葉子(著)文藝春秋 ¥ 630 [文庫] 2006-04 ISBN:9784167599072 / ASIN:4167599074 |